野田佳彦代表は6月10日、国会内で記者会見を開き、「物価高から、あなたを守り抜く」と題する参院選挙政策を発表しました。
参院選挙政策では「あなたを守り抜く、8つの政策」として、(1)物価高から、あなたを守り抜く(物価高・経済産業・賃上げ・雇用)(2)就職氷河期・現役世代、シングル世代に安心を(就職氷河期・現役世代・シングル世代) (3)農山漁村・生活インフラを守って、地方を豊かに(農林水産・環境・エネルギー・地域・災害)(4)年金の底上げ、 医療・介護体制を万全にする(社会保障<年金・医療・介護>) (5)チルドレン・ファースト 子育てしやすい環境をつくる(教育・子ども・子育て) (6)ジェンダー平等、人権擁護、犯罪被害者支援の推進を(7)自由貿易をリードする 日本の平和を守る(外交・安保・経済安全保障)(8)政治の信頼を取り戻す 若者の政治参加を――を掲げています。

野田代表は、キャッチコピーについて、「物価が引き続き厳しい高騰が続いている、この現状から国民生活をどう守り抜くかが参院選挙の最大の争点となる」と改めて主張しました。
その上で、先行して発表している党の物価高対策が、参院選公約でも最重点政策だと強調。(1)食料費にかかる消費税の半年分相当にあたる「食卓おうえん給付金1人2万円の一律給付」(2)原則1年間、最大2年間の食料品の消費税ゼロ%(3)中低所得者にとって減税よりも恩恵が大きい給付付き税額控除――の3段階の政策を早期に実現したいとし、党PTで制度設計に着手しつつあると述べました。
あわせて、「コメ政策の抜本的な見直し」「ガソリン暫定税率を廃止し、40Lあたり1000円の負担減の実現」を目指すと力を込めました。

2025参院選政策発表会見
2025年6月10日(火)13時30分~14時11分
発行/立憲民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/8IYct1eSdV8
■冒頭発言
■質疑
- 参院選政策「物価高から、あなたを守り抜く」について
- 党首討論に向けて
- 日米交渉に関する与野党党首会談について
- 国会最終盤の対応について(1)
- 物価高対策に関する政府・与党方針について
- 国会最終盤の対応について(2)
■冒頭発言
○参院選政策「物価高から、あなたを守り抜く」発表
【野田代表】
この夏に予定をされています参議院選挙に向けた政策を取りまとめましたので、発表させていただきたいと思います。
キャッチコピーは、既に発表させていただいているとおり、「物価高から、あなたを守り抜く」であります。やはり食料品、日用品、ガソリン、米など、引き続き大変厳しい高騰が続いているということでありますので、このような現状から国民生活をどう守り抜くかが参議院選挙の最大の争点になると思います。
スライドの次のところをお願いしたいと思いますが、既に立憲民主党の物価高対策については先行して発表させていただいておりますのが、まず、米については、高値が続く米代の負担軽減などに向けての「食卓おうえん給付金」という形で、まずは当面の対策を行っていくということ。食料品にかかる消費税の半年分相当に当たる1人当たり2万円の給付ということになりますので、「食卓おうえん給付金」という名称の下で一律給付をさせていただきたいと思います。
その後、原則1年間、最大2年間、食料品の消費税0%を行います。
その上で、将来的には、中所得者・低所得者にとって減税よりも恩恵が大きいと言われている給付付き税額控除。この制度の導入を早期に実現をしていきたいと思いますし、この点については既にプロジェクトチームも発足して制度設計に今着手しつつあるところであります。
あわせて、消費者の皆さんにとって米価の安定と、そして、生産者の皆さんにとっては農業を続けられるようにすることが大事だと思いますので、こうした観点からの米政策の抜本的な見直しを行っていきたいと思います。
