立憲民主党SOGIに関するプロジェクトチーム(PT)は2月7日、LGBTQなど性的少数者や同性婚のあり方をめぐる3日の荒井勝喜首相秘書官(当時)の差別発言を受けて、LGBT法連合会、公益社団法人「Marriage For All Japan-結婚の自由をすべての人に」からヒアリング。LGBT差別解消法、結婚の平等の早期実現を目指して取り組んでいくことを確認しました。

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  冒頭、同PT座長の大河原まさこ衆院議員は、「(荒井元首相秘書官の)とんでもない発言が、多くの国民の目を覚ましたのではないか。更迭を即断できなかった岸田総理の政権、そして自民党に漂う人権意識、空気感がよく分かった」と発言。サッカーのワールドカップカタール大会で欧州から抗議表明が相次いだことに触れ、「国民全体がLGBTに対する差別などを断じて許さない思いで生きている国々と、この日本はあまりにも大きなギャップがある。今回の更迭によって私たちはこのことをもっと自覚し、今こそ(政府、自民党を)是正させなければならない」と力を込めました。

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 同PT顧問の福山哲郎参院議員は、LGBT法連合会が4日、「時代錯誤の認識だ」と批判する声明を公表したことに言及し、「皆さんの思いを社会に伝えてもらったことに心から感謝と敬意を表したい」とあいさつ。その上で、「荒井秘書官の発言が酷いのは言うに及ばない。しかし、同性婚の実現で『社会が変わってしまう』との岸田総理の答弁は、総理自身の判断だったことが国会審議(6日の衆院予算委員会、山岸一生議員への答弁)で分かった。岸田総理自身がLGBTの認識が誤っている。認識を正していかなければいけない」と指摘しました。一方で、自民党が2年前に潰した、LGBT理解増進法を成立させる動きがあることに、「日本はLGBTの差別を解消する法律も同性婚の法律もない、唯一のG7国だ。総理が本気で多様性と包摂社会を目指すというのであれば、理解増進法でお茶を濁すのではなくLGBT差別解消法と、同性婚を実現する法整備をG7開催までに成立させること。そのためにはわれわれはなんでも協力していく。これまで厳しい状況でいわれのない差別を受けてきた方がたくさんいる。今まで日本で生きづらかった方が少し生きやすくなるのが同性婚を認める法律だと思っている。今日当事者の皆さんの話を承って、政府与党と協力して法律を作っていくことに邁進していきたい」と述べました。

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 LGBT連合会は、昨年6月にドイツで開催されたG7首脳会議で採択されたG7首脳コミュニケ(以下参照)に照らし、国際公約で性的指向や性自認に関することがジェンダー平等において取り扱われていること、性的マイノリティに関するいじめや差別を禁止する法律や条例の制定に対し、「賛成」「やや賛成」合わせると87.7%(20代は90%超、70代も82.3%)との全国調査(2019年)の結果が出ていること、特にトランスジェンダーヘイトが強いという当事者実情などについて説明。神谷悠一事務局長は、性的マイノリティに関するG7各国の主要な法律状況についても触れ、「G7議長国としての立場が問われる。主要な法律状況にすべてにおいて不利な状況になっているのが今のG7の中の日本の状況だ」と危機感を表明しました。今回の差別発言で、怒りはもちろん諦め、暗たんたる気持ちで外出できなくなっている人もいるなど、当事者、周りの人を含め多くの人が傷ついている実態もあらためて報告されました。

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 Marriage For All Japanは、「本件差別発言は、性的マイノリティの尊厳を深く傷つけるものであると同時に、日本全体に誤ったメッセージを与え、差別を助長するもの。本件差別発言により命を落とす性的マイノリティが生じ得るとの懸念は、決して誇張されたものではない」と指摘。泉健太代表宛てに(1) 法律上同性同士のカップルが結婚することができるよう、民法及び戸籍法を改正する法案の作成にただちに着手すること(2) 本年のG7広島サミットが開かれるまでの間に、性的マイノリティの権利保障について検討するワーキングチームを組成し、同性カップルやその家族等からのヒアリングを行うこと――等4項目を要請しました(以下PDF参照)。多くの企業・団体が結婚の平等への賛同を表明しているとして、「社会はすでに変わっている。変わっていないのが官邸の中だ」と述べました。

 質疑応答では、子どもたちへのケアや、性教育におけるLGBT理解促進の取り組み、法的性別変更の要件の問題点など多くの質問が上がりました。

 最後に福山参院議員は、「当事者やユースはもちろん、一緒に生活されているご家族がどう考えるかも想像しないといけない。問題意識を持っている人をどう巻き込むかはわれわれの政党の課題でもある。ぜひご示唆ください」と呼びかけ、締めくくりました。

G7首脳コミュニケ (LGBT抜粋).pdf
性的マイノリティの権利保障を進める具体的アクション等を求める要請書_立憲民主党.pdf

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