小川淳也幹事長は3月4日、国会内で会見を開き、国会で審議中の予算に対する党の対応等について発言しました。
衆議院で審議中の予算について、「無事に総括質疑が進行すれば、採決。このこと自体、苦渋の判断。さまざまな諸条件を考慮し、代表一任となり、所定の判断に至った」と説明しました。
予算の採決を受け入れるに至った理由を問われ、小川幹事長は(1)他党の採決態度が明確になったこと(2)審議時間(3)予算の自然成立が見込めない状況になり、ここで参院にバトンタッチすることをもって、緊張感あるやりとりが期待される状況であること(4)高額療養費自己負担上限の引き上げの一部凍結を大幅な政府与党の譲歩として多としたこと(5)裏金事件の参考人招致――等と説明しました。
高額療養費の自己負担額の引き上げについては、小川幹事長は「国民の不安が増長増幅された非常に重要なテーマ。命に直結する深刻な問題」と指摘し、参議院でも全面凍結を求めていく姿勢を強調しました。
小川淳也幹事長記者会見
2025年3月4日(火)10時30分~11時01分
発行/立憲民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/oSFi6sJVMSQ
■冒頭発言
■質疑
- ガソリン暫定税率廃止法案の提出について
- 野党連携について(1)
- 予算審議について(1)
- 参院通常選挙に向けた取組について(1)
- 予算審議について(2)
- 参院通常選挙に向けた取組について(2)
- 野党連携について(2)
- 予算審議について(3)
- 野党連携について(3)
- 予算審議について(4)
■冒頭発言
【司会(中谷幹事長特別補佐)】
それでは、定刻となりましたので、本日の幹事長記者会見を始めさせていただきたいと思います。まず冒頭、小川幹事長よりお話しさせていただきます。よろしくお願いします。
○大船渡市の山火事災害について
【幹事長】
おはようございます。きょうもご協力ありがとうございます。
まず、大船渡で火災が続いており、なかなか収拾のめどが立っていません。心よりお見舞いを申し上げ、被害が少ないことを祈りたいと思いますし、また、党としても必要な体制整備に努めているところです。
○党大会の病欠について
【幹事長】
前後しましたが、私自身、先週1週間病欠となりました。党大会を挟む大変重要な時期でございまして、自らの体調管理の不足を深く、内外に対してご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
○玉木国民民主党代表の党務復帰について
【幹事長】
きょうは同郷同志の玉木さんが、国民民主党、兄弟政党の代表に復帰されるということでございまして、まさに同郷同志です。心からご活躍を祈り、エールを送りたいと思います。
○予算審議について
【幹事長】
本題ですが、本日、衆議院において予算審議が議了する見通しとなりました。
この間、様々な取組を進めてきましたし、特に予算委員会の現場、また、国会対策委員会を初めとした司令塔の方々におかれては大変なご苦心の日々だったことと思います。深く敬意を表し、その上で、無事に総括質疑が進行すれば採決ということになります。このこと自体、大変苦渋の判断・決断でございます。
いろいろとご質問に合わせてと思いますが、様々な諸条件を総合的に判断した上で、昨日の役員会で代表一任となり、その後の維新の両院(議員)総会を受けて、所定の判断に至っているところでございます。理由等も含めて、ご質問に対応したいと思っています。
その他、ガソリン税のことや、あるいは今後の党運営、国会運営等、いずれもご質問等に合わせてと思いますので、一旦ちょっと冒頭発言はここで控えさせていただきます。
■質疑
【司会(幹事長特別補佐)】
ありがとうございます。それでは質疑応答に入らせていただきたいと思いますので、質問のある記者の皆様方は挙手にてよろしくお願い申し上げます。
○ガソリン暫定税率廃止法案の提出について
【共同通信】
