衆院本会議で10月24日、岸田総理の所信表明演説に対する代表質問が行われ、泉健太代表に続き、吉田はるみ議員が登壇しました。
冒頭、吉田議員は、岸田総理が都内のスーパーを視察した際に「野菜や肉、確かに高くなっている。思い切った対策を実行する」とコメントしたことに関連して、「今回の経済対策で、その解決策は見当たらない」「いつまで続くか分からない物価高に加え、増えない収入の中、限られた家計でやりくりして、いかに安く食事をつくるか頭を悩ませている私たちの生活の声は届いたのか」と疑問を投げかけ、「1円の重みをかみしめている八百屋の娘として、生活の現場の声を代弁し、岸田総理に質問する」と述べました。
■天井知らずの大阪万博予算、政府は国民負担増
吉田議員は、大阪万博の建設費が当初の1.9倍、1100億円の予算超過の2350億円に膨らむことが明らかになったと指摘し、「このまま税金投入が続けば、天井知らずの無駄遣いになる」「少子高齢化で、世界でも極めて深刻な人手不足問題を抱えている。この現実から目をそらし、かつての古き良き時代で、思考が止まっていないか。政治の貧困さがこの万博予算倍増の問題に表れている」と政府の姿勢を批判しました。
■一時的な減税と、恒久的な増税
吉田議員は、今回の所得減税については期限付きであるため「偽装減税」と指摘し、「法人税、所得税、たばこ税の増税によって財源を確保する見込み、防衛増税は恒久的な国民負担となると言いながら、一方で、この防衛増税に恒久的な所得税増税が含まれているにも関わらず、今回、所得税の一時的な減税を検討している」「ちぐはぐ」だと矛盾を指摘しました。
また、政府が検討している高校生子育て世帯の扶養控除の廃止については、岸田総理は「高校生の扶養控除の廃止を検討する事実はない」と発言しました。
■埼玉県議会自民党の「子どもだけの留守番禁止の児童虐待防止条例」
自民党が提出した埼玉県の「児童虐待防止条例の一部を改正する条例案」について、吉田議員は自身の経験に触れながら、母親の気持ちや、子育て現場の現実からかけ離れた条例案を、埼玉県議会の自民党が提出し公明党も賛成したことに触れ、「与党は、時代に背を向けているのはではないか」と述べました。
立憲民主党が「チルドレンファースト」を掲げていること、「子どもを家族とともに社会全体で支える時代だ」と訴えました。
■子どもの貧困対策、ひとり親家庭の支援強化
吉田議員は、子どもの貧困対策の切り札として、昨日、子ども1人当たり月1万円増額する「児童扶養手当増額法案」を国会に提出したことに触れ、「政府が年末に決定する、少子化対策財源のうちの5000億円の中で、この児童扶養手当増額に充て、低所得のひとり親家庭、貧困に苦しむ子どもたちをしっかり支える」よう政府に求めました。
■子ども予算・給食の無償化・教育の無償化
立憲民主党の経済対策について、「児童手当月1万5千円を高校生に、今月10月から支給を前倒し実施する。また、低所得子育て家庭の子ども一人当たり5万円の『子育て世帯生活支援特別給付金』を再支給する。さらに、小中学校の給食も10月から無償化する。介護職員、障がい福祉職員、保育士などの月給も1万円引き上げる。これらを10月分からさかのぼり恒久政策として行う。さらに、この10月から奨学金の返済利子をゼロにし、加えて奨学金の返済額を所得控除の対象とする。このような政策こそが、バラマキではなく限られた予算を有効に使い、必要な方に届ける経済対策」と訴えました。
本年6月に立憲民主党が国会に提出した「給特法廃止・教職員の働き方改革促進法案」について、「現在、学校現場では、教職員の過労死ラインを超えた長時間労働や膨大な業務量が常態化し、休職者の増加や教職希望者の減少などによって、深刻な教員不足に陥っている。ついては、事実上、残業代がほとんど払われず長時間労働の原因となっている給特法を廃止して、教員の業務量の削減や、教職員の確保をすべき」と法案の成立を訴えました。
■細田前議長のセクハラに対する認識
細田前議長が、先日の会見で、「セクハラの被害者が名乗り出ていないから、セクハラは無かった」と発言したことについて吉田議員は、「これは被害女性が簡単に名乗り出ることができない、根本的なセクハラ問題を理解していない発言であり、受け入れることができない」と批判しました。岸田総理も「一般論として、名乗り出る人がいなければセクハラでないと言う考え方は適切でない」と述べました。
最後に吉田議員は、立憲民主党が「今年に入って33本の議員立法を提出しており、今日だけでも、泉代表と私を含めて、21本の議員立法に触れながら、多くの具体的な提案をした」と語りました。
「私たち国会議員は、国民への奉仕者です。互いの違いを力に変え、建設的な、まっとうな国会議論をしましょう。国民の生活を支え、誰も取り残さない、国民一人ひとりが大切にされる日本を、未来につなぐ責務がある」と述べて質問を終えました。
吉田議員は、本会議終了後に記者団からの取材に応じました。本会議場のひな壇に女性大臣が数人座っていても岸田政権に女性の副大臣、政務官がいないことを指摘。「女性の係長や課長等ラインマネージャーと呼ばれる方々がいない状況で、取締役だけ女性を据えても何も変わらない。政治も同じで、衆議院は女性議員が1割しかいない中、大臣だけ女性を見せるのは、問題の解決になっていないと改めて感じました」と述べました。