泉健太代表は7月19日、国会内で会見を開き、(1)海上自衛隊の不祥事(2)旧優生保護法(3)堀井議員の家宅捜査(4)他党との協力(5)選択的夫婦別姓(6)ミッション型内閣――等について発言しました。

(1)泉代表は、党ヒアリングで、潜水手当不正受給で4人逮捕があったとの報告があったことについて、「本来、防衛省から国民に説明すべき内容。それがタイミングが遅れて、昨日、公表された形になった。公表の基準をしっかり作ってもらいたい」と政府に求めました。

(2)旧優性保護法について、泉代表は「過去の立法が誤りであったと率直に認めるべき」と述べ、立憲民主党から各党に、賠償の対応を早期に行う国会決議を行うよう働きかけていることを明らかにしました。

(3)自民党の堀井学衆院議員の家宅捜索、離党について報道されていることに関して、泉代表は「裏金の問題が根深い。堀井議員は、2196万円で裏金ランキング8番目。3月下旬に説明らしきものがあったが、『交際費など』で終わっている。領収書もない。今回、裏金捜査の過程で香典のことが分かってきたと伝えられている」と指摘し、「使途を『交際費など』で説明していた、領収書もない議員たちが同様の事をやっていないのか、裏金を原資に何をやっていたのか問われる。裏金議員は使途を説明せよ」と引き続き裏金問題の真相解明を求めていくと述べました。

(4)泉代表は、他党との協力関係について触れ「各政党、それぞれの考え方があるので、一方的なことを言うのは慎むべき」と述べ、立憲民主党のエネルギー政策を例に挙げ「立憲が現実路線になっていることは説明してきた」「安定供給、安価」と党の考え方を説明しました。「相手を尊重していきたい。話し合いが大事」と強調しました。

(5)自民党が選択的夫婦別姓について3年ぶりに議論を再開したことについて泉代表は、自民党について「根深く伝統的家族観が残っていて、30年結論が出なかった」「岸田総理も進める気があるのか問われる。今の自民党には進める気が感じられない。この国のためを考えた時に、フラットで多様な価値観を認めないと、むしろ活力が削がれてしまう」と述べ、選択的夫婦別姓を実現する重要性を述べました。「男性も女性もお互いも自由に生きていける社会を作っていかないと、地域の活力も衰退していく。選択的夫婦別姓を実現していきたい」と訴えました。

(6)泉代表が訴えている「ミッション型内閣」に関連して、「私もこれまでも各党幹部とは様々なやりとりをしていているが、来週以降も、率直な意見交換をしていきたい」と述べました。


泉健太代表記者会見

2024年7月19日(金)10時31分~11時08分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/jZV46u-H-I8


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○潜水手当不正受給 海自元隊員逮捕の公表遅れについて

【代表】
 おはようございます。
 まず、海上自衛隊のことですね。これはきのう、我が党のヒアリング、党の会合の中で、今回の海自の不祥事の問題、自衛隊の不祥事の問題について、ヒアリングを防衛省から行いました。
 そうしたところ、実は隊内で潜水手当の問題で逮捕者があったということの報告があって、これはやはり本来ちゃんと組織の側から、自衛隊・防衛省の側から国民に対して説明をするものに含まれているべきものであって、それがタイミングがこうして遅れてきのう公表された形になったということについては、防衛省も問題意識を持っていますので、ぜひこれからは、こういった公開の考え方、基準、指針みたいなものについて、防衛省・自衛隊にはしっかりつくってもらいたいということをまずお話ししたいと思います。

○旧優生保護法めぐる立法府としての対応について

【代表】
 旧優生保護法、これはもう総理も謝罪をしましたし、そして、国会としてもこれは過去の立法がやはり誤りであったということを率直に認めるべきだと考えておりますので、今、立憲民主党からは各党に対して、国会決議を行うべきだと、国会決議を求めるということで取組をさせてもらっています。
 次期国会の中で、一つは、やはり過去、もちろんそのとき決めた立法者たちは今この国会にはおりませんが、しかし、過去に立法府で定めた法律がこうして多くの方々を傷つけることになったということを、国会としても意思を表明して謝罪をするということ。そして、今後の賠償ですとかの対応を早期に行うということについても、この国会の決議には入ってくるのかなと考えています。これをぜひ取り組んでいきたいということであります。

