衆院予算委員会で11月25日、2022年度補正予算案に関する基本的質疑で立憲民主党の2番手として質問に立った党政務調査会長の長妻昭議員は、旧統一教会などの被害者を救済する新法の政府案の課題を取り上げ、改善に向けて岸田総理のリーダーシップを求めました。

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 「与野党関係なく、使える法律を作りたい。この1点だ」と切り出した長妻議員。旧統一教会の被害救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会が21日、新法の政府案について「被害者のためにほとんど役に立たないものとなっている」として修正を求める声明を発表したことに言及し、「被害者弁護団が使えないという法律を作っても仕方ない。もう一段踏み込んだ法案にする覚悟はあるか」と岸田総理に迫りました。

 岸田総理は、「使える法律にするために覚悟を法的な観点から憲法をはじめとする法体系の中で最大限被害者救済のためにどこまで踏み込むことができるか、しっかりと追求して法律を仕上げたい」と答弁。長妻議員は、「いろいろなしがらみがあると思うが、それを打破するのは総理のリーダーシップだと思う。一段の踏み込みをお願いしたい」と求めました。

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 長妻議員はその上で、新法では、寄付等の取り消し要件について、「禁止行為 (により)→ 困惑 (して)→寄付 (の意思表示)」 の場合は取り消す、との法律構成で、一連が紐づけられていて寄付ごとに立証が必要になることから、旧統一教会の献金にはほとんど当てはまらないと指摘。いわゆるマインドコントロールなど、正常な判断ができない状態にあることに乗じた勧誘も規制対象とするべきと主張しました。

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 政府案が、寄付を求める際の禁止行為として「重大な不利益を避けるには『寄付が必要不可欠』と告知した場合としていることには、弁護団は「『必要不可欠』はあまりに厳格すぎ、これでは実務上被害者救済に用いることが、今以上に困難となる」とも指摘しており、長妻議員はこの点についてもさらに踏み込んだ対応が必要だと求めました。

 また、家族等第三者による救済・取消権については、未成年が自ら代理を立てて訴訟をすることはなかなか難しいことや、債権者代理権を行使して取り消すには親が無資産、無資力という要件があり厳格なこと、仮に取り戻せたとしても養育費のみであることから、家族の範囲及び取り消せる寄付の範囲を広くしてほしいと提起。河野消費者担当大臣は「本人が自分の財産をどのように処分するかはご本人の財産権で、家族といえども阻害することはできない」とした上で、「家族が自分に対して当然やってくれるべき婚姻や子どもの扶養、など義務に関わる費用を出してもらえなかったときに本人に代わってそれを取り戻せる仕組みの新法を検討しているところ」だと述べました。 

 長妻議員は、「範囲を広げるよう工夫してほしい」と岸田総理にも求め、岸田総理は「検討を続けたい」と答弁。長妻議員は、一度法律ができてからでは変えにくいとして、あらためて法律の入り口である「困惑」「必要不可欠」について、もう一段踏みこむよう改善を求めました。

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