参院本会議で5月8日、「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」に対する代表質問を水野素子議員が行いました。

■海上自衛隊ヘリ事故

 水野議員はまず、4月20日の海上自衛隊ヘリ事故で亡くなった方と不明者の早期発見を祈念しました。その上で、昨年4月の宮古島での事故など、事故が続く原因と再発防止策について、政府に説明を求めました。

 また、水野議員は、近年多発する自然災害への救助活動が、防衛省・自衛隊の他の業務に影響がないか政府に見解を求めた上で、年に4~5件も激甚指定災害が発生するなか、政府が都度対策本部を設置する場当たり的な対応であることにも触れ、国民の安全・安心のため、防災・復興庁(仮称)等、災害と復興対策の司令塔に特化した常設の専門組織・機関の設置を検討してもらいたいと政府に要望しました。

■統合作戦司令部の新設

 水野議員は、本法案において自衛隊の陸海空の各部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部(仮称)」が新設されることについて、「米軍との連携が強化され、統合作戦司令部に一部授権がされたことで文民統制に問題はないか」「政府の反撃の判断プロセス」などの懸念点を木原防衛大臣に問いました。

 木原大臣は、「統合作戦司令官の権限は、すべて防衛大臣の命令によることから、防衛大臣が自衛隊を指揮監督する体制が確保されるため、文民統制が侵されることはない」「武力攻撃事態等に至った際のわが国の武力の行使については、事態対処法の手続に則り、対処基本方針を閣議決定し、国会の承認を求めるなど国会の関与を得て運用する」と答弁しました。

 水野議員は、今回の統合作戦司令部の新設により日米防衛関連組織の改編をするのであれば、文民統制の確保や平等なパートナーシップのための日米合同委員会の構造改革と日米地位協定の改正も必要だと訴え、日米2+2などで真摯に話し合うべきと政府に求めました。

■任期付き自衛官等の導入の前提となる人材の確保や育成

 水野議員は、任期付き自衛官等の導入の前提となる人材の確保や育成について、日本が宇宙をはじめ専門人材が不足していると指摘。理工系などの専門人材の育成が急務として、「ドイツのマイスター制度のように、早期に専門能力を伸ばすことが子どもたちの生きる力を伸ばし、日本の競争力にもつながる」とし、工業・農業・水産高校など高校課程の専門教育にもっと力をいれるべき」と主張しました。

■日独物品役務相互提供協定(ACSA)

 水野議員は、日独ACSAに対応するための自衛隊法改正案には「武器の提供は含まない」とあるが、日独ACSA協定案では弾薬が提供対象となっていること等に触れ、「自衛隊法における『武器』の定義を統一し、明確化するべき」と指摘しました。また、ACSAでは合意があれば第三国への防衛装備移転が認められているが、第三国移転に合意する場合の具体的な判断と基準を政府に求めました。

 木原大臣は、「防衛装備三原則等では自衛隊法と異なる武器の定義が使われているが、当該武器の具体的な内容はそれが規定されている規範の趣旨目的に照らして定められるもので両者を単純に比較することは適当でない」「提供国政府の書面による事前の同意を得ないで、受領国政府の部隊以外のもの、または団体に移転してはならないとされている。仮に相手国政府から自衛隊が提供した物品を第三国へ移転することへの同意要請があった場合は、状況を総合的に勘案して、わが国政府として主体的に判断することになる」と答弁しました。

■国際機関(GIGO)の設立

 水野議員は、本改正案にて次期戦闘機共同開発のため、国際機関(GIGO)が設立されることにも言及。「わざわざ運営コストのかかる国際機関を作らず、国際約束で役割分担・権利義務の関係を定め、企業を共同選定し、定期的な運営会議で進捗を管理する方が合理的ではないか」と指摘しました。また、海外に派遣する国費の負担について、政府が防衛費を5年で約43兆円に増やし、国民に増税で負担してもらうため、「国民の理解は得られない」と批判しました。

 最後に水野議員は、4月の総理大臣の訪米が、裏金問題や旧統一教会問題などの不祥事から国民の目を逸らし、衆院補選前に支持率を上げるためだったのではないかと指摘しました。その上で、政府の政治姿勢に国民の不満が高まっているとして、「国会を経ず閣議決定された安保三文書などの近年の密室的な政治、その背景にある金権政治、古い政治を根本的に変えていく」と決意を述べ、答弁を締めくくりました。

【修正全文】20240508防衛省設置法(水野素子).pdf

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