○参議院会派の会長選挙について

【代表】
 我が党ですね、きょう一部報道が出ておりましたが、参議院の議員の会長に、今、立候補届がなされるということで、きのうまでが締切りでありましたが、水岡現会長のみが立候補届出をしたということでありまして、現時点ではその事実のみをご報告させていただきたいと思います。

○自民・堀井議員 裏金原資の香典配布疑惑について

【代表】
 自民党の堀井衆議院議員の家宅捜索、そして、離党ということの報道が流れました。
 これはやはり裏金の問題というのは根深いということですよね。結局、堀井氏は2196万円と、自民党の裏金ランキングでいくと8番目の額でしたが、彼自身、結局2196万円は何に使っていたかは説明がなかった。過去、3月の下旬に一応説明らしきものがあって、交際費などという言い方で終わっているわけですね。領収書はないということであって、今回、この裏金の捜査の過程で、堀井議員が(秘書らを通じて)こうした香典を持って回っていたということがわかってきたというふうに伝えられていますので、自民党のほかの議員で交際費などだとかで説明をしていて領収書もないという議員たちが同様のことをやっていないのかどうか。ここは裏金を原資にどんな活動をしていたのかというところがやはり問われる部分だと思いますので、この裏金、それぞれの議員について、裏金議員は使途を説明せよということを改めて我々としては訴えていきたいと考えています。

○政権交代に向けて(1) エネルギー政策について

【代表】
 きのう国民民主党の玉木代表が会見で、立憲民主党が綱領で「原発ゼロ」を掲げていることに関してということで、いろいろとお話があったと聞いています。
 これは総選挙に向けて共に政権を担うという決意があるのであれば、政策のすり合わせというのは一定私も必要かなと考えています。そして、代表間ではその認識は一致をしていて、今、連合の議員団を一つのテーブルとして、さまざまに、まずそういったところでも話合いをしていただいています。
 一方で、やはり各政党それぞれ考え方があって別な政党なわけですから、一方的に相手に何々を変えろとか何々はけしからんということは、それはやはり慎むべきだと思いますね。お互いちゃんと話合いの中でやっていくべきことであろうと思います。
 立憲民主党が今、私の代表の下で現実路線に立っているというのは、これまでも何度も説明をして、多くの党の党内にも理解をいただいているところでありまして、現に立憲民主党のこのエネルギー政策というか党の綱領を改めて読ませてもらいますと、我が党はこのエネルギーのところで、「私たちは、地域ごとの特性を生かした再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会を構築し、あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します」と。ここの「原発ゼロ」という文言だけを、ひたすらそこだけ切り出して考えるというのは、やはりミスリードですね、今の文章を読んでいただいても。
 これ文章を読んでいただくと、まず、「私たちは、地域ごとの特性を生かした再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会を構築」するのです。その構築をして、「あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します」ということで、全国各地で僕は演説でも、そして党内での勉強会でも言っていますが、安定供給は当たり前ではないですか。そして、できる限り国民生活に、あるいは企業活動に影響が出ないように、安価・安定の供給というのがこれは当たり前ですし、今、立憲民主党はその路線で考えています。
 ですから、新たな安定的な電源、これは再生可能エネルギーで進めていきたいと思いますが、新たな安定的な電源がまさに安定して供給されるというところまでは、従来の、現在のさまざまな発電というのはやはり利活用していかなければ、それは国がやっていけませんので、そういった意味で現実的な対応に立っていて、何も立憲民主党が政権を取ったらすぐ原子力発電所を全部停止しますとか、そんな話は全くしていないわけです。あくまで現実路線。安定供給、安価な供給ということを言っています。
 繰り返しになりますが、立憲民主党は安定政権をつくるための政策をそろえています。その中で、間違いをあえて強調しようとするのか。それとも、そうした現実的な考え方に立つ者に対して、それでもなお違うんだ、違うんだと言っていくのか。そこで政権を担う覚悟というものも問われていくのだと思います。
 そういったところも含めて、立憲民主党としては立憲民主党の主張をこれからもやはりしっかり大事にして、もちろん話合いはしていきたいと思いますし、どこまでどういうような合意形成ができるかというところは、丁寧に、また、相手を尊重してやっていきたいと考えております。
 しかし、やはり話合いが大事であると。一方的な見解だけでは、これはうまくいくものもうまくいかなくなるということですから、そこはしっかり我々として丁寧にやっていきたいと考えております。