また、既にこれまでずっとお訴えしてまいりましたが、(ガソリン・軽油の)暫定税率を廃止し、40リッター当たり1000円の負担減を実現したいと考えております。きょう各党の手続が順調に今のところ来ていると思いますので、しっかりと政調会長間で最後の詰めをしていただければ今国会で実現できる可能性も出てきますので、そうなれば選挙公約から外すことになりますが、現時点では、この40リッター当たり1000円の負担減というのを公約に掲げさせていただいているところであります。
次に、8本柱についてざくっとご説明したいと思いますが、最重要の物価高対策は、今の消費税に絡むこと、「食卓おうえん給付金」に関わることなどが中心でありますが、そのほかに、例えば中小企業にとっては賃上げをする環境整備にとって必要なのは何といっても社会保険料の負担軽減だと思いますので、事業主負担の軽減など、中小企業支援も掲げていきたいと思います。
2本目は、「就職氷河期・現役世代、シングル世帯に安心を」でありまして、これは氷河期世代に当たる我が党の参議院議員が中心になって取りまとめた考え方でありますが、減税や年金の底上げを実現する「お金」に関わる部分と、家賃の補助制度などを実現する「家」に関わる部分と、ワーク・ライフ・バランスの取れた生活などを実現する「時間」の、三つの観点から、将来に様々な不安を抱えている皆さんを力強く支援していきたいと思います。
3本目が、「農山漁村・生活インフラを守って、地方を豊かに」であります。かつて生産者の皆さんから好評をいただいていた農業者戸別所得補償制度をバージョンアップする形で、農地に着目した「食農支払」を創設いたします。また、地方の医療体制を万全にするために、公立・公的病院の支援強化や、地域公共交通機関を持続可能にするための施策などに取り組んでいきたいと考えています。
4本目が、「年金の底上げ 医療介護体制を万全にする」であります。今回の年金制度をめぐる議論でも、やはり多くの世代が将来の社会保障制度に不安を抱いていることが改めてよくわかりました。そのような不安をしっかり解消するため、年金の底上げ、低所得の高齢者の年金に一定額の上乗せ給付などを進めていきたいと考えています。
5本目が、「チルドレン・ファースト 子育てしやすい環境をつくる」であります。今国会でも、給特法の議論などでも改めてよくわかりましたが、教員の過酷な労働実態、そして、そもそもの教員不足が明らかになりました。どの地域に住んでいても質の高い教育を受けられるよう、教育施設への財政的支援、公教育の充実、給食の無償化などの負担軽減を進めていきたいと考えています。
6本目が、「ジェンダー平等、人権擁護、犯罪被害者支援の推進を」であります。選択的夫婦別姓については、まさに今、議論が行われている途中でございますので、これも何としてもこの国会で実現できれば公約から外せると思いますが、こうした今議論の最中ですので、選択的夫婦別姓は現時点では入れさせていただいております。さらに、同性婚の法制化、クオータ制の導入などの議論も進めていかなければならないと考えていますし、犯罪被害者家族の方に対してのワンストップ支援の充実など、我が党だからこそできるような改革というものも進めていきたいと考えています。
7本目は、「自由貿易をリードする 日本の平和を守る」であります。世界全体において分断と排外主義が広がっている折でございますので、様々なレベルの国際的な枠組みが、より力を発揮すべきときだと考えています。これまでの日本外交の知見を生かして「平和創造外交」を展開することと、今、保護主義も高まっておりますので、TPPの拡充等、あるいは個別の二国間の経済連携協定等々、自由貿易の旗手として日本が戦略的に経済外交戦略を進めていくと同時に、日米韓で連携をした東アジアの平和と安定の維持なども進めてまいりたいと思います。
最後の8本目は、「政治の信頼を取り戻す 若者の政治参加を」であります。企業・団体献金の廃止は諦めずに実現に向けて引き続きこだわっていきたいと思います。また、きょうの朝、法案を提出いたしましたが、政治の場により一層若い人たちが声を上げていくことができるように、被選挙権年齢を大幅に引き下げる法案を提出いたしました。このほか、政治資金規正法を通じてのいわゆる世襲の制限等々、不断の努力で政治改革は推進していきたいと考えています。
