岡田克也幹事長記者会見

2023年8月8日(火)15時02分~15時26分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/zEqDOTfJimU


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○人事院勧告 国家公務員の働き方改革について

【幹事長】
 お疲れさまです。きょうは常任幹事会はございませんので、私のほうからちょっと気がついた点だけお話ししておきたいと思います。
 まず、人事院勧告が国会と内閣に提出されました。初任給を含む給与の引上げに加えて、週休3日制なども可能になるような柔軟な働き方の導入などの改革ということが提案されております。私は非常にいいことではないかと基本的には考えております。
 実は外務大臣のときに女性の外務省職員の働き方改革ということをやるための組織をつくりまして、そのときに西村智奈美さん、政務官だったので、彼女に中心になってもらって、いろいろ省内で議論いたしました。結論、本当はフレックスタイムまでやりたかったのですが、つまり外務官僚というのは時間が非常に、24時間体制でやらなければいけませんし、それから、女性が柔軟に子育てなどと両立していくためにもフレックスタイムということを提案したのですが、なかなかそこまでは、当時、人事院との協議などでもうまくいかず、ただ、出勤時間と退庁時間の柔軟化というところまでは合意されたわけです。
 今回、よりそういったものが時間を経て柔軟になってきた。そして、それは女性だけではなく男性の公務員も含めてそういったことが可能になるということは、働き方の質を上げることにつながるものであって、基本的にはいい方向だなと思っております。

○政府保有NTT株の売却に関する議論について

【幹事長】
 それから、NTT株の売却の問題が最近議論に上っております。
 しっかりとした議論をこれからしていかなければなりません。全株、国が持たないで、別の形で規制をかけていくということでいいのではないかと、そういう議論だと思いますが、私も必ずしも株を政府が持つ必要はないのではないかというふうにも思います。党の中での議論はこれからでありますので、しっかりとそれを見守っていきたいと思います。
 ただ、そのときに思い出すのは、実は東日本大震災のときの(復興)財源論として議論したのは、それに加えて、東京メトロ、それからJTとあったわけです。もちろん郵政もありました。
 東京メトロは、おそらく東京都が慎重だということもあるのだと思いますが、議論としてはほとんど消えてしまっているという状況です。なぜ(完全)民営化できないのかと、私は非常に残念に思っております。
 それから、JTについては、当時は被災地にたばこ農家が多いということもあって対象からとりあえず外したわけですが、もうあれから時間もたちます。そもそも、たばこを生産・販売するJTを国が株式を持たなければいけない理由というのはあまりないのだろうと思うわけですね。たばこ農家の保護というのは一つあるかもしれませんが、それはそれで本当に保護が必要であれば補助金制度か何かで国がやればいい話であって、そういう必要があるかどうかの議論はいろいろと意見が分かれるとは思いますが、たばこを生産・販売する企業を国が大株主でなければならない理由というのは非常に乏しい。ですから、そういったものは完全に民営化できるのではないかと思っております。
 そういうことも含めて、しっかりと議論していく必要がある。それが子ども政策や、あるいは、これから高齢化対策、いろいろな意味で予算が必要になってきますので、そういったところに充てていくということが考えられるのではないかと思っております。


■質疑

○マイナカード問題について(1)

【共同通信・恩田記者】
 先ほどからマイナンバーについての会合が官邸で開かれており、今回その中間報告として、マイナンバー、障害者手帳とのひもづけミスが自治体の2割余りで発覚したり、医療情報では1000件余りのひもづけミスが発覚している。岸田首相、保険証廃止の時期の見直しについてはまだ少し保留しているが、これについて幹事長の受け止めをお願いしたい。

【幹事長】
 ですから、いろいろなひもづけなどに当たってのミスの問題と、それから、(現行の)保険証を廃止するかどうかの問題と、ちょっと性格が異なると思います。
 いろいろなミスが起こったことについては、それはあらかじめのマニュアルが十分ではなかったのではないかとか、あるいは、現場にいろいろな負荷がかかり過ぎたということも考えられます。また点検でまた負荷がかかっているという感もありますが、そういったところはしっかりと、そういったミスが、ゼロにはできませんが、非常に個人情報にも関わる話なので、ミスがないようにしっかりと進める責任があると思います。
 保険証の問題は、総理も最終的に来年秋廃止ということを変える含みは残しているということで、一体これは何なのかなと思いますが、基本的にはもっと時間をかけて摩擦のない形でやれば済む話。しかも、保険証の代わりのものをつくるといっても、保険証と私から見ると変わりませんので、何のためにやっているのかよくわからない。そういう問題だと思います。
 いつも申し上げるように、最近、国民民主党や維新もいろいろ言っていますが、彼らも賛成して来年秋の廃止の法律を通したということが、あまり言われていない。何か他人事のように言っているというのはいかがなものなのかと思います。しっかり反省をして、来年の秋ではなく、もう少し時間をかけるという方向で修正してもらいたいと思っています。

