小川淳也幹事長は6月3日、国会内で会見を開き(1)内閣不信任案(2)年金制度改革法案――等について発言しました。
(1)石破総理が内閣不信任案が出てきた場合に採決を待たずに解散を検討しているとの発言に、小川幹事長は「安物のけんか、煽り運転、悪手だなと思っている」「(不信任決議案は)野党にとって神聖な行為」「(石破総理の発言は)むしろ政権側の焦り」と批判し、「この言葉に影響を受けず、全力でのぞむ」と述べました。
野田代表が政治空白を懸念していることについて、小川幹事長は「政治空白は、一義的に判断は難しい」と指摘しつつ「野田代表の良心、良識を先方から覆しかねない」と述べました。
(2)基礎年金の底上げについてさまざまな批判があることに対して、小川幹事長は「真摯に向かい、批判を受け止めつつだが、誠意をもって説明していく責任がある」とした上で、「このままほっておくと、基礎年金は3割目減り、40年満額掛け金を納めても6万円前後の基礎年金を3割減価させて、果たして基礎年金と言えるのかと言う状況に直面している。もう一つ、数年から最長5年10年で厚生年金の調整が終わる。しかし、基礎年金その後も20年30年と調整し続け3割減になる。その制度を放置しておいてよいのか。本当に基礎年金と言えるのか、老後の生活を守れるのか。初心に帰って日本の年金制度のあるべき姿を論じる一助となりたい」と述べました。
小川淳也幹事長記者会見
2025年6月3日(火)15時49分~16時28分
発行/立憲民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/0KWS5GaerGI
■冒頭発言
■質疑
- 終盤国会の対応について(1)
- 安定的な皇位継承に関する議論について
- 年金改革法案について
- 終盤国会の対応について(2)
- 選択的夫婦別姓法案について
- 「農政改革」「住宅政策」等について
- ハラスメント対策について
- 政治活動・選挙運動のあり方をめぐる議論について
- 政治活動・選挙運動に対する暴力行為について
- 「篠田議員に関する一部報道」「都議選に向けた取組」について
■冒頭発言
【司会(中谷幹事長特別補佐)】
それでは、定刻となりましたので、本日の幹事長記者会見を始めさせていただきたいと思います。冒頭、小川幹事長より発言をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
○第128回常任幹事会を開催
【幹事長】
お疲れさまです。
まず、常任幹事会のご報告を申し上げます。
常任幹事会におきましては、私のほうから先立つ日曜日の大泉学園駅頭における暴行事件の報告を申し上げ、全体に注意喚起をするとともに、活動の萎縮がないようにということで報告を申し上げました。
議事といたしましては、選挙に関連してボランティアセンターを設置し、多くの方々の様々な思いを受け止める運動体を整備していきたいと思っております。
公選法の関連で、被選挙権を18歳に引き下げる法案の提出のめどが立ちましたので、報告をさせていただきました。
選挙については、沖縄選挙区、参議院選挙で、髙良沙哉予定候補を推薦決定いたしましたので、ご報告申し上げます。
最後に、馬淵立憲民主党安定的な皇位継承に関する検討本部本部長から、現在の検討状況等の報告を常任幹事会として受けました。今後も冷静に議論を継続していきたいと思っております。
○長嶋茂雄氏逝去の報に接して
【幹事長】
事務方からの推奨もございましたので、冒頭野田代表おっしゃいましたが、長嶋茂雄さんが逝去されました。心より哀悼の意を表し、ご冥福を祈りたいと思います。
私は野球少年でして、現役時代は実は知らないのですが、憧れの気持ちを持っておりました。小さい頃の夢はプロ野球選手でした。小学校6年生のときに高松市の選抜チームに選ばれるほどの選手だったのですが、そこで補欠で、「将来、俺はないな」と思ったことを思い返します。
その上で、ちょっと余計なことなのですが、長嶋選手は、この間、中畑清さんと対談を公開でさせていただいたのですが、「俺は長嶋のためなら死ねる」と中畑さんがずばっとおっしゃったのがすごく印象に今でも残っています。それぐらい、戦後最大のスーパースターだったという認識です。ちょうど、この右肩上がりの時代の、太陽のような日差しというか、光の強いリーダーでした。