以上、ごくごく簡単に説明をいたしましたが、この8本に入り切れない政策は冊子の後半で「主な政策項目」として記載をしております。今後、全国各地で、参議院選挙の勝利に向けて、全党挙げて訴えてまいりたいと思います。
この後、ご質問をお受けいたしますが、細かい点は政調会長も同席しておりますので順次役割分担をしながらお答えしていきたいと思います。
■質疑
○参院選政策「物価高から、あなたを守り抜く」について
【読売新聞】
冒頭に、一番の争点が物価高対策だとお話しされた。この公約を見ても、1番目に置いてあったり、ページ数が一番割かれていたりするが、公約の中で物価高対策が一番なんだというのを打ち出したポイントがあれば教えていただきたい。
【野田代表】
ずっと物価高が続いたまま、しかも残念ながら政府が放置したまま、無策であるということが結局争点になってきたと私は思っていまして、4月の消費者物価指数も、東京23区、生鮮食品を除いてということで、(前年同月比)プラス3.6%。これは同じ4月の消費者物価指数の中ではG7の中で一番ですし、特に食料品の値上げがずっと続いておりますので、この問題を放置したままでは国民生活が立ち行かないと思います。したがって、物価高対策を最優先に掲げさせていただきました。
【読売新聞】
柱の一番最初に置いたというのは、一番重要ですということを示したということか。
【野田代表】
そのとおりです。物価高から、国民を、国民ではなくて、あなたを守り抜きますという、まさにキャッチコピーもつくりましたし、これを最優先の課題としています。争点としています。
【読売新聞】
代表就任からすると、就任直後の衆院選、その後の2回目の国政選となるが、この公約の中に、いわゆる野田カラーというか、こういったものを出したところはどの辺りになるか。あるいは、そこはあまり意識していないか。
【野田代表】
野田カラーというか、私のカラーというよりも、これはもう多くの議員の皆さんからのボトムアップで出てきたものを最終的に政治判断をしているということでありますので、まさに立憲民主党カラーだと思います。
【読売新聞】
最後に。給付付き税額控除を最終到達点として掲げられているかと思う。この制度はかねてからわかりづらいというような指摘もあるが、この点はどのように訴えていくか。
【野田代表】
名前の言い方も含めて工夫しなければいけないと思いますし、考え方ももっとわかりやすく説明しなければいけないと思うのですが、やはり逆進性対策としては複数税率よりははるかに有効だと思っておりますし、中所得・低所得の皆さんにとっては減税よりも効果があると思います。
言ってみれば、一定の所得以上の人たちには税額控除という形のキャッシュバックをする、一定の所得以下の人たちにはむしろ給付中心のキャッシュバックをするという還付制度になりますが、この点の名前の位置づけとか説明の仕方、制度設計を含め、階猛さん中心にPTをつくりました。
前提となるのが、これは石破さんも「一つの解だ」と言ったぐらいですから、お互い各党で研究しなければいけないと思いますが、所得の把握というところが一番肝になってくると思いますので、そのためのワーキングチームを海江田さん中心につくっていただきましたので、きちっとした制度設計が早急にできるように、言葉としてももっとわかりやすく訴求できるように工夫をしていきたいと思います。
【朝日新聞】
冒頭の2、3ページのところで立憲民主党の実績をあえて目立つように書いた理由と、この冒頭のページに責任とか無責任という言葉が多く出てくると思うが、そこに込めた意義をまず伺いたい。
【野田代表】
まず、実績のところは、去年10月の総選挙で私ども50議席を増やさせていただいたことが大きくやはり作用して、国会の風景が変わったと思います。それによって予算の修正をすることができるようになったり、年金のみならず給特法を含めて様々な修正を勝ち取ることができるようになったり、あるいは、今回のように場合によっては暫定税率で議員立法が成立する可能性も出てくるなど、衆議院で躍進をさせていただいたおかげで国会が変わってきました。同じようにやはり参議院でも大きく国会を変えていきたいという思いから、こうして力をいただければ変えることができると、民意を反映する政治が実現できるということを含めて実績の部分を書かせていただいたということです。
