旧統一教会の被害者救済のため、解散命令前の財産の流出を防ぐための法案が11月24日、衆院法務委員会で審議入りしました(写真上は、趣旨説明をした西村智奈美代表代行)。

 自民・公明・国民の法案と、立憲・維新の法案の両案について激しい議論が行われました。委員会冒頭の趣旨説明は、立憲・維新案について西村智奈美代表代行が行い、質疑では、長妻昭政務調査会長、吉田はるみ議員が両案について質問しました。

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 長妻政務調査会長は、過去のオウム真理教のときに財産保全について大きな失敗をしたと述べました。

 自民・公明・国民案の不動産を処分する場合には所管庁に通知し公示する点について、通知してからでは止められない、逆にアリバイになってしまうのではないかと指摘。また、資産の一部を処分する場合に、どの資産を処分しても金額としては変わらないので、この項目は有効性がないのではないかと述べました。

 また、旧統一教会が自民党の議員に対し、財産保全に関連する法案を提出しないことなどを求めるファックスが送られていた事に関連し、法案提出者に(1)ファックスに対する対応(2)旧統一教会との接点(3)旧統一教会の影響を受けているか――をただしました。

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 吉田議員は、立憲・維新案について信教の自由との関係についてただすと、提出者の西村議員は「極めて限定された場面だけに適用されるよう要件を絞り込んでいる」と述べ、「(世俗的側面を対象としており)宗教団体や信者の精神的、宗教的側面にかかわる意図によるものではない」などと述べ「信教の自由に抵触するものではない」と説明しました。

 財産保全の必要性について提出者の山井和則議員は、現状を説明した上で、1年2カ月にわたり30数人の被害者から話を聞かせていただいた上で法案を作成したと説明。「主人公は被害者の方々」だとして、自民・公明・国民案は作成に際しどのくらい意見を聞いたのか、被害者に救済されるのか確認をされているのかと述べ、自民・公明・国民案もいい面はあるとした上で、「ぜひ野党案(立憲・維新案)も通していただきたい」と語りました。

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会見を行う阿部克臣弁護士

 委員会を傍聴していた旧統一教会被害者の中野容子さん(顔出しはNG)、全国統一教会被害対策弁護団の阿部克臣弁護士が委員会終了後に会見を行いました。

 中野さんは、最初に質問をした自民党議員の質疑を見て、自民・公明・国民案と立憲・維新案の両案が対立していると言われたので、「そういう認識なんだ」「ある種けんかする気まんまんなんだと思い、非常に残念な気がした」と感想を述べました。

 「できたら両案の良いところを取り、成立させてほしい」と語り、立憲・維新案の財産保全は被害者救済の点で絶対に必要であり、自民・公明・国民案の裁判を支援するような内容もあれば、より裁判が進めやすくなると思うと話しました。

 阿部弁護士は、「与野党、ぜひ協議をしていただき、どちらも成立させてほしい」「与党(自民・公明・国民案)の案だけでは被害救済は不十分。他方で、立憲・維新案も憲法に反しないものだと考えているが、与党が憲法への抵触の疑いを指摘するのであれば、あるいは実効性の観点から疑問を呈されるのであれば、協議していただき、修正した形であってもどちらも成立させてほしい。それが最も被害者救済に資する」と語りました。

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提出者として答弁する吉田統彦議員
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提出者として答弁する山井和則議員