衆院憲法審査会が4月13日に開かれ、立憲民主党から中川正春、谷田川元、大島敦の3議員が発言しました。中川議員は国民投票におけるインターネット広告規制と自民党の9条改憲案、谷田川議員は時の政権による恣意的な衆院解散、大島議員は憲法改正と党議拘束について言及しました。

中川正春議員

 中川議員は、2021年改正国民投票法からの宿題である附則4条の検討条項が掲げる国民投票の公平・公正を確保するため、「特に、インターネット広告について、その論点を整理し、規制の要否について、この審査会で順序だてて結論を見出し」、そのため「幹事会での改正案作りを承認してもらい、具体的な国民投票法改正案のたたき台を幹事会の場で合意形成して作っていくこと」を提案しました。

 その入口として、EUなど海外事例を取りまとめた国立国会図書館から審査会で報告するよう求めました。同図書館の調査によれば、(1)透明性の確保に係る情報のインターネット広告への表示義務、(2)政治広告に係るオンラインアーカイヴの設置等の義務、(3)支出規制、(4)外国人等に対する規制、(5)偽情報・誤情報などの拡散規制、(6)ターゲティング及び増幅の技術の使用規制、(7)インターネットを用いた商業広告の利用規制に論点を整理してインターネット広告規制を審議しているため、日本でも「同時進行的に議論を進めれば、非常に効果的だ」と説きました。

 また、6日の審査会で自民党の新藤幹事から憲法9条への自衛隊明記が提案されたことに対して中川議員は、「自衛隊の明記は、必要ないのではないか。現状で自衛隊は合憲。また、その役割と必要性については、国民に十分理解されている」と述べました。そもそも9条で議論すべきは、「現実の安保三文書や日米ガイドライン、中でも、敵基地攻撃能力の保持や43兆円の膨大な予算の積み増しなどが、憲法という枠組みの中で、どのように位置づけられるのか、はっきりさせることだ」と訴え、参考人の招致を求めました。

20230413谷田川.jpg

谷田川元議員

 谷田川議員は、時の政権による恣意的な衆院解散に関して、過去の衆院議長らの発言を引用し、憲法上の疑義を指摘しました。福田赳夫内閣が日中平和友好条約締結という外交的成果を掲げて解散を検討していた1978年7月、保利茂衆院議長は「憲法上、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会を、内閣が勝手に助言と承認することによって7条解散を行うことには問題がある。それは、憲法の精神を歪曲するものだ。特別の理由もないのに、行政府が一方的に解散しようということであれば、それは憲法上の権利の濫用だ」と断じました。

 ところが、行政府の長である岸田総理が「衆議院解散は時の総理大臣の専権事項」と何度も発言していることに対して、谷田川議員は「違和感を覚える」と述べました。専権が「権力をほしいままにすること、思うままに権力をふるうこと」を意味するため、専権事項は「総理大臣が勝手に決めて、決めた以上は従わなくてはならぬこと」になると説明し、同表現は誤りであると批判しました。今後の審査会のあり方に関して「国会機能の維持を重視するのであれば、緊急事態という万が一の場合の議員任期延長を議論するより、通常事態における恣意的な解散権行使の抑止を先に議論すべき」だと提案しました。

20230413大島写真.jpg

大島敦議員

 大島議員は、所属政党から離れ個人の立場から発言すると断った上で「憲法改正原案の採決の際には党議拘束を外すべき」と提案しました。そもそも憲法は、「いかなる政党が政権に就いたとしても守らなければならない共通ルールを定めた国家の基本」だと指摘しました。故に改正議論にあたっては、「党派性を重んじながらも、与野党の枠を超えた個々の議員の識見の積み重ねによるべき」と強調しました。

 その背景について大島議員は、憲法学において議員と国民の「近接性」が民主主義にとって重要であるとの見識があるが、実際、「国会議員は、選挙区の人々との結びつきを強く意識せざるを得ない」と自身を振り返り説明しました。憲法改正議論において「国民の諸々の各層全体を代表する立場であることを自覚した上で、個々の議員が日本の在りようをよく考え、よく悩むことが欠かせない。私は、一人ひとりの国民の顔を思い浮かべ、選挙区を体現して、一票を投じたい」と、党議拘束を外すことの意義を訴えました。