「責任」「無責任」という言葉を使っているということは、減税を今回掲げましたが、期限を決めていることとか財源を明示していることなど、ほかでも減税を言っているところがありますが安易に赤字国債に頼るわけではないという、責任ある減税という立場を取っていますし、これは与党との差では、(与党は)減税も給付も今のところやらないのではないか。何か今、少し与党では給付の話が出てきたようでありますが、ようやくそんな議論が出てきましたが、無策の与党と、減税は言っているけれども赤字国債の他の野党との、違いを明確にするためであります。
【朝日新聞】
もう一点。原発政策について、前回衆院選・参院選に続いて今回原発ゼロという単語が公約の中に入っていないと思うが、その理由をお聞ききしたい。
【野田代表】
綱領の中には入っていますが、原発に依存しない社会を目指すということは、前回とその前の選挙を踏襲しているということです。
【朝日新聞】
その原発ゼロの綱領の考え方から変わったということではないということか。
【野田代表】
これはやはり、依存すること、依存を避けていくということが、一番最初に緊急性があるのではないかと思います。
【産経新聞】
今回の公約の財源について伺いたい。食料品消費税の0%については個別に財源を発表されているが、今回の公約にはほかにも、例えば「食農支払」や介護従事者の底上げなど、新たな財源が必要となる政策が多く並んでいる。全体として財源をどのように捻出していくお考えか。
【野田代表】
介護従事者の待遇改善等は、予算修正のときにも財源は全部パッケージで示していましたので、その範疇の中で収まることだと思います。
「食農支払」については、いわゆる個別の財源確保とともに、予算編成の中で予算を増やすということを前提にして対応するということになっていますので、それぞれの個別政策については財源の裏づけを説明できるようにしていきたいと思っています。
【産経新聞】
安保政策について伺いたい。前回の衆院選公約と比較すると、例えば日米同盟について「基軸」から「深化」となったり、防衛力を抜本的に強化など、安全保障政策について前回のものよりも強い表現が並んでいるように感じる。世界の安全保障環境が厳しさを増す中で、より現実的な政策が求められていると思うが、今回の安全保障政策の関連する公約に込めた思い、狙いなどがあれば伺いたい。
【野田代表】
安全保障環境が厳しくなっている折ということも含めまして、表現が「深化」等々、工夫をしながら書かせていただきました。
【産経新聞】
関連して。前回の衆院選公約と同様に、安保法制について違憲部分の廃止というものが今回も盛り込まれたが、具体的にこの安保法制の違憲部分がどの部分を指し、どのように実現していくお考えか。
【野田代表】
これはもう何回も申し上げておりますが、政権を取った暁には、アメリカであるとか、あるいは防衛省等々、やはりその衝に当たってきた人たちの声などもよく、現場の声なども聞きながら検証していくということで、そこで明らかにしていくということです。
【産経新聞】
最後に一点。憲法の部分についてだが、今まで論憲というフレーズが入っていたが、今回はその論憲という言葉、単語が入っていない。議論を進めるとはなっているが、この論憲という言葉を盛り込まなかった理由などがあれば伺いたい。
【野田代表】
いや、論憲という立場は基本的に堅持していると思いますよ。議論を進めるということは、議論をするということですので、2文字に表すのか、もうちょっと広げたのか、というだけのことだと思います。
【毎日新聞】
24年の衆院選の公約では政治改革が一番手にあったかと思うが、今回は8番目に置いてある。柱は全て重要だということは前提にした上で、1番目に物価高を置かれたと先ほどおっしゃっていたので、今回8番目に政治改革を置いた理由、狙いなどがあればお願いしたい。
【野田代表】
