物価高を克服するための緊急経済対策
(年度内、当面6カ月間を対象)

2023(令和5)年10月18日
立憲民主党

 経済とは「経世済民」(世を経め、民を済う)(よをおさめ、たみをすくう)であり、まさに国民の生活を第一とすべきである。しかし、岸田政権の見通しは甘く、急速に進む円安、原油高により物価は高騰を続ける一方で、賃金・所得は物価高に追いつかず、家計は厳しさを増している。にもかかわらず、この間、政府の対策は後手に回り、行われたとしても業界大手への補助金が中心で、肝心の家計は負担軽減を実感できていない。

 現在、政府が経済対策の根拠としていた需給ギャップは解消に向かいつつあり、「規模ありき」の財政出動は更なる物価高騰を助長しかねない。立憲民主党は、バラマキではなく、家計・事業者に直接届く支援、子ども・子育てや実質賃金上昇を支える政策の緊急実施、エネルギー高騰に強い社会構造への転換に向けた省エネ・再エネへの大胆投資など、真に効果的な緊急経済対策を提言する。

1.家計への直接支援 ―暮らしを支え、経済再生・・・・・3.8兆円

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(1)3万円の「インフレ手当」(中間層を含む全世帯の約6割にあたる世帯が対象※)の直接給付
※具体的には住民税非課税世帯の3倍水準以下の世帯と家計急変世帯

(2)「トリガー条項」(1リットルあたり約25円のガソリン税減税)の発動

(3)「暮らしと地域応援重点交付金」の創設、特別交付税措置の継続・拡充
(灯油・重油等を含めた原油価格の高騰対策等を、地域の実情に合わせて実施)

(4)児童扶養手当基準世帯(ふたり親を含む)への給付金(子ども1人あたり5万円)支給

 「緊急前倒しプラン」 ―来年度の本格実施に向けて、立憲民主党の主要政策を先行実施 

 子ども・子育て政策緊急前倒しプラン

 (5)児童手当拡充(高校卒業年次まで対象拡大、一律月額15,000円)の先行実施

 (6)給食費無償化の先行実施(併せて国産・有機農産物の利用を推進)

 (7)「奨学金返済負担の軽減に向けた総合対策パッケージ」の先行実施
 (所得控除の対象に奨学金返還額を追加、有利子奨学金の無利子化、所得連動返還方式の柔軟運用など)

 実質賃金上昇を実現する緊急前倒しプラン

 (8)「学びなおし」支援拡充の先行実施
 (「もっと良い学びなおしビジョン」に基づく公的職業訓練、リカレント教育・リスキリング投資の拡充)

 (9)正規・非正規、男女間の賃金格差是正の緊急実施
 (同一価値労働同一賃金の推進、非正規雇用の入口規制導入など)

 (10)介護・障がい福祉職員、保育士等の処遇改善(+月1万円)の先行実施

2.事業者への直接支援 ―雇用・生業を守り抜く・・・・・1.7兆円

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(1)事業者向け電気料金高騰対策(「エネルギー手当」の事業者支援部分)

(2)中小企業のコロナ債務の一定範囲内での減免等

(3)インボイス制度の廃止

(4)「下請けGメン」(取引調査員)の抜本的拡充による価格転嫁の促進

(5)インバウンド等の旅行需要回復を踏まえた人材不足対策

(6)物流事業者の輸送費負担軽減(高速道路料金の大口・多頻度割引の拡充措置の延長等)

(7)地域公共交通支援(LPガス価格の高騰を踏まえたタクシー事業者支援、バス運転手確保対策等)

 「第一次産業緊急支援プラン」 ―「農林水産キャラバン2023」における現場の声を形に 

 (8)肥料・粗飼料高騰対策の延長・拡充

 (9)鳥獣被害対策の強化(駆除等捕獲活動の経費、ハンター育成等への支援)

 (10)農作物の高温障害の被害実態調査
 (今後、調査結果を踏まえ、緊急支援を実施、高温障害に適応可能な品種・技術の開発を加速化)

 なお、電気代高騰による負担増には「事業者向け電気料金高騰対策」(再掲)で対応する
 これらの支援策をはじめ、第一次産業を力強く支えることで、食料安全保障の確立を図る

3.省エネ・再エネへの大胆投資 ―「危機(ピンチ)」を「好機(チャンス)」に構造転換・・・・・2.1兆円

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(1)電動車への買い替え、充電設備の普及に対する支援

(2)既存住宅の建物断熱化の強力な推進

(3)省エネ家電買い替え支援

(4)中小企業の省エネ推進支援の加速

総額:7.6兆円

(対象期間:2023年10月~2024年3月)

〔 財源に関する考え方 〕

 政府・与党は「税収増を国民に還元する」としているが、この「税収増」が意味するのは、政府の当初の見込みよりも税収が上振れたということに過ぎず、決して余剰金が生まれたわけではない。そもそも、今後「防衛増税」や「異次元の少子化対策」実施に向けた負担増が控えていることや、現に歳入の約3割(35.6兆円)を赤字国債に依存していることを踏まえれば、安易に財源として頼るべきものではない。

 我々は、本緊急経済対策の財源について、来年度以降恒久的な支出となる「緊急前倒しプラン」等に関しては、所得税・金融所得課税の累進性強化、日本銀行保有ETFの分配金収入の活用等により確保し、その他の単発の経済対策に関しては、「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」及び「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」、マイナポイント事業費などの既定経費の減額、基金の余剰金の国庫返納等により確保することを原則とし、将来世代の負担増に繋がる赤字国債については縮減に努めることとする。

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