立憲民主党は、4月22日午後、農林水産部門会議(部門長・金子恵美ネクスト農林水産大臣・衆院議員)を国会内で開催、米国の関税措置に係る日米交渉に関する委員会決議について協議しました。(司会・野間健農林水産部門長代理・衆院議員)

  金子部門長は冒頭のあいさつで「法案審査が進んでいる中ではあるが、トランプ関税への対応をしなければならないのではないかとのご意見をいただき、お集まりいただいた」と述べました。

 神谷裕副部門長は「状況が不明確な中ではあるが、トランプ関税に関して、赤澤大臣が月内に再渡米する状況であると聞いている。その中で、農産物について協議をするのではないかとの確度が高まっているとの話を聞いている。そうだとするならば、われわれとして、しっかりとくぎを刺しておくべきである。過去には、TPP交渉の際に重要5品目について決議を行い、一定のブレーキをかけてきた歴史がある。今回も同じようなことが農林水産委員会の決議でもってできないか。TPPの決議の際、交渉の内容、ポイントが分かっていたので、重要5品目をどうやって守るのかという議論に収斂し、かなり強い文言となった。今回は、交渉の材料になるかどうかあえてこちらからいうわけにもいかず、広い内容としながら急所を記したものとした」と説明した後、委員会決議のたたき台の紹介がありました。その全文は、以下のとおりです。

▼米国の関税措置に係る日米交渉に関する件(たたき台)

 米国が我が国に対して課した一連の関税引上げの措置をめぐり、政府は、4月16日(現地時間)に米国との最初の交渉を行い、早期の合意と両首脳による発表を目指すことで一致した。この交渉の詳細は明らかにされていないが、今後の交渉において、米国は農林水産物の関税の更なる引下げや米国が主張する非関税障壁の撤廃などの市場開放を一方的に求めてくることが懸念される。そもそも、農林水産物については、日米貿易協定により、既に大部分において市場を開放しており、今般の日米交渉により、更なる市場開放を受け入れた場合、我が国の農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響は甚大なものとなる。

 よって政府は、下記事項の実現に万全を期すべきである。

  記

  一、米や牛肉をはじめとした農林水産物については、交渉の対象としないこと。

  二、我が国の食料安全保障を確保するため、農林水産業の生産性向上や農林水産物の付加価値向上などの体質強化を図ることにより、国内の農林水産業を振興すること。

  三、我が国の貿易をめぐる状況が変化する中でも、食料・農業・農村基本計画において定められた目標が確実に達成されるよう、各般の施策を進めること。

  右決議する。

 神谷副部門長から「できれば、この文案で各党と交渉させていただき、可能であれば、明日23日の衆院農林水産委員会で決議を行いたい」との発言がありました。

 出席議員からは「日米貿易協定の着実な履行が行われない場合、日本としてもしっかり対応することとの文言があってしかるべきと思うが、スピード重視で、はっきり書きすぎると通らないのであればやむを得ない」(近藤和也衆院議員)との発言があり、神谷副部門長から「与党の反応がわからない中、絞るだけ絞り、シンプルにした」との発言がありました。

 また、「今の段階では、シンプルな形でよい。昨年、改正食料・農業・農村基本法が成立し、今般、食料・農業・農村基本計画が閣議決定したばかりで、米価の状況もある中、ノーアクションというのは課題がある。見通せている射程の中でアクションを起こすべき」(渡辺創衆院議員)、「野党がまとまって出すことが最優先」(近藤和也衆院議員)、「しっかりと意思を示していく必要。このたたき台よりも弱まらない追加があればよい。一任したい」(田名部匡代参院議員)との発言がありました。

 金子部門長から「われわれは日米通商問題対策本部を設置し、農林水産部門長として副本部長をしているが、この対策本部は農水については語らない場になっている。そのため、部門会議において、米国の関税措置についてヒアリングをさせていただいたところ。農水分野が今回のトランプ関税の影響を受けてしまうだろうことは明確。何もしないわけにはいかない。まずは、われわれがわが国の第1次産業を守っていくことで立ち上がっていかなければならない。与党の対応がわからない中、精一杯、最善を尽くすしかない」との発言がありました。

 協議の結果、たたき台をもって、神谷副部門長(衆院農林水産委員会理事)を中心に野党との交渉に入っていくことを了承し、内容については一任とすることとされました。