○選択的夫婦別氏制度の早期導入に向けて

【代表】
 自民党が選択的夫婦別姓について3年ぶりに議論を再開ということがありましたが、しかし、やはり自民党の中では伝統的家族観というのが根深く残っていて、この自民党で30年くらい、四半世紀くらいですね、ずっと結局は行きつ戻りつで結論が出てこなかった。岸田総理は先送りできない課題を一つ一つ解決していくといつも言いますが、ある意味、先送りの四半世紀、先送りの25年間と言っていいと思いますので、これは岸田総理も進める気があるのかどうか問われるわけなのですが、今の自民党ではそれは感じられないということですよね。
 この伝統的家族観というのを、本当にこの国のために考えたときに、やはりもう少しフラットな、多様な価値観を認めていくというふうにしないと、むしろ活力をそいでいってしまうということではないかと思います。
 これは先日もNHKさんが特集をしていましたが、今、地域社会から若い者がどんどん都市部に流出をしているという話ですね。男性・女性どちらが流出をしているかといえば、むしろ女性のほうが流出をしていて、地元に戻ってこないんだという報道でありました。その理由の一つというのが、地域社会のいわゆる閉鎖性。ある種、性別における役割分担意識の強さというものが、それはもうお祭りにしても、女性はいつも、いわゆる食事を作る役割とか着替えを担当する役割というふうに決まり切ってしまっている。子どもたち、女性たち、若い女性たちがそれを見て、こういうふうに全部決められているような地域社会では自分の自由は実現できないといって都市に流れているという報道がありました。それはうなずけるところがありますよね。
 ですから、きのうは福井で演説しましたし、その福井でも、やはりそういった演説をしたときには女性の皆さん非常に関心を持ってくださったなという印象があって、男性も女性もお互いに助け合って、支え合って、単に性別だからという役割分担ではなく、お互いに自由に行き来し合えるような社会をつくっていかないと、これは本当に地域の活力もどんどん衰退をしていくと思います。
 ここはぜひ、我々立憲民主党は選択的夫婦別姓は実現をしていきたいということであると、これもお伝えしたいと思います。

○政権交代に向けて(2) 各党との意見交換について

【代表】
 先日、常任幹事会で冒頭の挨拶でも触れましたが、立憲民主党は「ミッション型内閣」、これを訴えています。
 これは今の段階では、各党、確かに小選挙区・比例代表並立制ではあるけれども、それぞれの政党が伸ばさなければいけないという思いはあるけれども、まず自民党に代わる政権をつくる覚悟、決意、方針があるのかということを各野党にはやはり改めて確認をしなければいけないというか、問わなければならないし、そして、その中で連立を組む、あるいは組まないということについても、それぞれの政党の考え方というのを私としても知らなければいけないと思っています。
 それはもちろん立憲民主党は我が党の政策をもって単独過半数を目指したいと思っている政党ですから、これからも候補者擁立の努力は続けていく。しかし、その中で、候補者擁立の努力をしている途中で、もしかすると過半数の候補者を立てていない状況の中で解散・総選挙になるかもしれないと考えると、選挙前から共に戦う政党があるのか、それとも選挙後に自民党が過半数を割ったときに連立を組むという政党があるのか、そういったことも含めて、やはり他党の考え方というのはよく私たちは聞かねばならないと思っていますので、他の野党とできる限りそういった意見交換も、この国会閉会中はやっていきたいと思っています。
 その意味で、私もこれまでも各党幹部とは既にさまざまな形でやり取りをしたり意見交換もしてきていますが、また来週もそういった形で意見交換をする場というのを設けようと思っていますし、来週以降もまた他の政党ともやり取りをして、やはり考え方をよくお互いに出し合って、自民党に代わる政権というものをどれだけつくろうという決意があるのか、そして、そこに向かってどれだけ具体的に行動をするという考え方があるのかということについても、意見交換を率直にさせていただきたいなと、このように考えております。