順番で優劣をつけているわけではありませんが、ただ、やはり物価高が最大のテーマだと。だからキャッチコピーにも使っているように、これを一番打ち出しとして大きくしなければいけませんし、政治改革も依然としてテーマであって、いわゆる裏金の問題の解明も残念ながらまだ十分進んでいませんし、そういう不祥事を起こさないための処方箋も残念ながら我々と自民党では違うまま今日に至っていることなどもありますので、引き続き大きなテーマでありますけれども、でも、やはり政権交代を実現した暁にこれはもっと進むこともいっぱいあると思いますが、現段階はやはり参議院選挙の最大の、直近の一番のテーマを掲げていくことを優先したということであります。
【東京新聞】
農業政策について伺いたい。今回の公約では農業政策を非常に重視されていると思うが、政府・与党も今、米の価格が下がったときのセーフティネット、戸別補償制度のようなものを検討しているとされている。立憲民主党の農業政策、政府・与党との違いがどこにあるのか、どのように差別化して参院選で訴えていくかお聞きしたい。
【野田代表】
政府が戸別所得補償制度を検討しているという話は聞きますが、正式に言っていないですよね。だから、わかりません、中身が。元々戸別所得補償制度については小泉農水大臣は否定的な立場で、農業者の戸別所得補償制度については酷評していましたので、だから、今どういうことを検討しているのか、私はさっぱりわかりません。
だから自民党のお話を聞かれてもわかりませんが、我々は農地に着目した「食農支払」という形で、かつての農業者戸別所得補償制度をバージョンアップさせたということです。
【共同通信】
経済政策について伺いたい。パンフレットの1の中でも「賃上げ・雇用を中心とする経済政策」に転換しというところにマーキングがしてあるが、ここを強調する狙い、自民党との差別化について、代表の所感をお願いしたい。
【野田代表】
これはもう自民党も何もなくて、これはまさに日本の最大の課題ではないかと思います。物価よりも賃金が上がっていく状況が経済の好循環につながるということは、これは与野党共に共通の認識だと思いますので、違いというよりも、どの党でも掲げる政策だと思いますし、我々も重視しているということです。
【共同通信】
もう一つ。外交・安全保障政策のところで、辺野古への普天間飛行場の移設に関して中止という記載がある。代表自身、民主党政権のときに辺野古問題に対してなかなか苦労されたと思うが、中止ということを明記した理由を伺いたい。
【野田代表】
これは党内いろいろ議論があったと思うのですが、中止は前回と同じです。同じ形で踏襲させていただきました。依然として中止すべきではないかという認識を持っていますので、書かせていただきました。
【日本農業新聞】
先ほど農業政策についても質問が出たが、きょう小泉大臣が備蓄米の追加放出を発表されるなどあったが、公約の中でも備蓄米制度の見直しと書いてある。物価高対策として石破政権は位置づけているが、立憲民主党として備蓄米制度をどう見直していくのかという部分を教えていただきたい。
【野田代表】
これは食糧法の見直しという形で対応するというふうに聞いています。今回はいわゆる放出という形で米価を下げるための工夫として取り入れていますが、逆の場合はないのかなど、そういう観点からの、もっと出し入れの問題についてはいろいろなケースに備えての対応をしようというのを、食糧法の改正という形で対応しようということです。
【フリーランス】
農業について伺いたい。いろいろ農家に対しての「食農支払」とか制度をおつくりになっているが、将来農業はどういうふうにすべきだという観点を伺いたい。例えば日本は今人口が減っているので、国内だけの市場ではなく海外にもやはり展開すべきだと考えるが、その上で、日本の農産物は非常に品質が高く、海外での評価も高い。もちろん、まず国内の市場に展開することも大事だが、海外のほうにも展開していく、それについては、アメリカとかフランスとか、農業国として知られている国の仕組みというか、農業を支える国の政策が参考になるかと思うが、そういった意味で、今は自給率もかなり低いというところで、まずは国内ということをお考えなのでしょうけれども、将来の日本の農業の展望としてはどういうふうにお考えか。
【野田代表】