今の大谷選手とか先立つイチロー選手はちょっと風合いが異なるなという印象を持っており、より内省的な、人としての、何というのでしょうか、自省的・内省的な中から生まれてくる、たくみの技、たゆまぬ努力、野球界のリーダーとしての存在感。
ですから、その右肩上がりの時代を象徴する長嶋茂雄というスーパースターと、そうではない時代のスターのあり方、リーダーのあり方みたいなものを私なりに感じているところでして、やはり政治や社会においても、長嶋さんの偉業をしっかり受け継ぎつつ、新しい型式で未来を切り開いていかなければいけないのではないかという感想を持っています。
こんなに長くしゃべったことはありませんが、お許しいただきたいと思います。
○国会審議について
【幹事長】
(選択的)夫婦別姓、年金、企業献金、そして、政権与党が何やらあおり運転、何か安物のけんかを仕掛けているようにも受け止めているのですが、等々についてはご質問に合わせて応答させていただきたいと思います。
■質疑
【司会(幹事長特別補佐)】
ありがとうございます。それでは、質疑応答に入らせていただきたいと思いますので、質問のある方は挙手にてよろしくお願い申し上げます。
○終盤国会の対応について(1)
【朝日新聞】
常任幹事会冒頭でも代表から発言があった、石破内閣総理大臣が不信任を立憲が出した場合に採決を待たずに衆院解散することを検討していると。このことについて、まず幹事長としてどう受け止めているか伺いたい。
【幹事長】
安物のけんかと申し上げた、あおり運転ではないかと申し上げたのですが、非常に、何というのでしょうか、悪手だなと思って見ています。事実かどうかは知りませんし、たぶらかしているのでしょう、ごまかしているのでしょうが、この手の仕掛け方をし始めたのはやはり安倍政権の頃なんですね。安倍一強政治です。それ以前には聞いたことありません。非常に悪い質、悪質な火遊びだという認識でおります。
ちょっと正論を言わせていただくと、政権の信任に関わる決議案を出す出さないは、通常、所属会派50人以上を要する、普通は野党第1党にとって、極めて神聖な行為であり、重い決議案です。それを出す出さないとか、出す場合には出してから真摯に議論すればいいのですが、その前に何か本当に安物のけんかを仕掛けるようなのは、政権の品位に関わるというふうに、少し憤りというのか呆れているというのか、そういう印象を持っており、それは同時に、政権側のむしろ焦り、根拠のない強気が透けて見えるなという印象です。
重ねて、確認のために申し上げますが、私どもが政権を信任するしないの判断にいささかの影響もありません。具体的な決議案云々については代表が熟慮に熟慮を重ねておられると思いますが、いずれにしても政権を信任するしないの判断に、微動だに、いささかの影響もありません。それだけは強調しておきたいと思います。
【朝日新聞】
関連で伺いたい。代表も冒頭発言の中で、政治空白をつくってもいいということを政府・与党は考えているのではないかという発言をされていた。立憲民主党も、野田代表の発言を振り返ると、関税交渉の足を引っ張ることになるかどうかというのはかなり気にされていた面があると思うが、こうした石破さん側の出方というのが、そこの政治空白をつくるかどうか、関税交渉に影響を与えるかどうかという意味で、立憲としては一個の懸念材料がクリアされたというか、そうした見方があるのかどうか伺いたい。
【幹事長】
ちょっと出す出さないとは切り離して聞いていただきたいのですが、先方がそういう不謹慎なけんかを仕掛けてきているように私は受け止めていますので、代表がおっしゃったように、代表は非常に良識ある立場から、政治空白が今の情勢下でもたらされることへの懸念を、野党第1党の党首でありながら、非常に責任感が強い立場から申し上げているわけで、その野田代表の良心なり良識を先方から覆しかねない、非常に不謹慎な牽制球だという改めて受け止めです。
その上で、政治空白というのはちょっと一義的に判断をなかなかしにくいもので、国際情勢とか何とかいろいろなことを総合判断しなければいけないのは当然なのですが、真空状態みたいな政権が例えば存在しているときに、その政権を置き換えることこそが空白を埋めるという解釈もあるんですね。だから、政治空白というのは一義的に解釈し得るものではないので、空白・真空状態みたいな政権にちゃんと中身を詰め込むために一時的に空白をつくらなければいけないということもあるので、極めて重層的に判断すべきだと、政治空白という概念については。そう考えています。
【朝日新聞】
