立憲民主党は6月7日、「悪質ホストクラブ被害防止法案」(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案)を衆議院へ提出しました。
「悪質ホストクラブ被害」とは、一部のホストクラブ等で利用客が「売掛金(ツケ)などのかたちで支払い能力を超える債務を負担させられ、その弁済のため国内外での売春など違法行為・犯罪行為をさせられる等の問題です。
この問題に対処するため、立憲民主党は昨年11月に「悪質ホストクラブ被害対策推進法案」を国会へ提出しました。これと前後して、厚生労働省がウェブサイトで相談窓口の紹介など啓発を行ったり、警察が取り締まりを強化する等、関係機関による対応が行われてきましたが、被害は一向になくなりません。
この点、悪質ホストクラブ等による被害者の支援を行っている団体からは、かねてより、深刻な人権侵害を防止するため、悪質ホストクラブ等が「売掛(ツケ)」を行うことを禁止すべきとの提案がされていました。
今回の法案は、売掛を禁止するものではありませんが、ホストクラブ等に対し、客の支払能力に照らして不相当に高額の債務を負うことにならないかどうか確認する等の義務を課し、義務違反の場合には営業停止処分等の対象とするなど、売掛を含む過大な債務を負担させる行為について「ハードル」を設けることによって、被害防止をはかるものです。
法案提出後の会見には、娘が被害にあっているという女性が「すべての始まりは高額の借金を負わされるところにある。規制する法律ができれば被害は減ると思う」と法規制への期待を語りました。また、かつて悪質ホストクラブ被害にあい、現在「ぱっぷす」スタッフとして活動する女性は、「いったん被害にあうと、抜け出すことは難しい。売掛という借金が問題」と、改めて売掛規制の必要性を訴えました。「トー横」のある新宿で被害者支援を続ける「青母連」会長の玄秀盛さんは「被害は歌舞伎町だけでなく全国に広がり、暴力団の資金源にもなっている。少しずつでも対策を前進させ、問題を解決していきたい」と引き続き立法を促す考えを示しました。
筆頭提出者の吉田はるみ議員は、「昨年来、初回の利用を無料にして利用者の拡大を図るなど、事態が悪化している部分もある」「超党派でこの問題について議論を進め、法律を成立させたい」と成立へ向けた決意を語りました。