立憲民主党は昨日、国民民主党と共に、ガソリン税の暫定税率を4月から廃止する税制改正関連法案の修正案を衆議院に共同提出された。賛同を呼びかけられた日本維新の会がこれに応じず、来年4月から廃止する独自法案を提出された。自民・公明・維新の3党は、今後、暫定税率の廃止をめぐり立民・国民も含めた5党でやっていこうというような呼びかけをされると承知しているが、この呼びかけに関する評価をお尋ねしたい。
【幹事長】
まず、野党のパフォーマンスだというご発言があったようですが、それは当たりません。衆議院を通過させ、参議院で真剣に与党側にもお考えいただきたいという、真摯な取組の一環でございました。
それから、私は、この呼びかけをする段階から、なかなか維新さんは応じ難いのではないかと予測しておりました。その心は、歳出合意したわけですから、歳出面で予算合意したわけですから、それには当然、暗に歳入合意を含むと考えるのが常識的な政治判断であって、なかなか、歳出合意をしたのに歳入においてこれと異なる判断をするということは維新さんご自身が矛盾を抱えることになるので難しいだろうと、私は当初から思っておりました。
ですから、もし、ここで維新さんがおっしゃるべきことがあるとすれば、それは歳出に関して合意をした立場上、歳入に関してもそれと異なる判断はできませんということを率直におっしゃるのが本来あるべきコメントではなかったかと、こちらとしては、私としては受け止めているところです。
その上で、各党で協議することはやぶさかではありませんし、それがどういうタイミングで、どの程度意味を持たせることができるのかも含めて、お呼びかけがあるとすれば、これは当然ご説明はお聞きしたい。そう思っています。
○野党連携について(1)
【共同通信】
もう一点。野党のパフォーマンスという、たぶん維新のご発言を捉えられていると思う。今、維新の与党寄りという姿勢がにじみ出ているようにも感じるが、その点について幹事長が率直に思うところを伺いたい。
【幹事長】
率直に、維新さんも矛盾を抱えておられ、悶絶しておられるのではないかと私は想像しております。
岩谷幹事長とは時折、様々な意見交換、連絡調整をしております。ですから、これをもって自民党べったり、与党べったりということでは決してないという、意思が伝わってまいります。彼からはですね。
あわせて、維新の先般の党大会では、この参院選において与党過半数割れを目指すということを明確におっしゃったわけですから、ここ当座、予算、歳出・歳入を含めて合意・同意されたことも苦渋だったでしょうし、そのことはよくおもんぱかりながらですが、野党陣営に所属し自公と対峙するという、その基本姿勢は大きくは変わらないのではないかと、期待を含めて申し上げたいと思います。
○予算審議について(1)
【NHK】
冒頭触れられた新年度予算の関連で伺いたい。自民・公明両党と日本維新の会で合意し、きょう衆議院を通過する見通しだが、少数与党の下での成立が確実となる中、野党第1党、立憲民主党として、この衆議院の予算通過をどう受け止めているか伺いたい。
【幹事長】
冒頭ちょっとスキップしましたが、なぜ今般採決を受け入れるに至ったかということについて申し上げます。
まず、ご指摘のように維新を含め全党が採決態度を明確にしたという周辺事情がございます。
第二に、審議時間が90時間に満ちたという、慣例による、一定の量的な充足という環境があります。
第三に、既に参議院における(年度内)自然成立が見込めない状態となっており、ここで参議院にバトンタッチすることをもってして、緊張感のある審議なり様々な追及、やり取り、条件闘争を含めて、緊張感のあるやり取りが期待される状況になっているということがある。
そして、懸案の2件。高額療養費の(自己負担上限額引上げ)凍結については、来年以降の総額5000億円に上る新たな社会保険料の自己負担は事実上凍結していますから。5000億円に上る、来年・再来年の。この大幅な譲歩は多としたい。一方、本年8月の、これは物価上昇分というへ理屈のようですが、ちょっとそれを真に受けていいかどうかは別として、50億、100億ですか、引上げについては凍結できなかったわけですが、既に厚生労働委員会に全面凍結法案を提出しており、主戦場を厚生労働委員会に移すとともに、参議院の予算委員会において、これも引き続き徹底的な追及と凍結の要求、引き続き戦っていくという自覚の下にあります。
