立憲民主党は3月14日、国会内で「放送法」国対ヒアリングを開催しました。総務省が7日公表した放送法を巡る行政文書について国会で議論されるなか、第3回は、立教大学社会学部メディア社会学科の砂川浩慶教授から放送法についてヒアリングしました。

 砂川教授はメディアに求められる役割、放送法の意義、なぜこの時期に総務省の文書がリークされたのか、報道の自由度ランキングとの関係について話しました。

 砂川教授は「権力は必ず腐る」のが歴史上明らかであり、民主主義が発達していく中でメディアが権力をチェックすることが課題であったと説明。「権力を監視しないとメディアとしての意味がない」はずが、日本では権力そのものである総務省が免許付与権限を持っており、そうした国は「先進国ではこの国だけだ」と述べました。

 戦前にあった無線電信法(1915年施行)は、政府が無線を監督することを明言しており、「これがあったので大本営発表も陸軍海軍を通じてNHKに放送しろと言えた」と述べ、今回の磯崎元総理補佐官が総務省に求めたことは「よく似ている」と話しました。戦前の反省に立って1950年に施行された放送法は憲法21条の表現の自由をベースに制定されており、法律のベースとなっている表現の自由や民主主義を確保する主体は行政であると解説しました。

 「この時期に小西議員に文書が持ち込まれたのは意味がある」と砂川教授は述べ、今年が放送局の再免許の年であることを理由としてあげました。「この時期にこういう問題が出るということは総務省が放送局に準則違反と言えなくなる」ために再免許の時期に総務省がリークをしたという考えを示しました。

 また、砂川教授は国境なき記者団が主催する報道の自由度ランキングが民主党政権時の2010年は11位だったにも関わらず、2022年は71位に下がりG7で最低であることに触れました。報道の自由度ランキングとジェンダ―ギャップ指数で上位の国はノルウェーやフィンランド等同じ北欧諸国が重なることを指摘し、「社会的弱者である女性の活躍や、LGBTQ+、こういったものに対して社会として問題を取り上げていないということと、この報道の自由というものはリンクして考えられて然るべきではないか」と問題提起しました。

 杉尾秀哉参院議員は、「放送法を元の解釈に戻す良いアイデアがあるか」と質問しました。砂川教授は「審議会を通して、公開性を担保する中で議論をするのは1つ考えられる」等と答えました。

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砂川浩慶 教授