立憲民主党は2月20日に国会内で、「高額療養費予算ヒアリング」を開き、高額療養費の自己負担分上限の引き上げについて患者団体や関係者、厚生労働省の担当者から話を聞きました。

 産婦人科専門医である宋美玄さん(丸の内の森レディースクリニック理事長)は、「女性は現役世代で高額な保険医療を必要とする。不妊治療、切迫早産の長期入院、お産も保険になるかもしれないし、乳がん、子宮頸がんも現役ど真ん中だ」等とSNSで発信しています。宋さんは、「自己負担を増額するならば、元の補助金制度の方が良かった。不妊治療をあきらめざる得ないという声が届いている」等、当事者の悲痛な声を紹介しました。

宋美玄さん(丸の内の森レディースクリニック理事長)
宋美玄さん(丸の内の森レディースクリニック理事長)

 全国がん患者団体連合会の役員であり、がん患者として不妊治療の方々からの相談にのっているファイナンシャルプランナーの辻本由香さんからは、「高額療養費の引上げにより、不妊治療を断念する方が増え、子育て政策の推進に逆行する!」との話を聞きました。辻本さんは、「不妊治療は一度で終わらずに何回も受けている人がいる。子どもを持ちたい人にはとても影響がある。子ども関連政策の財源確保のため高額療養費の負担を引き上げるのは、本末転倒ではないかと思う。凍結を決断することに期待したい」と強く求めました。

ファイナンシャルプランナーの辻本由香さん
ファイナンシャルプランナーの辻本由香さん

 日本難病・疾病団体協議会事務局長の大坪恵太さんからは、「今回の自己負担引上げにより、多数回該当から外れ、大幅な負担増になる難病患者が続出する」との意見を聞きました。大坪さんは、「指定難病ではない関節リウマチなどの生物学的製剤は、がんの治療ほど高額ではないが、現行の上限額でも達するか達しないかの境界線であることが非常に多い。今回の引き上げが行われると大半が多数回該当の対象とならなくなり経済的負担が大きくなる」と懸念を表明しました。

日本難病・疾病団体協議会事務局長の大坪恵太さん
日本難病・疾病団体協議会事務局長の大坪恵太さん

 スキルス胃がん患者家族会会長の轟浩美さんからは、「今回の高額療養費引上げの修正案が実施されたら、多くのがん患者などが命を奪われるリスクがある」など、命に係わることだという切実な話を聞きました。轟さんは「国民は報道を注視している。国会でももめているところを中継してほしいという声があがるくらい政治を見ている。そうしたことを厚労省がどう受け止めるか。ぜひ、丁寧な質問をしてほしい」と話しました。

スキルス胃がん患者家族会会長の轟浩美さん
スキルス胃がん患者家族会会長の轟浩美さん

 また、厚労省担当者からも、今回の高額療養費引き上げについて、政府の考え方などを聴取しました。

 山井和則衆院議員は、「少子化対策の財源確保のために高額療養費の引き上げをすることが、不妊治療を阻害して少子化を加速させるなんてこんな矛盾があるのか」と指摘しました。

立憲民主党は、「高額療養費自己負担引上げ凍結法案」を国会に提出しています。