■質疑

○政権交代に向けた取組について(1)

【朝日新聞】
 冒頭発言の最後のほうで触れられていた、野党との連携というか、考え方を聞くということだが、これはもう既に具体的にどの党とどういうやり取りがあったのか、今後どういうやり取りをしていくのかということを、明かせる範囲で教えていただきたい。

【代表】
 そうですね、各党の代表とそれぞれ意見交換はしています。夜、会ったりだとかということも含めてですね。そういったことを、この7月、8月においても、やはり改めてやっていきたいと考えています。

【朝日新聞】
 他の野党というのは、国民民主党と日本維新の会、それ以外も含まれるか。

【代表】
 共産党さんも、これまでも意見交換をしてきたということもあるし、やはり考え方をそのときそのとき聞くということも大事なことだと考えています。社民党さんも、れいわさんも、できるだけと思っていますけれども。

【朝日新聞】
 特に野党でどこと限らずに、全体を通じて党首と会うという。

【代表】
 やはり、立憲民主党、本気で政権交代を目指していますから、それはやっていくべきことだと思っています。

【朝日新聞】
 もう一点だが、先日ぶら下がりで衆院選の小選挙区擁立200の目標について言及されたと思う。200の擁立というのは、ことしの夏中には可能というふうにお考えか。

【代表】
 それはわかりませんよね。これまでもそうです。ずっと200に向かって努力をしてくると言って、皆さんは「いつやるんですか」「いつ達成するんですか」ということばかり聞きますが、そんな簡単なものではないですからね。一つ一つ積み上げていく中で、200を超えていくタイミングをできるだけ早期に迎えたいということです。

○旧優生保護法めぐる立法府としての対応について

【NHK】
 冒頭の発言で、旧優生保護法に関連して、各党に国会決議を一緒にしようと求めているということだが、内容は、国会としての謝罪と、賠償を早期に行うということを入れ込むということか。

【代表】
 少なくとも、そこの二つは考えています。
 一つは、やはり国会としての、立法府としての謝罪です。
 もう一つは、政府がどのような形で、当事者の方々の要望というか考え方もありますから、そういったもので、時間を要すかもしれませんが、やはり早期の賠償です。
 これを入れていくということになろうと考えています。

○党代表選について

【NHK】
 続いて、代表選挙のことで伺いたい。立憲民主党では9月中に代表選挙ということで、自民党の総裁選挙と時期を合わせて近接する形で開催することも検討されているということだが、そこに関して代表のお考えがあれば教えていただきたいのと、現時点で代表は代表選挙に立候補する考えはあるかどうか教えていただきたい。

【代表】
 代表選の日程は、これはもう代表の手を離れていることなので、僕からは何か答えることはないですね。
 次の代表選、これは必ずやってくるものではありますが、自分はこの3年間、厳しいところからですが、党のとにかく再生を図るということで取組をしてきて、時間のかかるものもありましたし、すぐ着手できたものもありますが、そういう中で一歩一歩、今、国民の皆様の期待がいただけるようになってきたというところまでは来た。
 しかし、まだゴールではない。全くもって、まだ、確かに候補者擁立ももっと増やさなければいけないし、まだゴールとは言えない状況ではありますので、そういったことを、まずはとにかく、この7月、全力を尽くして、候補者擁立なり、そして全国を回る「政権交代行脚」というのを続けてきて、そういう中で皆さんともさまざま意見交換もしていますので、よく、党員、自治体議員、国会議員の皆さんの声を伺っていきたいというのが今の段階です。

○政権交代に向けた取組について(2)

【テレビ朝日】
 先ほど冒頭発言の最後で、来週に野党のどちらかの党と何か意見交換の場を設けるみたいな言い方をされていたと思うが、そこは具体的にはどこと意見交換の場があるのか。

【代表】
 来週からと言ってもいいかもしれませんが、「から」も何も、普段からやっていることなのですが、そうですね、国民さんとも維新さんとも。

【テレビ朝日】
 やる予定がもうあるという。

【代表】
 一応そう考えています。

【関西テレビ】
 今の質問の関連だが、他党に対していろいろと意見交換する場がこれからあるということだが、「ミッション型内閣」という考え方自体が、党として皆が同じように目指している、オーソライズしているものかどうかというのが、ちょっとまだ我々はよくわからない状態だが、その辺の現状をどういうふうに理解したらいいか。

