「防衛増税」に対する基本的な考え方
2023(令和5)年2月2日
立憲民主党 税制調査会
1.防衛費増額に対する考え方 ――「数字ありき」の増額目標は認められない
「我が国が直面する安全保障環境の変化への対応や新領域における能力向上の緊急性や重要性等に鑑み、真に必要な予算について積み上げた結果、防衛費の一定の増額につながったとしても理解できる…しかし、GDP比2%や5年で二倍という増額目標については「最初から数字ありき」にすぎず合理性に欠ける」(「外交・安全保障戦略の方向性」)というのが、防衛費増額に対する我が党の基本的な考え方である。
したがって、今後5年間で総額43兆円規模という政府の防衛費増額目標を所与のものとして議論するという立場は採らない。「真に必要な予算について積み上げた結果、防衛費の一定の増額」を要することになった場合に必要となる財源について、基本的な考え方を示すものである。
2.政府・与党の「防衛増税」策について ――安易に国民負担を求める増税には反対
政府・与党は、新たな「防衛力整備計画」に基づき、防衛費のみを聖域化し、追加歳出需要14.6兆円のうち、3兆円強を「防衛増税」により賄うこととしている。具体的には(1)復興特別所得税を転用した付加税を導入、(2)法人税に新たな付加税を導入、(3)たばこ税について3円/1本相当の引き上げを実施――することとしており、いずれも事実上、特定財源化している。
まず何よりも、復興特別所得税の転用は、未だ復興の途上にある被災地の方々の心情を蹂躙するものであり、到底認められるものではない。その他、取りやすいところから取る哲学なき個別税目の狙い撃ちは、慌てて財源をかき集めようとする泥縄式の増税であり、到底国民の理解を得られず、合理性・公平性を著しく欠いていると言わざるを得ない。
3.立憲民主党の財源論
当然の前提として、財源を確保する際にまず取り組むべきは、徹底した歳出改革である。しかし、その上でなお不足する財源については、公平・公正な税制改革等により確保を図るべきである。
具体的には、所得税や金融所得課税の累進性強化、収益に応じて応分の負担を求める法人税改革など、所得再分配機能を強化する哲学のある筋の通った税制改革により、結果として真に必要な政策財源の確保を図るのがあるべき姿である。
なお、言うまでもなく、財源が必要なのは防衛費だけではない。我々は泥縄式の増税を国民に強いることなく、将来を見通した公平・公正な抜本的な税制改革の結果として、子ども・子育て支援をはじめとする他の重要な政策の財源を安定的に確保することを目指す。