関連で、最後に伺いたい。不信任案可決、もしくは石破さんが衆院の解散を選べば、ダブル選挙も視野に入ってくると思う。立憲の中を取材していると、もちろん望むところだという方もいれば、なかなか状況的に整っていないのではないかと危惧されている方もいる。幹事長として、現状、このダブル選挙、望むところなのか、考えるところがあるのか。いかがか。
【幹事長】
いつ、いかなるときであれ、まさに常在戦場、全力で臨むということに尽きます。
○安定的な皇位継承に関する議論について
【産経新聞】
冒頭言及があった皇族数確保に関する議論について伺いたい。本日の常任幹事会で説明があったとのことだが、具体的にどういった報告が馬淵さんからあったのかと、現時点で立憲民主党は論点整理にとどまっているが、本日の常任幹事会で今後の進め方など確認したことがあれば伺いたい。
【幹事長】
論点として報告がございましたのは、かねてから皆様もご承知おきだと思いますが、いわゆる女性皇族婚姻後の配偶者並びに子の身分をどうするかということ。それから、皇統に属する男系男子を養子とする考え方について、どう対応するかと。この2点について経過並びに現状の論点の報告がありました。
どの論点も、どの案を採用するにせよ、まさに一長一短といいますか、それによって解決されるべきこともあれば、それによって持ち上がる懸念もありますので、それをニュートラルにご報告いただいたというのがきょうの報告のメインです。詳細は、この後、お手元におそらく文書が行っていると思いますが、ご確認をいただきたいと思っています。
確認されたことは特にないのですが、今後も、こればかりは党利党略を超え、何というのでしょうか、党派的立場ではなく、まさに国家的な大義に関わり得る話ですから、冷静に議論していくという方向感は大まかに共有事項になったかなという印象です。
○年金改革法案について
【産経新聞】
別件で、年金制度改革法案について伺いたい。立憲民主党が自民・公明と合意して盛り込んだ基礎年金の底上げについて、インターネット上では厚生年金の流用との批判が強く、立憲民主党はサラリーマンの敵といったような声もある。今後このような批判の声に対してどのように理解を求めていきたいとお考えか。
【幹事長】
真摯に向き合い、ご批判を受け止めつつですが、誠意を持って説明・説得していく責任はあるという認識です。
一つだけ申し上げさせていただきたいのですが、このまま放っておくと基礎年金は30%減価するんですね。3割、目減りします。ご存じのとおり、40年間満額掛金を納めて、今、掛金が月額1万7000円を超えました、必死に払っておられる方々も多数いらっしゃる、満額40年間全て納めて6万円前後というのが現在の基礎年金です。これを更に30%、3割減価させて、果たして基礎年金と言い得るのかという状況に我が国の年金制度は直面しているということを一つ前提に置かせてください。
もう一つ。この間、物によっては数年から最長でも5年、10年で、厚生年金のみ、つまり2階建て部分のみ、(給付水準の)調整が終わるという前提に立ってきました。そして、なぜ基礎年金だけ30%減価するのかといえば、その後も20年、30年にわたって基礎年金のみ調整し続けるという前提に立って今日に至っています。
今3点申し上げましたが、その制度を本当に放置していいのか、基礎年金と果たして呼び得るのか、老後の生活保障は成り立つのかという観点から、あまり、何というのでしょうか、それこそ政局的観点からいろいろなことを言うのは理解できますが、あるいは有権者・厚生年金加入者の方々の間にもいろいろなお声はあるでしょう、しかし、厚生年金のみ3年、5年、10年で調整を終えていいのか。基礎年金を20年、30年調整し続けるというのは、果たして社会的に妥当なのか。それによって基礎年金を30%減価させるということは果たして社会的に正当なのか。そうした初心に返って、原点に返って、日本の年金制度のあるべき姿を論じる、その一助となりたい。そう思っています。
○終盤国会の対応について(2)
【産経新聞】
最後に、別件で、内閣不信任案について。本日、国民民主党の玉木代表が記者会見の中で、内閣不信任案について、政権交代を目指す野田氏は出すべきではないかと述べた。その上で、厳しい姿勢で臨みたいと、不信任案に賛成するようなことも示唆している。先ほど内閣不信任案については神聖な判断とおっしゃっていたが、この発言に対する所感を伺いたい。
【幹事長】