農は国の基(もとい)ということは間違いないと思うのです。その農政が今、危機的な状況にあるというのは、一つは、やはり農地がどんどん減っていっている。それから、もう一つは、農業者が減っていっている。農地と農業者が農業基盤だと思います。その農業基盤をいかに維持発展させていくかに日本の農政はかかっていると思いますので、今回の農地に着目した「食農支払」というのは、そういう概念。
食料安全保障は農業基盤がしっかりしていないとできないと思います。そのために我々は、農地、そして農業者、ここに着目した改革をこれからどんどん進めていく中で、海外に売るための物というのは、やはりそのために工夫をして、マーケットも調べてやっていかなければいけないので、そのための作戦は当然考えなければいけないと思いますが、あくまで食料の自給率を高めていくということ、食料安全保障の観点、これを重視することと、今言った農業基盤をしっかりと維持発展させていくという観点の農政改革こそ一番大事になってくるだろうと思っています。
【「FACTA」】
最大の目玉は、野田政権になったら来年4月に食料品の消費税がゼロになると、これに尽きると私は思う。食料がゼロになると、例えばコンビニなどで全部買ってきたやつ、テイクアウトとかそういうものも含めて、どの範囲で食料品が、例えばラーメン屋さんでラーメンを買ってきたら、それを10%引くとか8%引くとか、食料品の消費税ゼロはどういうイメージなのか。ほとんど食べるものはゼロなのか。その辺はどうなっているかと、ゼロはいいのだが、小さい活字で後ろのほうに1年だけと書いてある。要するに、まずは1年だけとして、経済情勢で1回だけ延期となっているが、この部分がちょっと腑に落ちないところがある。財源はあるのかもしれないが、今の公明党の議論などを聞いていても、基本的に世界各国で食品の消費税はずっと低い。そういうことを考えたら、2年後に戻るんだみたいなよりは、1年やってみて、そこでやはり食品の消費税は安くするんだというのが僕は普通だと思う。財源の問題はあるが、これだと結局1年だけの、選挙のためのプレゼントとしか見えないところがある。しかも、小さい活字で書いてあるものだから。その辺も含め、食料品の消費税は本当はどうあるべきだと野田さんは考えておられるのか。やはり日本は高過ぎるのではないかと思っておられるのか。そこを伺いたい。
【野田代表】
本来は単一税率が望ましい、複数税率ではなく給付付き税額控除で逆進性対策を講ずるべきだというのが我々の基本的な考え方ですが、現在の複数税率を前提にしたときに、食料品の高騰で厳しい生活を余儀なくされている方がいらっしゃるということですので、まさに給付付き税額控除を目指しつつも、臨時・時限的という位置づけで今回の消費税の食料品0%を導入するわけですので、これは当然テイクアウトとイートインの違いはあります。
今も10と8でありますが、今度は0%ですからもっと大きくなるかもしれませんが、このことは現在もそれは存在するし、これからも続くということですが、臨時・時限的ですので、1年原則、そして最長でももう1年、それはお尻を決めて財源を示すことが責任ある減税だという立場からでありますので、早くきちっと戻していくということが、やはり財政赤字の垂れ流しにならないように、財源を常に打ち出していける範囲の中でやるべきことだと思っていますので、ここがやはり我々の基本的な考え方だということであります。
ほかの国を見ても、いろいろ事例はありますよね。ただ、それを恒久にしてしまうと、その分ずっと財源の問題が出てきてしまうので、それは厳しい状況になります。その議論というのはやはり根本的な議論になってしまうと思いますし、今は社会保障だけで38兆円かかっている中で、消費税は24兆円ぐらいで、元々足りない部分ですので、穴を空けないような工夫というのは絶対にしていかなければいけないと思っています
【ブルームバーグ】
公約に関して、政府と日銀のアコード見直しについて、衆院選の公約にも、物価安定目標2%から0%、実質賃金の上昇をアコードに含むということが書いてあったが、それと同じことなのかということと、実質賃金の上昇について、政府が1%を29年と目標に掲げているが、実質賃金上昇の水準についてお考えがあれば伺いたい。
