衆院予算委員会で1月29日、政治資金問題等に関する集中審議が開かれ、大西健介、階猛、山井和則の各議員が質疑に立ちました。

大西健介議員

 冒頭に大西議員は、国会召集日の26日に被災者生活再建支援改正法案を野党共同で提出したことを報告し、「復旧復興に全力を挙げ、党派を越えてしっかりやりたい」と述べました。

 次に、自民党派閥による政治資金規正法違反事件を巡り、総理が本部長を務める自民党の政治改革刷新本部で議論している間に離脱したはずの派閥を解散したことについて、「(派閥「宏池会」の会長を辞任したのに解散を決定するのは)支離滅裂、保身のためのパフォーマンスにしか見えない」とし、総理に説明を求めました。総理は派閥の解散理由として「元会計責任者の対応等は私が会長を務めていた時代のことで、『けじめ』の観点から役員と議論した」とし、同本部については「中間取りまとめで政策集団の政治資金パーティーはやらない、人事との関与を切り離すとしたルールを定めた」と答えました。大西議員は「派閥会長として会計責任者に責任を負わせ、知らなかったでは許されない」「派閥が人事に影響を及ぼすから悪いといったことであれば、今の岸田内閣は派閥の推薦で構成されている。正当性がない。一旦リセットして内閣総辞職すべき」と迫りました。

 また、大西議員は「裏金の全容」を明らかにすることが重要だとし、総理が裏金に関わった自民党議員の人数を収支報告書記載漏れの人数でしか把握していないことについて、「政治改革刷新本部もへったくれもない」と批判しました。そのうえで「全体が裏金に汚染されているのに、その人たちに事情聴取しても意味がない」とし、公正中立な第三者委員会を設けるべきと問題視しました。総理は「まずは具体的に関与が指摘されている議員の聞き取りを行うことからはじめて、今回の事案を把握することが重要」と答弁するにとどまりました。

 大西議員はその他、「宏池会解散にともなう繰越金の処理」「自民党へ交付予定の政党交付金160億円」「岸田総理に関する『違法パーティー』疑惑」について質問しました。

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階猛議員

 階議員は、(1)パーティー売り上げ金を原資とする「裏金」が必要な理由(2)安倍派参院議員が選挙年に還元を受けた「裏金」の使途(3)「政策活動費」の問題につき自民党政治刷新本部(本部長:岸田総理)の「中間とりまとめ」で触れなかった理由(4)「政策活動費」が地方議員の買収に使われている可能性と捜査の必要性(5)「政策活動費」が雑所得となっているにもかかわらず、課税を免れている可能性――等について、岸田総理の見解をただしました。

 階議員は冒頭、能登半島地震で被災した志賀町に行った際に見た、上下水道が使えない、必要な情報が伝わっていないといった状況に「安倍政権以来、国土強靭化計画を進めてきたはずだが一体何だったのか」「デジタル田園都市構想と言うが構想だけで何も進んでいなかったのではないか」と指摘。「われわれ国会議員の任務は、被災地に限らず国民の代表として全国のさまざまな現場・地域の実情を把握し、専門家などの力も借りながら国民の声を反映させた政策をつくり、世論を喚起しながらその実現を目指すこと。そのために必要なお金が政治資金であって、民主主義の実現にプラスになるからこそ非課税という特権が与えられている。逆に言えば政治資金を本来の目的に使うのであれば収入も支出も明らかにして何ら問題はないはずだ」と述べました。

 「裏金がなぜ必要だったのか」との問いに明確な答えができない岸田総理に、階議員は「非課税の特権を与える必要は全くない」「まもなく確定申告が始まるが、今のままでは国民の納税意識が損なわれることは明らか。国民に納税をお願いする行政の長であり、自民党のトップである岸田総理から、裏金を受け取った議員に対しては全員修正申告をして納税義務を果たすよう命じるべきだ」「今一番国民が求めているのは増税でも減税でもない。裏金議員の納税だ。この納税義務を直ちに果たさせるように」と迫りました。

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 安倍派参院議員が選挙年に還元を受けた「裏金」の使途については、選挙直前になると例年にはない高額の献金を地元京都府連に行い、その直後にそれと見合う金額が地元の多数の地方議員に均等にばらまかれるという、マネーロンダリングの疑惑があった二之湯元国家公安委員長の案件について、選挙買収に使われていた可能性もあると指摘。「民主主義を害している可能性もある。政治資金の本来の趣旨とは真逆の方向に裏金が利用されている恐れがあることを自覚して早急に実態解明を」と求めました。

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 自民党の「中間とりまとめ」で抜け落ちた「政策活動費」をめぐっては、政党から政治家個人に配られるものであって、受け取った政治家は受領した事実や使途を収支報告書に記載して報告する必要がない、法律上認められた、いわば公認の裏金となっていると問題視。二階・元幹事長には5年間の幹事長在任中に50億円超のお金が支払われていることに、「政治活動費がゆめゆめ選挙買収の原資になっていないかきちんと調査すべきだ」と主張。加えて、国税庁にも確認した上で、「政策活動費はその年に使い残しがあれば雑所得として所得税の納税義務が生じる」と指摘し、「1人で50億円以上も全部使い切っているのか。しっかり調査して国会に報告してほしい」と求めました。

 その上で、通常の政治資金と同様、収支報告書に記載する扱いにし、政策活動費は廃止すべきだと迫りましたが、岸田総理は「政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中であるべき結論を出すべきだ」と消極的な姿勢に終始しました。

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山井和則議員

 山井議員は自民党の裏金問題について「制度論も議論したいが、まずは早急な実態解明、全容解明が必要。これなくして再発防止なし」と強く主張しました。

 そのためにも、本予算の審議が始まる前までに、裏金議員リストを岸田総理から提出すべきと求めました。これに対して岸田総理は「できるだけ早く」としか答えませんでした。

 山井議員は「本当は被災者支援や物価高対策、社会保障の審議をしたかった。全容解明のために自民党の裏金議員リストが今日までに提出されていれば、こんな質問せずに済んだ」と訴え、改めて自民党の裏金議員リストの予算委員会での提出と二階議員、高木議員、下村議員の参考人招致を求め、予算委員会の理事会で協議することとなりました。

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