率直に申し上げれば余計なお世話という印象は受けているのですが、それにしても、玉木さんにおかれましても、そういう発言を公言されればされるほど、今後の国会での立ち居振る舞いや、あるいは、場合によってはそうした決議案への対応において、玉木さんご自身の言葉の責任、政治的・道義的責任が積み上がっていくんだろうなというふうに拝見をしております。
それに限らず、ガソリン税(減税)、消費減税、そして、企業献金の見直し、夫婦別姓、あらゆる政策テーマでこそ連携を強めさせていただきたい。そう思っているところです。
○選択的夫婦別姓法案について
【NHK】
選択的夫婦別姓について伺いたい。今、三つの法案が審議入りしており、きのう辻元代表代行が、国民民主党との連携を模索できないかということで、協議していきたいというふうな発言をされていたが、どういう連携のあり方を考えているのかということと、これに対して国民民主党の玉木代表が、立民と国民だけが賛同しても法案が通らず意味がないので与党側への賛同を呼びかける努力が必要ではないかと述べているが、これに対しての受け止めを伺いたい。
【幹事長】
国民民主党さんの案と我が党の案は、極めて大枠・骨格が近似しているという立場です。したがって、今後の対応は、我が党の案への賛成を呼びかけるというのが基本ラインですが、先方の案に賛成する、ないしは、幹部間で様々非公式に協議している折には、我が党の案を取り下げて先方の案に賛同を示すというようなことまで含め、いろいろブレスト、頭の体操が行われて今日に至っているというのが偽らざる状況です。
改めて、企業献金もそうなのですが、与党側が乗らないと成立しないので意味がないという、その言葉の奥に見え隠れするものは何なのかということを、私どもとしてはあまり惑わされないように。与党側云々とおっしゃるならば、与党側を説得してください。そして、与党側より、より連携を強められる相手が主要野党の中に特にあるのであれば、そことまず連携して与党を包囲してください。そこにまさに玉木さんの本気度が問われる。一体、この問題に解決をしようとしているのか、それとも、対決が先行しているのか。まさに玉木さんの本気度が問われると私は感じています。
○「農政改革」「住宅政策」等について
【フリーランス】
先日の青空集会で訴えた農政改革、戸別所得補償制度の復活と減反政策の見直しについてだが、これは野党共同で法案提出して実現し得るものなのか。あるいは、政権交代しないと実現困難なのか。どう捉えているか。
【幹事長】
現状、衆議院で野党が過半数を持っていますから、考え方を合わせ法案を提出すれば衆議院を通過する可能性はあると思います。しかし、この間、企業献金、夫婦別姓、ガソリン税、あらゆることで協議が難航し今日に至っておりますので、その現実的な可能性をリアルに感じるには至っておりません。
政権交代が一番早い。この夏の参議院選挙は政権選択選挙であるという前提で、抜本的な農政改革に挑みたいと思います。
【フリーランス】
先ほどの質問に関連して。玉木代表が政権交代の重要性を訴えたが、去年秋の総選挙では首班指名選挙で玉木雄一郎と書き、野田政権誕生・政権交代を邪魔したということだが、最近何か考えが変わったのか。参院選後に自公連立入りは絶対しないとか、今回過半数割れしたら野田政権の一翼を担うと、そういうことは言い始めたのか。
【幹事長】
ごめんなさい、玉木さんが政権交代が必要だとおっしゃったのですか。
【フリーランス】
いや、不信任案を提出して政権交代を目指すべきだと、先ほどの質問で指摘されたので。であれば、まさか参院選後に自公連立入りはしないということと、去年秋みたいに自公政権延命のアシストをするようなことは今後はしないということをはっきり言っているのかなというのを幹事長に確認したい。
【幹事長】
今後の日本社会のため、日本政治のために、あらゆる過去のことは水に流したいと思っています。
この間、維新も国民も試行錯誤をしてこられたと思うんですね。こういう政治状況は、おそらく日本の政治史上初めてではないですか。どうですか、ちょっと私も確実に確認できていないのですが。少数与党で、個別野党の協力を得ながら政権運営するという事態があまり思い浮かばないのですが。だから、各党が初めての事態の中で手探りで試行錯誤するということ自体は受け止めたいと思っています。