もう一つの論点は、旧安倍派の裏金事件に関連した(幹部の)参考人招致でございますが、これも既に予算委員会の現場において集中審議の機会を確保するという、これはもう確定したこととして当方としては受け止めております。参考人の出頭まで確約を得ていないわけですが、松本参考人もそうでした、当初は随分与党側は嫌がっていたわけです。しかし、採決に持ち込んだことを一つの契機として、様々な駆け引き、取引の中で実現したわけで、今般、予算の集中が確保されているという前提の下、この参考人招致についても引き続き継続案件であると、協議を続けるという意思を持っております。
5点申し上げました。審議の時間が満ち、各党の態度が明らかとなり、自然成立は阻止した状態で参議院での緊張感ある質疑が望める状況になり、高額療養費は引き続き参議院の予算委員会並びに衆議院の厚生労働委員会で戦うという意思を再確認し、そして、予算の集中の中で参考人招致に引き続き全力を挙げるという決意。
以上をもって、これ以上衆議院の予算委員会において、予算をあたかも人質に取ったかのような、そうした日程闘争に持ち込むつもりはないということを当初から野田代表は申し上げていたとおりでございまして、あらゆる諸般の状況を総合判断した上で、苦渋の判断・決断だということでございます。
○参院通常選挙に向けた取組について(1)
【NHK】
もう一点。今回日本維新の会が政府の予算案に賛成する方向になったが、その関連で、日本維新の会が提唱していた参院選の予備選挙、この協議に与える影響というか、どういうふうに見ていらっしゃるか。
【幹事長】
先ほど申し上げたように、今般、維新さんは維新さんで苦渋の判断で目下の当初予算に修正した上で賛成されるというふうに受け止めており、何度も申し上げますが、自公としっかり対峙して、野党陣営に踏みとどまって、しっかり国民から見て選択肢のある状況をつくるんだという、その志までは疑っておりません。
予備選のご提案については、最初説明を受け、そして、当方から不足だと思われる点を提案し、その修正まで含めて説明を受けた状態に現在あります。今後、各選挙区における擁立状況等を総合的に踏まえながら、いずれにしても一本化が望ましいという両党の意思は確固たるものですので、ちょっと時期を見ながら、様々な手続や方向性については協議をしていきたいと思っています。
○予算審議について(2)
【毎日新聞】
予算の関連で質問したい。ここまで立憲民主党としては、3.8兆円のパッケージを出した上で、高額療養費の凍結を先頭に置きつつ、そこから風穴を開けてほかの修正を勝ち取るというところが戦略にあったかと思う。一方で、今回は高額療養費に関しては完全凍結には至らずということで、逆に言えば、それから先、風穴を開けて先の修正というところはなかなか思いどおりにいかなかった部分があったかと思う。この点について、党のこの戦略がどうだったかということも含め、現時点での幹事長の受け止めをお願いしたい。
【幹事長】
学校給食(無償化)を、小学校の部分については維新さんの主張、そして、私ども小・中学校の主張、重なる部分があります。
それから、高額療養費については完全凍結ではないというご指摘でしたが、冒頭申し上げたように、最終5000億円の負担増について、大部分を先送っている、凍結しているわけですから、成果がなかったとは思っていないのです。
ただ、おっしゃるように3.8兆円のパッケージからいえばごく一部であることは事実でございまして、この点は、やはり私ども、丸のみに近い大幅な歩み寄りや妥協があれば賛成する可能性もゼロとは思っていませんでした。当初の段階でですね。しかし、私どもが賛成するという可能性も低いし、また、丸のみいただけるという可能性も低いだろうとは思っていました。
その前提で、採決をいつのタイミングでどういう判断をするかということが、なかなか本案に賛成するということが一義的には難しい以上、私どものいわゆるバーゲニングパワーというか影響力の行使は、採決のタイミングをどういう環境の下にいつの時点で判断するかということがいわば最大の影響力を行使し得る余地だったわけですが、そのことが、なかなか思った以上に、この3.8兆円のパッケージの中でどの程度引き出せるかということを考えたときに、私どもが当初期待したほどの、この採決の環境が整ったかどうかを判断するという影響力の行使の度合いが当初の思ったほど強く行使し得る状況にはなかったと。結果的にはそう判断せざるを得ないというのが私の受け止めです。