【共同通信・恩田記者】
 追加で。ただいま言及があった、資格確認書のことだと思うが、この資格確認書を5年に延長するということで、弥縫(びほう)策という指摘もあるが、こうした首相の説明のわかりづらさについては幹事長はどうお考えか。

【幹事長】
 ですから、保険証とどこが違うのかということがよくわからないのですね。
 それから、それは求めに応じてではなく配布するということですが、どういう手順で配布するのかもよくわからない。
 中身があまり詰まっていないような気がしますね。結論先にありき。とにかく保険証を来年秋に廃止するということを変えないという結論があって、実質的には変えるのだけれども変えないと言い続けたいと、こういうことではないでしょうか。

○連立をめぐる維新・馬場代表の発言について

【朝日新聞・楢崎記者】
 維新の馬場代表の発言について伺いたい。先日ラジオ番組で、自民党と公明との維新の連立の可能性について、選挙を経て二つの政党で政権維持できない状況があった場合は、やりとりとかいろいろ考える余地が出てくると、連立は排除しないというような考えを示された。この発言の受け止めをお願いしたい。

【幹事長】
 仮定の議論ですので、いちいち私がコメントしないほうがいいと思います。

【朝日新聞・楢崎記者】
 可能性論とはいえ、自民との連携に言及する維新と、立憲との連携についてはどのように考えるか。スタンスがちょっと違い過ぎるのではないかという気もするが。

【幹事長】
 それだけではなく、第2自民党とも言われているわけですから、そういうスタンスの党となかなか連携とかいったことは難しいというふうには思います。
 だけど、仮定の下で発言されたことですから、それについてあまりいちいち言うのもちょっと大人げないかなというふうには思っています。

○台湾情勢をめぐる自民・麻生副総裁の発言について

【朝日新聞・楢崎記者】
 別件で。自民党の麻生副総裁が本日の訪問先の台北市内で講演し、中国が軍事的圧力を強める台湾海峡での戦争を未然に防ぐために、戦う覚悟という言葉を使い、日本や台湾、アメリカの抑止力の必要性を強調された。台湾の防衛のためには防衛力を使うという明確な意思を相手に伝えることが抑止力になるというような発言だったが、これについての受け止めをお願いしたい。

【幹事長】
 まず、外交的にそういった台湾有事にならないようにどうするかということが求められますよね。そういうことに言及せずに、そして、台湾有事になったとしても、例えばアメリカははっきりとそういう場合に軍事介入するということは言っていないわけです。そこに含みを持たせている。それが外交だと私は思うのですね。そういう意味で、非常に軽率な、そして、最終的にはこれは国民の命と暮らしを預かっているのは私たち政治家なので、軽々にそういったことを言う話ではないと思います。

○「中国軍が日本の防衛機密網に侵入」報道について

【朝日新聞・楢崎記者】
 最後にもう一点。これも別件だが、中国のサイバー攻撃に関するアメリカの報道について伺いたい。アメリカのワシントン・ポストが、2020年秋に中国軍のハッカーが日本政府のコンピューターシステムにサイバー攻撃を行い防衛機密情報にアクセスしたということを報じた。アメリカの国家安全保障局から日本政府にもこれは通報があったということだが、この報道について、もしご存じであれば受け止めをお願いしたい。

【幹事長】
 私、直接承知しておりません。
 ただ、そういったことが事実としてあったのであれば、それはそれに対してしっかり防御するための対応というのが求められると思います。

○政府保有NTT株の売却に関する議論について(1)

【日本経済新聞・三木記者】
 先ほどNTT株のお話があったが、自民党内では、NTT株の売却などに向けて、今後、NTT法の改正などを含めた勉強の場を、議論の場を設けていくというふうに話が進んでいるが、先ほど幹事長から言及のあった、NTTに加えてJTや東京メトロなど、そういう国が株を持っているものに関しての今後のあり方などを立憲民主党のほうでも何か議論の場を設けていくようなお考えはあるか。

【幹事長】
 与党や政府の中でNTTの株について議論されるのであれば、我々もしっかり議論しなければならないと思います。もちろん、全くフリーにするということを言っているのではなく、一定の防御のための規定とか、そういうものが必要になると思いますが、それが株を持つことなのかというと、そういうことではないだろうというふうには思います。なお党の中でしっかり議論したいと思います。
 そのほかの、JTとか、あるいは地下鉄の問題については、これも我々政権与党のときにいろいろ議論した経緯もありますから、いろいろな国民の負担増ということを議論するときに、まずできることからしっかりやっていくということが大事だと思います。

○マイナカード問題について(2)

【西日本新聞・岩谷記者】
 マイナンバーの質問に戻って恐縮だが、先ほど幹事長のほうから、現場に負荷がかかり過ぎというようなお話があったが、これまで点検作業を進めてきた政府、とりわけ河野大臣の責任についてどのようにお考えかというのが1問目。もう一つ、立憲民主党が次の臨時国会で健康保険証廃止の延期についての法案を提出される予定だと伺っているが、それに加えて、今の政府の点検作業の遅れとか、そういうのを見た上で、どのように改善していくべきかというようなところもあわせて教えていただきたい。