しかし、首班指名で無効票を投じ、現政権を延命させ、そこと個別協議をすることで何かを得ようとしたが、ほとんど何も得られなかったという、この半年強の歴史は、残った事実だけは厳正に受け止めていただき、これからもなおそうした芸にとどまるのか、本格的な政権交代勢力の一翼を担っていただくのか。そこは大いに、真剣に、真摯にお考えいただきたいと思っています。
【フリーランス】
最後に。青空集会で都内のマンション価格高騰を問題視されたが、これは具体的な策というのは考えて提示されているのか。例えば外国人の投機目的の不動産を規制するとか、そういう具体策を今後訴える予定があればお聞きしたい。
【幹事長】
私見ですが、できるだけ公平公正な、不動産といえども、市場の確保ということは極めて重要な課題だと思います。
その上で、住宅政策がほとんどこの国は皆無ですから、住宅手当などを含め、まさに衣食住の最も基本となる住環境を整えるということを、社会政策の太い柱として、ぜひ訴えていきたいと思っています。
【フリーランス】
外国人の投機目的の不動産取得について、規制のお考えは。
【幹事長】
公正な市場をつくるということに、日本人も外国人もありません。それから、外国人排斥という主張をされる政党や政治家を散見する時代になりましたが、それに与するつもりはありません。
○ハラスメント対策について
【フリーランス】
鎌田さゆりさんの件を野田さんに聞いたら、幹事長が今いろいろな処遇を決めていると言ったが、どこまでできているか。
【幹事長】
先週木曜日にご本人に相対で直接お目にかかり、諸事情をお聞きした上で、私からは厳重に注意を申し上げたところです。
本日の常任幹事会におきましても、最近ハラスメントに関する党内の様々な事態の報道といいますか、散見されるものですから、この間も研修の強化等、一定の対策を取ってきたつもりですが、なお一層ご配慮いただき、こうしたことが二度三度繰り返されることがないように注意喚起を、本日の常任幹事会においても私のほうからいたしたところでございます。
【フリーランス】
水野素子さん、鎌田さんといい、女性がこのようなことをやるということは立憲民主党の基本的な精神の中にあるのではないかということで言われている。要するに秘書を人間扱いしていない。そのことなどは、この二人は反省しているのか。立憲民主党の名誉を汚し、同僚に迷惑を与えているのだから、それについてきちんと国会議員であれば声明を出すべきだが、どう思うか。
【幹事長】
水野さんは正式に記者会見をされ、一定のご本人なりの説明責任を果たそうと努力したという報告を受けております。まさにご指摘のご批判、お叱りを、しっかり受け止めたいと思っております。
ご本人、水野さんにせよ鎌田さんにせよ、直接お話をお聞きしました。両名共に、極めて反省していると、反省するところが多々あるという、真摯な率直な思いをこの耳でお聞きしていますので、ご本人に成り代わって、それはこの場をおかりしてお伝えしたいと思っています。一方、報道だけを取れば、もちろん中には憶測や誇張ではないかと当人としては思う、思わざるを得ない面もあると。しかし、それも含め、こうした報道に立ち至っていることの責任を感じており、真摯に反省しているということでございましたので、それも含めて私としては了としているところでございます。
私はきょうの常任幹事会でも申し上げました。そして、水野さん、鎌田さんにも申し上げたのですが、我が党は弱者に寄り添うと言っているんですね。そして、多くの国民の幸せを願う政党だと公に言っているわけです。したがって、目の前の秘書さん、あるいは党職員、場合によってはメディアの皆様や役所の皆様、日々相対して対応する人々に対する姿勢・態度こそが、我が党が主張しているその価値を日々体現しなければならないということを、ご当人並びに本日の常任幹事会でも申し上げたわけでございまして、お叱りの趣旨を十分受け止めつつですが、更なる構成員全体のモラルの向上と実践の向上に励みたい。指導を徹底していきたいと思っております。
○政治活動・選挙運動のあり方をめぐる議論について
【フリーランス】
