衆院内閣委員会で4月21日、「孤独・孤立対策推進法案」の質疑が行われ、太栄志議員は(1)医療カウンセリングの利用の促進、(2)防衛省・自衛隊における孤独孤立対策、(3)子どもの孤独孤立対策――などについて政府の姿勢をただしました。

■医療カウンセリングについて

 太議員は、医療カウンセリングについて「日本ではカウンセリングについて心を病んだ人が行くところととらえハードルが高い。アメリカでは敷居が低く身近な場所。心を病まないために早めに気軽に受診する」と日米のカウンセリングに対する認識の違いを指摘し、医療カウンセリングの有効活用の重要性を訴えました。

 小倉内閣府担当大臣は「政府の重点計画においてもメンタルカウンセリグの重要性は十分認識している。対策としても引き続き推進していく」と述べました。

 厚生労働省は、「疾患を有するまではいかないが精神保健に関わる課題を抱える等のカウンセリングのニーズが顕在化している」として、「できる限り敷居を低くして、普及のために意識改革と体制整備を両輪で進める」と答えました。

■防衛省・自衛隊における孤独孤立対策

 太議員は、防衛省・自衛隊における自殺の人数と要因を問いました。防衛省は、「2004年から2006年は100人以上を記録したことがある。2007年以降はゆるやかなり、2021年は58人、毎年60人程度の自殺者がいる」「自殺の要因は、勤務環境、家庭問題、健康問題があがっている。自殺の多くは多様で複合的な背景を有しているので確定的に言うのは難しい」と述べました。太議員は、「他の国家公務員より自衛隊員の自殺が突出している。改善できるよう自殺の原因を分析等をしっかり行うべき」と政府に求めました。

自衛隊員の自殺者の推移

(令和3年版防衛白書)

 防衛省は、全自衛隊員におけるメンタルヘルスチェックや駐屯地ごとに部外カウンセラーを設置する等」「メンタルヘルス教育はアメリカを参考にしている」等カウンセリング体制の充実強化への取り組みについて説明しました。

 太議員は、「日米間の情報共有、防衛協力の一つの課題としてあり得る」と指摘しました。防衛省は「現在、衛生連絡官を派遣し日頃から情報交換を行い、随時活用している」と述べました。また、岸前防衛大臣がカウンセリングを受ける等、カウンセリングへの心理的抵抗を低減するための取り組みを進めていることも明らかにしました。

 太議員は、「自衛隊のセクハラ、パワハラ事案があったが、組織としての閉鎖性、規律の維持や任務の実効性の確保等の特殊性」を指摘し、「どういった形で自衛隊の孤独孤立対策を進めていくのか」質問しました。

 小倉大臣「自衛隊ならではの特殊要因の中で、メンタルヘルスの取り組みの必要性を認識」していると述べ、「引き続き取り組みを進めていく」と答弁しました。

 太議員は、「心の問題を抱えることが弱さの一種だと思われる、人事上不利になると思われる等の懸念をなんとか乗り越え、カウンセリングを進めて、利用が拡大できるようにすべき」と述べました。

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■子どもの孤立孤独対策

 太議員は、小中学校の自殺について質問しました。小倉大臣は「自殺は絶対にあってはならないこと。小中高生の自殺が514名と過去最悪を更新した。重く受け止めている」と述べ、子ども家庭庁に、自殺を担当する室を設置したと説明しました。

 太議員は、「本法案が子どもの自殺にどのような役割を果たすのか」質問しました。

 小倉大臣は、「具体的状況はさまざま。子どもの様々な事情やニーズがある。今回の法案では当事者の支援に関わる機関の連携、水平型連携のもとに効果的に支援する。子どもが信頼できる他者とつながる環境づくりが進む」と述べました。

 太議員は、こども家庭庁の自殺対策担当室の人数が10名であることについて「少ないと思う」と述べ、「ポーズだけで終わらずに内実を伴うように。人員規模から拡充をどう考えるか」と問いました。

 子ども家庭庁は、「厚労省と連携して、対策に取り組んでいくことになる。人員規模や予算は、必要に応じて考えていく」と答えました。太議員は、「早急に対処してほしい」と政府に求めました。