立憲民主党は6月18日、カスタマーハラスメント対策の速やかな実施を求め、武見厚生労働大臣に申し入れました。

 近年、カスタマーハラスメントは深刻な社会問題となっています。UAゼンセンが今年実施した実態調査では「直近2年以内に迷惑行為被害にあったことがある」との回答は46.8%となりました。カスタマーハラスメントは被害者の心身に影響を及ぼす深刻な問題であり、労働者を守るための対策が必要です。立憲民主党は厚生労働部門、内閣部門(消費者問題)、雇用問題対策PTの合同会議で労働組合や消費者団体からヒアリングを行った上で要請事項を取りまとめ、対策を速やかに実施するよう、厚生労働大臣に強く要請しました。

 要請事項は、(1)正当な苦情の申出は事業者、消費者双方にとって利益があることから、カスタマーハラスメント対策は、正当な意見を受け入れてもらえなかった場合の制度を整備することも含め、消費者が苦情の申出等を行う機会を十分に確保することを前提とし、カスタマーハラスメント対策を講じる際に、消費者からの苦情の申出等が不当に妨げられることのないよう特に配慮すること(2)国全体でカスタマーハラスメント対策を推進するため、政府内に協議会を設置して基本方針を策定すること(3)法改正を含めて検討し、カスタマーハラスメントによる健康被害等について労働者の保護のための措置を講ずることを事業者に義務付けること。その際、公務、教育・保育、医療・介護を含むすべての業種を対象とすること。また、業種ごとに事例を積み上げてカスタマーハラスメントを定義付けるとともに、消費者による正当な苦情の申し立てがカスタマーハラスメントに含まれないよう、法律で定義を明確にすること――等の6項目。

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 申し入れ後に記者団の取材に応じた厚生労働部門長の高木真理参院議員は、「大変激しいクレームや過度な要求などで働く人たちが心身ともに病んでしまう事態が問題化している。これに対して事業者に対応を求めるなどの何らかの対策を取りまとめる必要があり、論点をまとめて要請した」と要請の趣旨を述べました。その上で、「武見大臣からは夏に向けて政府でも取りまとめを進めているが、論点を出してもらったのは有意義だという受け止めをしていただいた。カスタマーハラスメントの定義は難しい問題であり、消費者の正当なクレームが委縮することがないようにするための定義の難しさなどについて配慮しつつ、問題点を要請した」と大臣とのやり取りの内容を紹介しました。

 また、内閣部門長代理(消費者問題担当)の大西健介衆院議員は、「正当なクレームを言う権利を委縮させないようにするため、カスタマーハラスメントの定義が難しいことについては大臣も言われていて、問題意識を共有しているということであった。大臣からは立法府においても定義をつめるような検討をしてほしいと話があった」と説明しました。その上で、「カスタマーハラスメントをなくしていくことについて、与野党で建設的な議論をしていきたい」と意気込みを語りました。また、カスタマーハラスメントの定義の難しさについて、「セクハラ、パワハラも法制化されたことでこのようなことがセクハラ、パワハラであるという相場観が醸成され、セクハラ、パワハラをしていけないということが社会で一定程度共有できるようになってきた。同じように、難しいが一定の定義で法制化することで、ここまでやるとカスタマーハラスメントであり『してはいけない』と社会で共有できるようになっていくのではないか。定義が難しいということで止まるのではなく、一歩を踏み出すべきではないか」と述べました。

 さらに、雇用問題対策プロジェクトチーム座長の西村智奈美衆院議員は、「働く人たちの健康を守るためにカスタマーハラスメント対策は非常に重要である。事業主への義務付けで労働者保護をお願いしたい」と述べました。

 今回の申し入れには他に、井坂信彦、早稲田ゆき、堤かなめ各衆院議員、村田享子参院議員が参加しました。

カスタマーハラスメント対策を求める要請(2024年6月18日) .pdf

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