先ほど幹事長がおっしゃった弱者に寄り添うというのは、大きく言えば国民に寄り添うということになると思う。一方で、他党の件だが、国民民主党の今回の比例擁立について、禁じ手みたいな感じで、山尾しおりと名乗る男性が出馬すると表明した。今、ユーチューブの登録者数が、本家と言っていいのか、ちょっと区別するためにだが、本家の方よりもその男性の山尾さんのほうが上回ったと。それも先月29日にアカウントをつくってすぐにこういった大きな数字になったわけで、結構皆さん注目している、悪いほうに注目していると思う。これはやはり政治に対する不信感。関心を持っているのだけれども、これに対する強烈な不信感。それから、例えば候補擁立については政党の自由といえば自由だが、有権者にとってはやはり選択肢をもう少し考えてくれという声だと思う。彼が主張しているのはまさにそのままだと思うが、国民民主党を批判するという意味ではなく、こういった声が出る政治の現状、選挙の現状について、幹事長はどういうふうにお考えか。
【幹事長】
ご質問の中にもありましたが、山尾さんの評価とか国民民主党の今回の判断について言及するつもりはありません。
その上で、この間、例えばポスター掲示場が(選挙と無関係の主張のもので)占拠されたり、政見放送がかつてでは考えられないような中身で垂れ流されたり、公共の電波でですね、そして、2馬力立候補だと自称する、ちょっと直ちには解釈しかねるような選挙運動が公然と行われたり、あるいは、同姓同名候補を、ある種妨害行為と断定していいのかどうか若干の戸惑いはありますが、同姓同名の方もそれはいらっしゃるでしょうから。そうした、つまり、どの党がどうこうではなく、公職選挙そのものの信任を侵しかねないような、ある種の合法的な破壊行動というのでしょうか、合法的な公職選挙の信任・公正を侵しかねないような行動が行われていることを私は大変危惧しています。
これは日本のみならず、政治全体がややポピュリズムに振れつつあることと関係性がないとも思えないのです。つまり、これは私の私見ですが、持論ですが、これだけ格差や貧困が拡大してきた社会にあって、多くの人々が疎外感や無力感を感じ、今のルールで何かに参加するというよりも、この秩序やルール、体制そのものを壊してくれという、破壊衝動を抱きかねない時代に入ったということを危惧しており、一部の政治家や政党がそうした有権者心理を時に煽ったり、そこに便乗したりする傾向が見られつつあるという意味で、私は大変危惧しています。
その意味では、新たなルールという議論ももしかしたら必要かもしれません。それ以上に、この格差と貧困が固定化し、拡大し、将来に見通しを持てず、この社会で生きていくことへの意味や、あるいは、自分が社会から尊ばれている、自分も社会を尊びたい、今の秩序や社会を重んじなければならないという感性や感覚を鈍らせているということを根本的に解決していかないと、これは対症療法では済まない領域に入ってきているのではないかという、私は危機感と感想をこの点については持っています。
【フリーランス】
一方で、やはり政党が有権者の期待に完全に応えていないのではないかと。例えば、掲げる政策と全く沿わない候補を出したり、理解ができないところがやはりあると思う。それは別に国民民主党でなくとも、いろいろなところで細かいところで感じるところがある。外から見れば、手軽な、何か手を挙げているからそれで公認しちゃったみたいな、そういうのも時々、私の勘違いかもしれないが、そういう人がちょっと見られる。そういった国民に対しての、国民の期待とか、こういうものを実現してもらいたいという、あり方に対して政党はどういうふうに応えるべきであるのか。その辺りをお願いしたい。
【幹事長】
今、政党が十分有権者の期待や信任に応えられているか。そこには多くの疑問、猜疑心、不信感が投げかけられているということを率直に認め、受け止めたいと思っています。既成政党に対する不信感というのも、総じてその括りの中から生まれてくる概念だと思っています。
政党としても、もちろん政策の論議や国会対策、選挙対応、全力を尽くしているのですが、私はこれからもそれは努力したいと思っていますが、ちょっと最近有識者がおっしゃることを一つ紹介したいと思うのは、ハラリさんにせよ、オードリー・タンさんを初めとした方々、知識層の方々がおっしゃるのは、どの政党であれ、投票行動という民主主義社会におけるある種の意思表示の機会、情報処理の機会が、数年に一度の投票しかないんですね。それは果たして、日々複雑な日常環境に置かれ、様々な人生の上で、生活の上で課題を抱えている有権者にとって十分な意思表示の機会かというと、とてもではありませんが、質量共に、密度も共に、不十分であるという認識を私は持っています。そういう意味で、この数年に1回、投票用紙に名前を書くという形での参加形式、情報処理に限界があると。
