参院本会議において6月11日、令和5年度決算等に対する討論を羽田次郎参院議員、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案)については古賀千景参院議員、日本学術会議法については石垣のりこ参院議員が行いました。各討論予定原稿は以下の通りです。
■羽田次郎議員

私は、会派を代表して、令和5年度決算並びに国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、国有財産無償貸付状況総計算書の是認及び内閣に対する警告案に賛成の立場から討論を行います。
その前に、一言申し上げます。
石破総理は、本院予算委員会で「わが国の財政状況は、ギリシャよりもよろしくない」との発言をされました。減税論議に釘を刺す意図があったのかもしれませんが、財政健全化が重要とお考えならば、最初にやるべきことがあります。それが、決算審査への真摯な対応です。国の予算の執行実績である決算を審査する意義は、審査結果を後年度の予算編成や政策遂行に反映させることにあります。
にもかかわらず、今国会の決算審査では、過去に決算委員会が繰り返し決議を行っている案件や、会計検査院が再三指摘をしている案件が幾つも取り上げられました。さらに、我が会派の青木愛議員が行政事業レビューシートに記載されている執行率に基づいて質問したにもかかわらず、環境省が既に使用されていない計算方法による執行率をあえて答弁し、後日副大臣が委員会冒頭で陳謝するという異例の事態も発生しました。
財政健全化のためにまずやるべきなのは、決算審査に真摯に向き合い、予算の無駄遣いや不適正な会計経理を即刻ただすことです。
以上のことを述べた上で、令和5年度決算等の是認に反対する理由を述べます。
※続きはこちらからお読みいただけます。R5年度決算本会議討論(羽田次郎参院議員).pdf
■古賀千景議員

私は、会派を代表し、ただいま議題となりました公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。
「人のためにと思ってついた職業。あこがれた仕事。自分が向いていなくても、必死で勉強しても、自分の性格が変わらなかった・・・子どもにめいわくをかけてしまう・・・大好きな子どもなのに・・・こんなことなら生きていても仕方がない。今までの謝罪や罪ほろぼしになればと思う。さようなら」
これは、初任者になって5カ月で自死を選んだ教職員の遺書です。この教職員の方は、自分が小学校のときの担任の先生との出会いがきっかけで、小学校の先生になりたくて、教職に進みました。しかし、時間外在校等時間は、5月中旬から6月中旬まで148時間、6月中旬から7月中旬まで129時間と、過労死ラインとされる月80時間を大きく超えていました。
「息子が子どもの頃から憧れていた職業が小学校の先生でした。教員試験に合格した時は、子どものように喜んで満面の笑顔で嬉しそうにしていたその顔を生涯忘れることはありません。」これが教職員の保護者の言葉です。
彼は本当に教職員に向いていなかったのか、なぜ148時間という時間外在校等時間まで働かなければならなかったのか。自死の理由はさまざまあるでしょう。しかし、この給特法も、彼の死に大きく影響していると思います。
半世紀前に制定された給特法では「残業代も出ず、超勤四項目以外には教員に時間外勤務を命じることができない」となっています。教職員が5時以降にやっている業務は、全て自主的自発的行為とみなされ、「業務」とは位置付けられていません。文科省は、「誰一人、取りこぼさない」と言われますが、教育現場がこのような状況で子どもたちを大切にできる授業ができるとお考えですか。 多くの教職員は疲弊しています。教職員の精神疾患による病気休職者は、2023年度には過去最多の7,119人となりました。そして病気休職者の代替教員は慢性的に不足しており、担任のいない学級が全国に急増しました。給特法があるために、困っているのは子どもたちなのです。
今回、政府から出てきた改正案は、「教職員の業務削減」「定数改善」「教育課程の見直し」等にはほとんど触れられていませんでした。給特法廃止または抜本的見直しをめざしている立憲民主党としてはとても賛成できる内容ではありませんでした。
しかし、「今、一番必要な事は、教職員の命と健康を守る事。そして学校に欠員なく十分な教職員がいること。何より学校で子どもたちが安心して学べる事。」そう考え、立憲民主党は「提出された閣法に修正を入れるべきだ」という方針を決めました。そして、立憲民主党を中心として修正に向けた議論が行われ、結果として、与野党の多くのご賛同を得て、衆議院で修正案が提出され、可決しました。
■石垣のりこ議員

本法案が衆議院で可決された3日後の5月16日、日本学術会議の会員任命のあり方の法解釈に関する行政文書について、東京地方裁判所は政府に文書を全面開示するよう命じる判決を出しました。
政府は本法案とこの法解釈を巡る問題は関係がないと主張していますが、日本学術会議が今後政府による干渉を受けずに独立した組織として運営される上で、政府がどのような考えのもとで会員の選別を行い任命拒否に至ったのかを明らかにせずに、特殊法人という独立した組織形態になるから政府が干渉することはないと言われてもにわかに信じることは出来ません。
公文書管理法において公文書を保存する目的は国及び独立行政法人等の有する諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることであります。
同法第4条において、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう文書の作成を義務付けてもいます。つまり、意思決定に至る過程を検証する為にも未成熟な記載も含めて公開することが公文書管理法の目的にかなうのではないでしょうか。 東京地裁の判決でも学術会議の会員の任免権に係わる法解釈の変更について、検討の過程を公にすることで得られる公益性は極めて大きいと指摘されています。
しかしながら、政府は情報公開法第5条第5号の規定を持ち出して「未成熟な記載があり、開示すると誤解や混乱を招く恐れがある」と裁判所に一蹴された主張を繰り返すばかりでした。 記載された内容が、情報公開法の不開示事由にあたり、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあると主張されるのは、公開されると政府にとって不都合な真実が明らかになることを恐れているからではないかと勘ぐりたくなります。
仮に政府の主張どおり、不当に国民の間に混乱を生じさせる可能性があるとしても、国権の最高機関であり、三権分立によって行政を監視する役割を担っている国会、とりわけ国民の代表である国会議員に対しては、黒塗り部分を開示する義務が政府にはあると考えます。わが会派から、黒塗り部分を開示した文書を内閣委員会所属議員に提示した上で委員会を非公開にして審議するよう求めましたが、政府・与党は一顧だにしませんでした。 政府・与党は「国民主権」「議会制民主主義」を理解していないと言わざるを得ません。 政府は当該訴訟について控訴し、係争中であることも開示を拒否する理由としていますが、そうであるならば、裁判結果が出るまで審議を中断し、裁判結果が出てから判決を踏まえて審議を再開すべきで、採決を行うなどもっての外であります。
黒塗り文書を開示しないまま採決を行なったことに対し強く抗議し、本題に入りたいと思います。
※続きはこちらからお読みいただけます、250611日本学術会議法案反対討論(石垣のりこ参院議員).pdf