【野田代表】
いわゆるアコードに関わる部分は、前回の選挙のときにお示しした考え方と基本的には同じです。
今あるアコードが2%と書いていますし、事実上2%をずっと超えたままだけれども、金融緩和的な方向はずっと言ったままで、非常に、どなたにとっても今、違和感のあるアコードになっていると思いますよね。これはやはり柔軟性を持たせて、(今のアコードは)2にこだわり過ぎているし、それも実は守られていないということなども含めると、やはりゼロ以上の幅の中で、日銀の独立性を担保しながら、いかに日銀の柔軟な金融運営ができるかどうかというところを考えた話で、実質賃金も、そういうものを含めて、政府と日銀がお互いの役割を認識しながらも共通の目標でできることは何なのかという意味では、やはり実質賃金などを入れるということが大事ではないかという観点から取り入れるということです。
その実質賃金の幅については、ちょっとまだ、とりあえずプラス、今ずっとマイナスなのでプラスに転じさせるということ、それが続くということをつくり出していくということが大事だと思っています。
○党首討論に向けて
【産経新聞】
あす行われる党首討論について伺いたい。今国会最後の党首討論となるが、どのような論点・テーマで臨むお考えか伺いたい。
【野田代表】
「物価高から、あなたを守り抜く」と言っている以上、きょうこの政策を発表した以上、やはり物価高の問題についての総理の認識と、どうするのかということなどをしっかりお尋ねし、我々の考え方をお示しし、評価を聞くということが一つの論点だと思っています。
もちろん反論もできるし逆質問もできるので、どういう展開になるかはわかりませんが、私が考えているのは、一つはやはり物価高の問題に対して、どう克服していこうというのか。策があるのか、ないのか。参議院選挙後しかないのかなどを含め、あるならば、どんなことがあるのか。我々と違うのは何なのかということを明らかにしていきたいと思います。
まさにカナダに行く前なので、G7サミットでもいわゆる関税の問題が大きなテーマになると思いますので、その構えについてもしっかりお尋ねしていきたいと思います。
大体ストーリーとしてはそんなことを考えています。
○日米交渉に関する与野党党首会談について
【産経新聞】
今、関税のお話も出たが、日米首脳会談前の各党の党首会談について、政府・与党が12日に開催する方向で調整に入った。野田代表としては開催を求めておられたが、前回の党首会談の際には日米交渉のあり方について要請されていたが、今回の会談ではどのような話をしたいとお考えか。
【野田代表】
まず、ご説明を聞かないといけないですよね。4月4日(の党首会談)以降、残念ながら今どれぐらい進捗しているのかがよくわからないではないですか。今回も、カナダのサミットでは大きく合意に前進するのではないかという事前の報道を含めてお話がありましたが、そうでもないのではないかという感じが今、また広がっている。要は、わからないんですよ。
ですから、どの程度進捗しているのか、どういう構えでサミットに臨むのかなど、基本的なことをまずお考えをお聞かせいただくという意味では、このタイミング、ぎりぎりのタイミングですが、やらなければいけないときではないかと思います。
○国会最終盤の対応について(1)
【産経新聞】
最後に。内閣不信任案について、見送りを検討と一部報道があったが、現在の不信任案に対するお考えを伺いたい。
【野田代表】
根拠のない1面の記事で、憤りを覚えています。「適時適切に総合的に判断をする」以外、何も今は申し上げる時期ではないと思っています。
○物価高対策に関する政府・与党方針について
【共同通信】
物価高対策の関連で伺いたい。きょう午前、自民・公明の幹事長が会談し、物価高対策として給付を実施する方向で正式に一致した。この夏の参院選の公約にも反映させる方針だそうだが、改めてこの受け止めを伺いたい。
【野田代表】