今まではそれしかなかったわけですが、これから党としてAI技術を駆使した日常参加型の大規模熟議ということもシステムとしてぜひ具現化していきたい、実現していきたいと思って、今、作業を進めているわけですが、今の政党が完全だと、完璧だと思いません。規制政治に対する様々な疑念や、場合によっては社会、今のルールに対する破壊衝動が芽生えている。だからこそ、どういう形でアップデートしていけるのか。それは政党としての努力、そして、新たなテクノロジー、あらゆることを駆使して民主主義そのものをアップデートしていかないと、やがて社会が危機に陥るという危機感を持っています。
○政治活動・選挙運動に対する暴力行為について
【朝日新聞】
冒頭の発言であった大泉学園の暴行事件だが、党として把握している、どういう被害があったかとか背景等があれば教えていただきたいのと、先日の熊本の代表の街頭演説会でも、ほかの団体の街宣車が近くにいて代表の声がなかなか聞き取りにくいような状況になっていたということもあると思う。こうしたことが相次いでいることに対して、党として何かどう対応していくかというのがあればお願いしたい。
【幹事長】
街頭演説中、これはもう私自身の街頭演説も含むのですが、当該地域の髙松衆議院議員の秘書の男性が頭突きの被害を受けたと、暴行を受けたということです。逮捕された方は自称会社役員というふうに聞いており、被害届が出されたということです。
熊本での街宣行動なども含め、ちょっと遡れば、つばさの党でしたでしょうか、政治活動や選挙運動に対する有形無形の妨害行為というのが多々見られる時代になりつつあり、まず、限界があるのですが、用心を重ねるといいますか、被害が出ないように、被害を最小化できるように、注意深く行動しなければならないと思っています。自衛のためにもですね。
一方、政治活動や選挙運動を萎縮させることがあってはなりませんので、そのことも含め、きょう常任幹事会で私のほうから、出席の幹事の皆様を通して全党に号令といいますか、お願いをしたところでございまして、警察当局とも時に連携することも含め、まずは被害が出ないようにということと、とはいえ活動を萎縮してはならないということとのバランスを取っていきたいと思っています。
○「篠田議員に関する一部報道」「都議選に向けた取組」について
【フリーランス】
篠田議員の記事の件、ちょっと遅れてきたので先に質問があったかもしれないが、弁護士として不法行為の手助けをしたような、黙認しているというような記事が出ているが、こういったことをやっている議員がそのまま議員を続けていていいものか。辞職させるべきではないかというふうにも思うが、その件について、どういったご見解か。
【幹事長】
申し訳ありません、ちょっと私もいろいろなことに追われていて詳細の把握をしかねている状況であり、今後事態の把握に努めます。現状、党役員室において事実確認と関係者への様々な聞き取り等に努めているところです。今後、その状況を待って対応を判断したいと思います。
【フリーランス】
都議選のほうで立憲民主党が森愛さんを推薦されていると思うが、6月1日、この間の日曜日、私と堀田さんで街頭演説を撮影に行ったところ、街宣車に公職選挙法違反のポスターを張っていたのを現認して、そういった問題が新たに起きた。そもそも900万円以上の不記載があったわけで、さらに公職選挙法違反のポスターの張り出しをしていたと。ユーチューブに動画を上げているので後で確認していただければと思うが、こういった方を推薦を続けるのかどうか。推薦を続けるということは、つまり自民党とかに対しての不記載は非常に攻撃するが、関係者は、ただ単なる事務上のミスだという言い訳を許してしまっている。ちょっとこれは問題ではないかと思うが、その新たな街宣車の違反を私のほうで報道しているので、確認していただいて、後日で構わないので、このまま推薦をするのが正しいのか取り消すのが正しいのか回答いただきたいのと、今のところでのとりあえずの見解を教えていただきたい。
【幹事長】
まず、事態の確認に努めます。そして、いずれにせよ、そうした疑念を抱かせていること自体を大変申し訳なく、深くお詫びを申し上げます。今後の対応は都連と協議中でございまして、事態の確認等、その評価等を待って結論を見出したいと思っています。
【司会(幹事長特別補佐)】
そのほか、いかがでございますか。よろしいでしょうか。それでは本日の記者会見はこちらで終了させていただきます。皆様ご参集いただきましてありがとうございました。
【幹事長】
ご協力ありがとうございました。
(以上)