【毎日新聞】
政調も含めて交渉を繰り返してきたと思うが、戦略として正しかったという言い方がいいかわからないが、もう少しやり方があったというふうには考えているか。
【幹事長】
あり得るとすれば、もうちょっと早い段階から焦点を絞って採決のタイミングを探るということが、定性的には、言葉で言えばあり得るのだと思いますが、現実問題、この限られた時間の中で、14日、2月の中旬に案を取りまとめて、そして、後半に与党側にぶつけて議論を開始したわけで、では、あれより早めることができたか。あるいは、他党が錯綜した抗争状況にありましたから、それを踏まえて、当方が的をより絞ることが現実に可能だったか。定性的に言えばそういうこととはいえ、現実、最善を尽くしてはきたという思いではおります。
○参院通常選挙に向けた取組について(2)
【産経新聞】
先ほどの質問の予備選に関連して。引き続き協議したいと先ほどおっしゃったが、2月の末までがその予備選に参加するかどうかの回答期限だったかと思うが、参加すると述べた上で引き続きの協議になったのか。それとも、参加するしないの具体的な回答はせずに今後のやり方を協議するというようなことに落ち着いたのか。その点を伺いたい。
【幹事長】
一本化が望ましいという認識は共通です。
現状ご提案いただいている予備選に参加するかしないかは、なかなかこれは直ちにイエスともノーとも言えませんとお伝えしています。2月末までにご返答という当初のご要請については、あまり期限を切って意味があることとは思えないので、そこは柔軟に、先方においても、維新さんにおいてもお考えいただきたいということをお伝えしております。
○野党連携について(2)
【産経新聞】
日本維新の会に関連して。ガソリン減税について立憲民主党や国民民主党のことをパフォーマンスと批判したり、税制に関しても国民民主党を批判する姿が目立っている。今後の国会や夏の参院選で野党間の協力が必要になってくると思うが、維新と国民民主党が対立している現状について、どのように見ているか伺いたい。
【幹事長】
両党共にいろいろな思いや思惑を持って果敢にチャレンジしておられるわけで、それには深く敬意を表したいと思っています。
その上で、遡りますが、彼らは首班指名選挙の決選投票において無効票を投じるということから、現在の国会の構図と国会闘争がスタートしています。5か月前のことでした。いわば、彼らの戦略は結果として石破政権・自民党政権を生きながらえさせることを選択し、そして、その生きながらえさせた自民党政権と個別協議をするということをもって政策実現をしたい、あるいは存在感、プレゼンスを発揮したいというのが彼らの思いであり思惑だったのでしょう。
しかし、それは現状うまくいっているのかと私は問いたい。本来、あのとき政権交代を果たすべきだったのではないかと。様々な社会保障政策にせよ、あるいは減税にせよ、「壁」の引上げにせよ、当時政権交代を果たせなかったことの責任が野党全体に問われているのではないかというのが私の考えです。
○予算審議について(3)
【産経新聞】
予算の採決の対応に関して、先ほど5点の理由をもって採決に応じるとおっしゃった。一方、日本維新の会が高校無償化を勝ち取ったり、国民民主党は結果的に途中で離脱したが基礎控除の引上げをするなど、一定の成果を獲得した。立憲民主党としてその5点というのは他党の成果に見劣りしないとお考えか。
【幹事長】
高額療養費5000億円の凍結は大きかったと思います。これは各種世論調査を見ても、むしろ「壁」の引上げの議論等に勝るほど国民の不安が増長・増幅された非常に重大テーマであり、なおかつ、健康や命の問題に直結する深刻な課題でもありました。これを凍結したことは非常に大きい成果だったと。あまり私は自画自賛するのは好きではないのですが、これは大きかったと、率直に、謙虚に認識しております。それを、彼我を比べてあっちが大きい小さいと言うつもりはありません。