【代表】
 党内だいぶ、言葉からになるかもしれませんが、その言葉を頭に入れる仲間たちが増えてきているのではないかと思います。一つ一つ、運動方針云々とか、意思決定、機関決定という話は別に必要ないと思いますので。これは、でも、それぞれの幹部、あるいは党内の方々の発言を見ていても、ほぼ大体同じようなことを言っているなというふうには感じますよね。それ以外で何か違う考えがあるという話を私はあまり聞いたことがないです。

【関西テレビ】
 もうすぐ代表選を迎えるという状況の中で、今の段階で党内で「ミッション型内閣」についての具体的な検討みたいなものをどんどん進めていくのがいいのか。あるいは、代表選の中でそれをやるのかやらないのかを争点にして、具体的な検討はその後、新体制の下でやったほうがいいのか。その辺りはどういうふうにお考えか。

【代表】
 先ほどの話で、繰り返しになりますが、まず、立憲民主党としては単独政権を目指したい。しかし、まだそこまでは至っていないというのが現状です。単独政権を目指したいけれども至っていない中では「ミッション型内閣」ということも想定しなければいけない。それはおそらく党内のどなたが考えても基本的にはそうなるはずです。そこで私が言っているのは、政治改革、そのほかには教育の無償化だとか、各党が合意できる政策でやれていくのではないかと考えています。
 ただ、これは他党がどうしたって関連してくる話ですからね。立憲民主党だけで単に構想をひたすら突っ走ったって仕方のない話なので、僕は今、党内に指示をしているのは、NC(次の内閣)に対して、政権を担うということを当たり前ですが前提にして、もう一度政策集を見直してほしいと。精査をしてほしいということですね。ですから、立憲民主党から他党に、例えば、「ミッション型内閣」のときに、我が党の政策がこうなっているからこうしてくれということを、ある意味無理難題になってしまってはいけないわけですから、立憲民主党も立憲民主党として現実主義に立って政策をまず見直そうと。これは自分たちでやるべきことですよね。
 そういうふうに党全体も政権準備に向けて動いてはおりますから、そういうものの中で大体皆同じ方向を向いて考えてやってくれていると認識しています。

【産経新聞】
 国民民主党との協議について伺いたい。冒頭のご発言の中で、「原発ゼロ」に関して、そこだけを切り出すのはミスリードではないかとおっしゃった。その後、「ミッション型内閣」も含めて意見交換する場を設けているということだったが、玉木代表との間で、そういった「原発ゼロ」に対する見解などについて既に話し合われたりということはしていらっしゃるか。

【代表】
 正式な政策協議を例えばテーブルに着いてやったわけではないですね。あくまでいろいろな話をしてきているので。その中で、ここはこうしてほしいなみたいなのは、やはり国民民主党、玉木さんの側としての思いというのはこれまでも聞いたことはあるし、今回記者会見でおっしゃったということも、それはおそらく玉木さんの考え方というか、党の考え方、国民民主党側の考え方なのだろうなと思います。
 僕は、かつての(旧)立憲と(旧)国民の合流のときに、今の立憲民主党の綱領を逢坂さんと一緒にまとめろと言われて、まとめた当事者です。政調会長として。まとめたものを、当時、党の代表である玉木さんにお見せしたことはあって、そのときは、これでいいぞと、行こうよというふうに言われた経過もあって、ですから、そのときも、表現は「原発ゼロ」とはいえ、即ゼロではないし、やはりいろいろな前提の中で、それをしっかり取り組んでいく中で、将来的にはと。しかし、それは思いとして一日も早く実現するということではあるけれども、かといって一足飛び二足飛びにやはりできるものではないので、そういう現実路線の中で今の立憲民主党の綱領ができているということは、当時の理解としては共通されていたものではないかなと。
 もちろん、その後いろいろな形で、例えば、これは玉木さんもおっしゃっていますが、原子力産業で働く方々の受け皿という意味で、そうしたところからも疑問の声が上がったということは私も聞いていますので、そういうことで、では、どうやって、そういった経過がある両党だけれども着地点なり合意点を見出せるのかということは、僕は可能ではないかと正直思っています。