まだ煮詰まっていないんですよね。兆単位と、数兆円というような報道が出ていますが、数兆円単位とすると、では、財源をどうするのか。税の増収分とかという報道も見ていますが、中身がわからない。ようやく、無策だということを言われることがつらくなってきて、前は一律に給付しようとしたのをばらまきだと言われて、反省をしながら何かの名目をつくってやろうということなのでしょうけれども。
中身を見ないと何とも言えませんが、ようやく参議院選挙の公約で掲げるということですから、それこそ、何と言うのですかね、では、それ以外は考えていないのかと。今からできることは何なのか、参議院選挙のときの公約でしか考えないのか。少なくとも消費税の問題を含めて私どもは3段階でやっていますよね。選挙前にできること、選挙後に実現できること、そして給付付き税額控除まで、3段階で考えて、選挙のことだけではなく、もっと全体を短期から中期をにらみながらの対応をしていますが、今回は選挙を乗り切るための公約のように私には映りますので、違和感を感じますね。
【共同通信】
この給付をめぐっては、一旦ばらまきという批判が高まり見送った経緯もある。その政策の一貫性のなさという点に関しては代表はどう見ておられるか。
【野田代表】
ばらまきと言われて慎重になったのに今度出てきたというのは、どういう工夫をするのかをよく見てみないとわかりません。
○国会最終盤の対応について(2)
【朝日新聞】
内閣不信任に関係して伺いたい。共同提出の話が浮上してから、日本維新の会や国民民主党からは共同提出に慎重な声が出ている。代表は率直にこの状況をどうご覧になっているか。
【野田代表】
共同提出するかどうかというのも、それは出すということを前提にしなければできない話でありますので、出すというような場合はいきなり協力してくださいと言っても驚くだろうという意味において事前にお話をするということを申し上げた中で、そういう会話の中で共同でもいいですかという確認ぐらいはもちろんやると思いますので、そういう一環の中で言ったつもりなのですが、何か踏み絵のような、瀬踏みのようになってしまったなとは思いますね。何か、やたら慎重になるか、やたら攻撃的になるか、よくわからない反応が今起こっているなと思っています。
【朝日新聞】
関連で。もし出す場合は、やはり政権構想とセットだという意見もある。代表としては、その政権構想を提示できるかどうかというのも、提出の判断の材料にはなるか。
【野田代表】
個別に一つ一つ答えたら、総合的な判断と言えないではないですか。総合的判断です。
【朝日新聞】
その流れでお答えしにくいかもしれないが、国会も最終盤になってきて、様々な政治課題で、決着がついたもの、逆に全く結論が出ていないものも幾つかあると思う。その総合的な判断に含まれる材料、例えば政治改革とか夫婦別姓もあるが、今、たなざらしになっているそういう課題、具体的にどんなものが頭にあるか。
【野田代表】
申し上げたことは、一つ一つ大事だと思います。それらが全部合わさって、総合的判断です。
年金だけ、そこを特出しして、これをもって不信任が消えたとか言う人がいるではないですか。私は、あの理屈がわからないんですよ。年金修正は、(政府が)遅れて出してきたから、我々があんこを入れなかったらこれは将来に禍根を残すと思って、やりましたよ。だけど、修正って、ほかの重要広範議案でも、給特法だってサイバー防御法だってやっていますよ。それで大連立という話でもないですし、不信任を出さないという話になっていない。だから、何かちょっと切り方がおかしいと思っています。
今、個別に言い過ぎましたが、総合的判断です。
【朝日新聞】
最後に伺いたい。きょうは6月10日で、6月20日が最後の今国会の平日となると、残り10日になった。適時という言葉を繰り返されているが、残り時間がかなり狭くなってきたと思う。いつご判断されるか。
【野田代表】
適時です。
適時は、来週でしょうね、それはもちろん。22日ですから、会期末が。それまでの間ということです。
【朝日新聞】
出す場合は事前に各党にもご相談するようなこともおっしゃっていたが、出さない場合も、皆さん構えていると思うが、事前には何かご相談するのか。
【野田代表】
そういうことも含めて適時適切に判断したいと思います。やり方も含めて。
(以上)