衆院本会議で5月9日、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案」に対する趣旨説明が行われ、城井崇議員が質疑を行いました。

 城井議員は冒頭、水俣病患者の方々との懇談でのマイク打ち切り問題について、明らかに「被害者たちの言論を封殺する許されざる暴挙」として、伊藤環境大臣の責任を追及しました。

 本法案に関連して、城井議員は(1)子どもに関わる全ての職種を対象として対策を行うこと(2)再犯防止の観点から、過去に子どもに対するわいせつ行為をした者を、原則として二度と子どもに関わる職につかせないようにすること(3)子どもと過ごす時間の長い職種に対して子どもへの性犯罪歴等の情報管理を行い、不適格者でないことを証明した上で採用するよう求める「日本版DBS制度」を検討すべき――等の立憲民主党の基本的考え方を述べました。

 旧ジャニーズ事務所の元社長による所属タレントへの性加害問題について、国会においても再発防止や被害者への救済策に取り組み、昨年5月には、地位を悪用した性加害の未然防止や早期発見を行う「地位利用第三者児童虐待防止法案」を衆議院に提出したこと、与党が拒否した経緯について触れました。

 城井議員は「子どもを守り育てる立場にある大人によるわいせつ行為は、決して許されない」と述べ、政府提出法案に対して、子どもたちを真の意味で性犯罪から守れるかという点で、懸念もあるとして以下の点について質問しました。

(1)子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもたちの保護、安全を第一にする仕組みとすること。一方、犯罪歴という本来は厳重に秘匿すべき情報を、例外的に利用を許すという制度が「職業選択の自由」や「プライバシー」という憲法的価値に関わることへの認識。

(2)日本版DBS制度におけるプライバシーの保護についての制度設計について。

(3)誰が日本版DBSから性犯罪歴等を取得すべきかの点について、本人提出型ではなく事業者照会型とした理由について。

(4)情報管理の管理の在り方について。

 加藤鮎子子ども担当大臣は「法案は判例や個人情報を踏まえ、国が事業者に情報を提供するのは子どもの安全を確保するための措置を講ずる義務を課す学校設置者等や認定を受けた事業者に限るとともに、その措置を講ずるための手立てとして必要かつ合理的な範囲の情報に限り提供することとしている。更に対象事業者には情報等の適正管理義務を課すとともに情報漏洩に罰則を設ける」と答えました。

(5)対象事業者に提供する犯罪事実確認書の内容構成について。

(6)「示談で不起訴」や「起訴猶予」のケースを対象外とすると、再犯率が高い子どもへの性犯罪を予防できるのか。

(7)対象となる事業者の範囲について民間教育保育等事業者にどのような事業者が含まれるか。また、旧ジャニーズ事務所の元社長のように、事業者トップの地位の特権性を利用して子どもへの性暴力を行う者に本法案が対応できるのか。

(8)児童対象性暴力の「おそれあり」の場合の措置について作成予定の「ガイドライン」の内容について

――等について確認しました。

 続いて、必要な性犯罪の未然防止及び被害者のための対策についても質問しました。

「日本版DBS法案」城井崇議員 20240508.pdf

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