【産経新聞】
 そういった経過も含めて、連合組織内の懇談会とはまた別に、いわゆる玉木さんがおっしゃっているような原発とか安全保障とか憲法観についての基本政策の協議を行う場に関する準備状況というか、そういった進捗状況みたいなものはどういった状況になるか。

【代表】
 いや、まだ別にというところではないですね。

○潜水手当不正受給 海自元隊員逮捕の公表遅れについて

【時事通信】
 冒頭にも言及いただいたが、自衛隊・防衛省で不祥事が相次いでいる状況で、きのうの立憲のヒアリングで、4人の逮捕についても処分発表時に公表されていなかったということがあった。こういった更に不信感を招くような状況になっているわけだが、木原防衛大臣の進退も含めて、大臣の責任についてはどうお考えか。

【代表】
 これまでも大臣にはそれは責任はあるということを言ってきました。そして、果たしてここで不祥事が全部出切っているのか、そうではないのかというところで、やはり大臣の出処進退が決まってくるというふうにも言ってきているので、今回の事例も、その意味では、本来しっかり公表すべきことが公表されていなかった。
 僕はXでも投稿しましたが、木原大臣の隊員に向けたメッセージですよね。防衛省職員と自衛隊員に向けたメッセージの中で、あなたのやっていることは後ろめたくありませんかとか、本当に正しいということをやっていますかというような手紙のようなものが書かれているのですが、そこに「もしそうではないならば、しっかり通報してほしい」という言葉はなかったんですよね。これは大丈夫かなと、正直思います。
 いろいろと疑問に感じ、せっかくの大臣の文章を見て、隊内で例えば「これはやはり看過できない」「ハラスメントではないか」と思う人もいるかもしれないし、「これはやはりルールを逸脱しているのではないか」と今の現場・職場を見て感じる隊員はいるかもしれないではないですか。なのだけれども、「安心しろ、通報者は守るから。この際、うみを出すべきだ」と書いてあるかというと、書いていないんですよ。そうすると、また結局、本来出てこなければいけないものが出てこないのではないかというのは、やはり不安というか、懸念ですよね。
 そういうことを通じて、やはり大臣自身の立場も問われていくと思いますよ。

【時事通信】
 そうすると、直ちに例えば辞任を求める立場というよりも、しっかりとうみを出し切るべく努めるべきだと。

【代表】
 今はもちろん大臣に対して厳しい目で見ていますよ。そういうことの中で、我々として次、さらに大臣の指導力が足らないということであれば、やはりそういった辞任もあり得るということは考えています。

○憲法審査会について

【読売新聞】
 閉会中審査の関係で伺いたい。先ほど安保委員会について国対委員長会談で合意したが、憲法審査会のほうでも閉会中審査というのは自民党側がさきの国会の最後に提案というか呼びかけをしていた。現時点で憲法審査会の閉会中審査について泉代表のお考えを改めて伺いたい。

【代表】
 単純に言えば、合意したという話は聞いていない。以上です。

【読売新聞】
 自民党のほうの話になるが、来月の改憲実現本部に総理が出席して、議論を進めたいというような自民党側の考えもあると思うが、こうしたまだ協議が整っていないような状況で話を進めていこうとする自民党側の動きというのはどのように見ていらっしゃるか。

【代表】
 それは自民党の動きですからね。別にそれまでけしからんもけしからんではないもない話で、自民党さんの動き。
 ただ、自民党の中でも、いわゆる緊急事態条項で国会議員の任期延長というときに、主にそれは衆議院のことを指すわけですが、参議院の自民党の皆さんは実はそういったことには賛成をしていないという話もよく伝わってきていますからね。その自民党の中のまとまっていない話を結構無理やり立憲民主党の責任だというふうに転嫁している節は、ここは見逃してはいけないのではないですかね。じゃあ本当に自民党の参議院に聞いてみてくださいよ、というのは言いたいですね。