それから、よく埋没とか何とか言われるのですが、あえてこれも誤解を恐れず申し上げますが、自民党、野党第1党と与党第1党というのは、私なりに申し上げれば、常々公式・非公式に申し上げていますが、ある種の大陸です。それは政権交代の受け皿たるべき基軸、岩盤、土俵、基盤、基礎たるべき存在。時によってその第1の大陸と第2の大陸の大小は様々ありますが、民主主義である以上、国民が常に政権を選択できるという環境整備に資することが私どもの存在意義の第一義です。
その上で、時々、遡れば橋下徹さん、みんなの党、小池百合子さん、あるいは、ローカルの選挙であれば石丸さん。そして、かつての、少し以前の維新。そして、現在の国民民主党さん。様々な党が、百花繚乱、様々花を咲かせたり実をならせたり枯れたりしてきたわけですが、ちょっと申し上げたいのは、「花が目立っていますが、地面が目立ちませんよ」と、お花畑に対して「花がよく目立っていますが、地面が目立っていませんよ」と地面に言う人いますかね。いないでしょう、ということだけは、ちょっと静かなる自信・自負の一端として申し上げたいと思います。
【産経新聞】
最後に一点。高額療養費について凍結したのは非常に大きかったと述べたが、今の見直しを引き出した先週金曜日の野田代表と石破首相の答弁の後のぶら下がりで、野田代表は、不十分だと、残念だと述べられたが、党としてはこの見直し、修正について評価するという評価の内容でよろしいか。
【幹事長】
半々です。5000億円を凍結したことは一定評価しています。自画自賛にならないように言いますが。しかし、8月からの、へ理屈で言えば物価の値上げ分だとおっしゃっているようですが、それも含めて全面的に不安を解消したいというのが本意ですので、百点満点かと言われればそうではない。したがって、今回の予算の議了を受け入れるに当たっても、苦渋の決断だと。引き続き、厚生労働委員会の全面凍結法案、そして参議院の予算委員会において全面的に戦うと。
しかし、これ以上衆議院において、自然成立もなくなった今、各党が態度を明らかにした今、衆議院において予算をあたかも国民生活上人質に取ったような状態に置くことは潔しとしないという判断をしたものであって、あくまで苦渋の判断です。
【東京新聞】
高額療養費制度について伺いたい。先ほど言及されたように、政府は一部を凍結した一方で、ことしの秋までに制度のあり方について改めて検討する方針を示した。制度の持続性も含め、立憲民主党としてこの制度のあるべき姿はどのようにお考えになっているかお聞きしたい。
【幹事長】
私も、ちょっと大振りしてなかなか球に当たらなかったのですが、質疑の中で、自ら予算委員会でひととき質疑に立ちましたが、三つ問題点があると申し上げたのですね。
それは、収入の低い方にとっては、今でも高額療養費負担が収入の半分に迫る勢いでして、もはや手元に残ったお金でその月生活できないというレベルにまで追い込まれています。
それから、途中は、標準報酬月額制度ですから、極端な階段制度で、手取り(収入から負担額を差し引いた額)が逆転するようなことまで起きている、理不尽かつ不公平な制度です。
それから、上段は、月収が100万円強を超えると、それはもう何千万になろうが何億になろうが40万円(強)で頭打ちで、それは社会政策として、再分配政策として機能しているのかという問題。
私なりに申し上げれば大きく三つ問題があるわけで、それらを総合的に解消・解決していかないと、高額療養費制度の持続可能性、それらを含めた社会保険制度の持続可能性、そして大事なのは信頼性・公平性・納得感なのですね、それらを含めて回復することはおよそ不可能だろうと。ですから、そうした角度から総合的に見直す必要があるという認識です。
○野党連携について(3)
【朝日新聞】
これまでの質問とも一部重複するが、野党連携のことで伺いたい。日本維新の会と国民民主党、幹部同士がかなり激しい言葉で応酬している局面もあった。今回のガソリン減税も結局維新が乗らなかったことによって衆議院の委員会の採決も可決も見込めない状況になった。これからも例えば企業・団体献金や選択的夫婦別姓のように野党内でも意見の分かれるテーマが来るが、先ほどおっしゃった厚労委員会で高額療養費をやるにしても、いざ実現しようと思ったら野党をまとめないと実現の見込みが全く立たないと思う。こうしたかなり波の高い政策課題について、どうやって野党をまとめていくか伺いたい。