【幹事長】
 河野大臣はもちろんですが、岸田内閣としても、これは内閣全体で進めてきた話ですから、責任がある話だと思っております。
 点検作業でどれだけしっかりしたものが出てくるのか、私も詳細まだ承知しておりませんので、それを見極めて対応したいと思います。

○政府保有NTT株の売却に関する議論について(2)

【時事通信・御船記者】
 先ほどのNTTの部分だが、確認というか、重なるが、基本的には完全民営化の方向に進めたほうがいいというふうに幹事長はお考えなのか。もう少しその辺を詳しく伺いたいのと、NTT、今後、例えばより民営化を強めて自由な経営でもっとより強い企業にすべきと、そういった意見もあると思うが、その点も含めて見解を伺いたい。

【幹事長】
 完全民営化というと普通の会社と同じようになるというふうに聞こえますが、そういうことではありません。やはり国として重要な基幹産業といいますか、特に情報通信の中核を担っている企業ですから、それに対して完全に手を離してしまうということではなく、経済安全保障の観点、そういう観点からどういう形で関与していくのがいいのかという議論です。それは株を持つことがいいのか、それとも法的に違う形で規制していったほうがいいのかと、そういう議論をしっかり尽くす必要があるということです。

○LGBT理解増進法について

【時事通信・御船記者】
 別件だが、LGBT理解増進法に関連して。法律で基本計画や運用指針について政府が策定するということが盛り込まれているが、なかなか動きが出ていないように思う。政府に対してどういった対応が必要か、その点について伺いたい。

【幹事長】
 我々はあの法律について反対した立場です。非常に問題があると思っています。  ただ、法律としてはもうできていますので、いろいろな法律に基づいた手続、当然政府は、遅れているかもしれませんが、必ず出してくると思います。そのときにもう一度しっかりとチェックしたいと思います。

○「市民連合」との会談について

【幹事長】
 先ほど「市民連合」の皆さんがお見えになりまして、代表と私、選対委員長で対応させていただきました。
 「市民連合」のほうからは、憲法9条、それから13条、そこが非常に重要であると。そこについて、しっかりと党としても9条・13条を守るために対応してもらいたいというご提言がありまして、それはそのとおりであると。我々としては「市民連合」の皆さんと共通の認識であるということを代表から述べさせていただきました。
 私からは、同じような共通の認識を持つ他の野党各党とも、これからその共通の認識の下に連携を深めていきたいということを申し上げたところです。おそらく他の野党にも「市民連合」として同じような見解を伝えに回られるのだと思っています。たぶん私どものところに最初に来られたのだと思いますが。その状況を見極めて、共通認識が立てるところが、各党が、野党各党あれば、そういうところとしっかりとその「市民連合」の提言を共通認識として連携を深めていきたいと考えています。

【NHK・森記者】
 今の件についてだが、まだ決まっていないとは思うが、その連携を深めていきたいというのは、政策ありきということなのか、選挙も含めてなのか。その辺、もしお考えが今の時点で定まっていれば教えていただきたい。

【幹事長】
 いや、選挙とか政策とかということではなく、共通の認識に至れば、その点において連携を深めていきたいということです。

【朝日新聞・楢崎記者】
 今の関連で。きょう「市民連合」のどういった方が来られて、元々趣旨としてはどういった趣旨の面会だったのか。

【幹事長】
 「市民連合」のほうから、現状の政治の状況を非常に心配して、特に9条・13条について非常に重要であるということで、各代表がお見えになりました。事務局の福山さんもお見えになったところです。
 ちょっとその紙が見つからないので、すみません、必要があれば選対委員長に聞いてください。紙はお出しできないかもしれませんが、もうちょっと詳しくお話しできると思います。

【司会(事務局)】
 受け取った紙の取扱いは、ちょっと確認しますので、事務的にご回答します。

【時事通信・御船記者】
 今の関係でだが、「市民連合」とのやりとりの中で、例えば原発の話とか消費税とか、その辺について何かやりとりはあったのか、その提言のほかにあったのか、その点を伺いたい。

【幹事長】
 特にございませんでした。あくまでも憲法の9条・13条です。

【読売新聞・中山記者】
 この件でまた関連して伺いたい。先ほど選挙のことではなくということであったとは思うが、この提言を受けても、幹事長のお考えとして、次期衆院選、ほかの野党との連携のあり方は候補者調整が望ましいという考え方で変わらない、逆に言うと「市民連合」を介した何らかの連携に向けて考え方を変えるとか、そういった可能性はあるか。

【幹事長】
 連携を深めていきたいと思います。

【テレビ東京・川崎記者】
 先ほどの「市民連合」との会談で、憲法9条と13条ということだったが、13条ということは幸福追求権になるかと思うが、それというのは、例えばLGBTであるとか、具体的にはどういう内容で、その幸福追求に関して心配をされているというふうにお話しされていたのか。

【幹事長】
 詳しい中身の説明は特に聞いておりません。まさしく13条そのものだというふうに思っています。