○東京都知事選・都議補選の結果について

【読売新聞】
 話題変わるが、都知事選の関連で、石丸氏の躍進というのが一つの大きなトピックだったかと思うが、彼のスタイルとして、短い動画を多く投稿したり、演説自体も短いというような、そういったスタイルが無党派層とか若い世代の支持を得たかなと思うが、今回の石丸氏の戦略というのは代表ご自身はどのように見ておられるかと、立憲民主党としてネットであったりSNS戦略で参考になる点があったのかなかったのか、この点を伺いたい。

【代表】
 いい悪いは置いておいたとしても、参考になるといえば、それはやはりいろいろと学びにしなければいけないですよね。手法として同じようなことでよいのかというところもありますから、今回起きた現象というか、その得票結果ということも踏まえて、そして、特にユーチューブとかにおいては圧倒的に、他候補に比べるとほぼ独壇場のような力を持っていたということも事実ですから、そういうものはやはり受け止めてやっていかなければいけない。
 ただ、個人と政党、チームとでは、随分やっていくやり方も変わってくるので、そういうところをどういうふうに、じゃあ政党に当てはめた場合どうなんだというところは考えなければいけないですね。

【フリーランス】
 都議補選で、元々ゼロだったところ(足立区)で銀川さんが勝った。連合東京の推薦を受けているとはいえ、非常に苦労して勝ったと思うが、ねぎらいの言葉をかけてあげましたか。

【代表】
 はい、かけてあげました。

【フリーランス】
 それから、都知事選だが、これは誰が責任を取るかとかいうことではないが、自民党の東京都連会長、萩生田さんは2勝6敗だったことを受けて辞めると言った。次の会長に誰がなるかわからないが。元々自民党は5議席あったわけで、それで8人立てて2勝6敗だった。こちら側は、都知事選で、立憲民主党を離れたとはいえ、実質的にやっていた手塚さん、長妻さんの責任をどのように泉さんは考えられるか。

【代表】
 島根の知事選挙でも、京都の市長選でも、沖縄の知事選でもそうなのですが、要は全国の地方選挙がそうなのですが、基本的に都道府県連で考え方を決めて、その選挙に臨んでいくというのが立憲民主党の組織のスタイルです。もちろん、東京はそれでもものすごく大きい首都の戦いですから、我々もさまざまに関わるということではあるけれども、基本的には立憲民主党の組織としては各都道府県の選挙については都道府県連が対応するということです。
 そして、今回、蓮舫さんが無所属で立候補するという戦いを選択するということで、我々もそこを全力で応援するという形になりました。
 そういう中で、今、分析も行われているし、そして、東京都連としてこの選挙にどう向き合うかというところは、やはりまだ結論が出ている話ではないと思うので、今はその中で――

【フリーランス】
 どう向き合ったかですね。向き合うではなく。

【代表】
 ただ、まだ、選挙は終わったけれども、その中身についての分析だとか総括というのは現在進行形ですから、そういう意味では「向き合うか」ということですね。

【フリーランス】
 では、また来週お伺いします。

【代表】
 それは、でも、都連が記者会見するかどうかわからないけれども、都連のほうに聞いてもらう話かもしれませんね。

○政権交代に向けた取組について(3)

【毎日新聞】
 原発のくだりで、国民民主党との着地点はあるという考え方をおっしゃったが、連合は国民民主党と基幹政策で合意することが大事だと言っており、その中で、エネルギー政策だったり、防衛と憲法ということも言っている。具体的に何ということは言っていないが、代表は防衛分野や憲法分野でも、原発と同じように、エネルギー政策と同じように、国民民主党と着地点を見出すことができるとお考えか。

【代表】
 ええ、できると思いますよ。

【毎日新聞】
 今、どの辺りが、課題になっているとしたら、どの辺りが話し合う必要があるとお考えか。

【代表】
 それは、防衛政策の「どの辺り」。それとも、いろいろな分野の中の「どの辺り」。

【毎日新聞】
 憲法だったり防衛だったりということは。

【代表】
 それはもう既に連合の文書にも書いてある、主要項目というものがありますから、そういったところが論点になると思います。エネルギー、防衛、安全保障、憲法、それぞれすり合わせができればいいと思います。

【毎日新聞】
 いずれもできるだろうという期待はお持ちか。

【代表】
 そんな一方的な期待や推測をしてもしようがないので。できたらいいなとは思いますよ、それは。

(以上)