【幹事長】
これは簡単な奇策とか解決策はありません。当方がまず筋のいい主張をするということが第一義。そして、誠意を持って、真摯に、丁寧に、謙虚に各党に対してご説明を申し上げ、協力を仰ぐというのが第二義。
ただ、前提として、参議院選挙を控えて、3か月、4か月前になりますから、本当に口だけではなく、口先だけではなく、「我々は自公の補完勢力ではない」という言い方をときどき野党の皆さんされますが、本気でそうなのか。それとも、時によってそれも甘んじて自認しているのか。どちらの陣営なのかということは野党各党にも問われてくる局面だと思います。
しかし、それはあくまで、どうあれ他党の問題なので、我が党としては筋のいい主張をし、説得力のある中身をつくり、真摯に、丁寧に、謙虚に協力を仰ぐ。それに尽きると思います。
【朝日新聞】
関連で。今回の政府と野党各党の予算協議をめぐり、先日、野田代表は政府の巴戦だという表現もされていたが、今回、石破総理・政府の野党分断工作みたいなものにうまくやられてしまったなという感じなのか。その辺りはいかがか。
【幹事長】
反面、さすが自民党さんのこの粘り腰というか、長年政権を担当してきたことからくる執念というか、そういうものに一定リスペクトしている気持ちも半分あります。
それから、野党は、第1党以外は存在感の発揮に躍起ですから、常々。第三極内の主導権争いも含めて、必死でおられるということが、時に足下を見られ利用・悪用されるということにつながりかねない。それが全体として日本の民主主義の構図にいい影響を与えることもあるのかもしれません、お互いに切磋琢磨するという意味ではですね。しかし、政権の構図とか、政権の選択とか、大きな枠組みという観点からすれば、時に累を及ぼす可能性もある。
そういう状況の中で、半分ご指摘のような分断工作や様々な政治工作に乗せられた、乗ったという面が、思惑があればあるほど、ゼロではないのだろうなというふうには見ています。
○予算審議について(4)
【共同通信】
先ほどの幹事長のご発言の中で、採決環境が整ったかどうかというところを判断するという点での影響力の行使の度合いが当初思い描いていたほどではなかったという趣旨のことをおっしゃっていたが、衆院で予算委員長のポストを立民で取っている中で、どうして当初の想定とちょっと乖離があったのか、その辺の事情を可能な範囲で伺いたい。
【幹事長】
この間、きのうの役員会を含めて、国会対策委員会、それから予算の現場で非常に苦心された同志・同僚の声も聞いてきましたが、やはり一つには、予算委員長が当方であるとはいえ、委員長はあくまで委員長でして、完全に党の立場、党の利害だけを背負ってあそこに座っておられるわけでは決してないという厳正たる事実が一つ。
それから、各委員会において野党側の筆頭理事をほぼ例外なく我が党が務めていると思いますが、この野党側の要求や利害についても、筆頭理事がその主たる役割を演じて主張を展開するということが常ではある一方、理事会にはやはり与党もいれば他の野党もいるわけです。オブザーバーも含めて。
ですから、委員長の職責も、野党側の筆頭理事、次席・三席を含めた我が党の理事も、主要な役割を果たしていることは事実なのですが、それは例えば省庁別予算審議とか、野党の提案を並行審議していただく環境づくりとか、あるいは、既に自然成立がなくなったタイミングで参議院に送り緊張感を求めるという運びとか、一定成果を出していることは事実なのですね。しかし、それ以上、完全に我が党の主張や我が党の思いや我が党の利害のみで委員会を運営できるほど、その場は、より中立的で、より公平性・公正性に配慮しなければならない場であるということを改めて突きつけられた瞬間でもあったというのが私の理
【司会(幹事長特別補佐)】
それでは、この辺りでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは本日の記者会見はこちらで終了させていただきます。皆さんご参集いただきましてありがとうございました。
【幹事長】
ご協力ありがとうございました。
(以上)