小川淳也幹事長は8月26日、国会内で会見を開き、(1)参院選挙の総括(2)中国のSNS(3)自民党の一律2万円給付――等について発言しました。

 (1)小川幹事長は参院選挙の総括について、「常任幹事会の報告として、『改革政党であるとの位置づけを明確にする』、この1点の修正で、大筋原案で了承」と報告しました。内容については、「事実上の敗北というのを執行部として認める」「全体としては、若者や無党派層、新たに投票に足を運んだ層を取り込めなかった」「党が描く社会像の川上の部分、SNSの分かりやすさといった川下の議論と、両面の課題がある」「体制の見直し、党改革が必要である」といった点を指摘しました。体制の見直しに関連して、1つの具体案として「国民運動局、青年局等の横断的な組織の見直し、格上げ、重点配置などの党改革に臨んでいく」と述べました。

 (2)中国のSNSにおいて、昭和天皇を侮辱する投稿が増えていることに対し、「特に政務調査会において具体的に検討するが、蘇州、深圳の在留邦人の安全確保の要請が高まっている中、看過できない」と述べ、政府にしかるべき対応を求めました。

 (3)自民党の参院選の公約であった一律2万円給付について、立憲の対応を問われた小川幹事長は、「石破政権そのものの持続可能性が問題となっている中、このままでの評価は難しい」「同じ給付であっても、立憲民主党は食料品消費税減税、将来的には給付付き税額控除という全体ストーリーの中での給付であり、自民党のような1回限りでは認められない」「現状、ハードルは高い」と指摘しました。


大串博志代表代行・小川淳也幹事長記者会見

2025年8月26日(火)16時09分~16時59分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/R0kzqZPfqOk


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

【司会(中谷幹事長特別補佐)】
 それでは、定刻となりましたので、本日の記者会見を始めさせていただきたいと思います。まず冒頭、小川幹事長よりご報告申し上げます。よろしくお願いします。

○第134回常任幹事会を開催

【小川幹事長】
 お疲れさまです。
 まず、常任幹事会のご報告を申し上げます。
 本日の主たる議題は参議院選挙の総括でした。後ほど申し上げます。
 参議院の国会対策委員会からは、農水委員会の理事会が、27、28、衆参両院において行われるという報告がございました。
 政務調査会長からは、ガソリン税の暫定税率廃止について、各党間の調整状況等のご報告がございました。
 衆議院選挙の公認内定が1件、協議事項で承認されました。富山2区、越川予定候補でございます。

○第27回参議院議員通常選挙総括を常任幹事会で承認

【小川幹事長】
 参議院選挙の総括については、お手元に文案が間もなくかと思いますが、大串代表代行にもきょうは陪席をいただいております。詳細、また補足や質疑応答をお願いしたいと思います。私から要点のみ、かいつまんで申し上げます。
 文案は、原案をごく一部修正することをもって了承となりました。「改革政党である」という位置づけをよりはっきりさせるべきという指摘に対応するというのが本日の常任幹事会の修正事項。この一点のみでございます。したがって、大筋原案で了承いただいたということでございます。
 全体、既にお目通しの方も多いことと思いますが、前回両院懇談会に提起したものとの比較で申し上げますと、「事実上の敗北」ということを正面から執行部として認めるというところが最大の変更点でございます。
 以下、様々指摘をできるだけ盛り込むようにいたしました。全体としては、若者や無党派層、新規投票層の支持を得られなかったということが、この「事実上の敗北」の遠因であり、その原因としては、SNSやわかりやすさ、デリバリーの部分の川下の議論と、党の立ち位置や目指すべき社会像、これをリスクを取って打ち出すべきだという川上の部分と、両論があるという総括になっており、大事なことは今後の体制の見直しや党改革であるということを1ページでうたった上で、例えば具体的には、12ページに、幹事長の下に国民運動局や青年局を始めとした、これはSNSも含みますが、横断的な組織体制の見直し、格上げ、予算・人員の重点配置等をもって党改革に臨んでいくと。全体としてはそういうトーンになっております。詳細はまたご確認をいただきたいと思います。
 本件に関連して常任幹事会で行われた議論としては、今後衆議院の比例区の対応に現在の結果を当てはめるとどうなるのかといった角度。党に対する支持率も重要であるが、拒否度、これを時系列を持ってしっかり観察すべきであるという意見。今回の参議院選挙の結果、各選挙区ごとにどうだったのか、それは日常の支部長の活動等も含みますが、そうした角度から見ていく必要があるという意見。中間層の復活・強化こそが政治の安定につながるという議論。ビラ配りや支部の活動を含めた日常活動の重要性。今後の野党間の連携を始めとした国会対策におけるプレゼンス強化の必要性。衆議院の特に1期生・2期生、若い人たちが感じている不安等について指摘があり、討議が行われました。
 要点をご報告申し上げると以上のような状況です。

○中国SNS上の昭和天皇侮辱動画に対する対応について

【小川幹事長】
 それから、ちょっと一件、あえて言及させてください。
 特に政調において今後具体的な対応も検討したいと思いますが、党内外からこういう声が上がっており、既に政府が対応したと聞いておりますが、中国におけるSNS上で昭和天皇を侮辱する投稿があふれているという報道に触れております。
 特にこの間、昨年、深センにおける事件、蘇州における事件等、特に中国の在留邦人の安全確保の必要性は高まっております。そうした状況下でこうした投稿が氾濫することは、対日感情の悪化、日本人の安全の確保に対する有害な影響等、看過できないと考えておりますので、既に政府も対応に着手しているという認識ではおりますが、我が党としても中国側に適正な対応、そして、政府におかれてはしかるべき対応を求めるべく、この場をおかりして発言させていただきたいと思います。


■質疑

【司会(幹事長特別補佐)】
 それでは、ここからは質疑応答に入らせていただきたいと思いますので、質問のある方は挙手にてよろしくお願い申し上げます。

○第27回参議院議員通常選挙総括について(1)

【共同通信】
 参院選の総括文書について伺いたい。これは大串代表代行にお伺いしたほうがよろしいのかもしれないが、「事実上の敗北」というところを記述された経緯というか、背景を改めて伺いたいのと、体制、党改革について盛り込まれていることについて、どういった意味合いなのか。それは役員人事まで含まれるのか。あるいは、党の組織立てを変えるという意味なのか。その2点を確認させていただきたい。

【小川幹事長】
 体制改革については先ほど申し上げたとおりです。例えば具体的なこととしては12ページに記載しております。
 それから、あえて「抜本的な体制の見直しを行い、党改革を進めていく」というのが1ページの第5段落の末尾に記載されておりますが、これは直接的には党改革、党の体制の見直しということであって、人事に直接言及したものではございません。人事に関しては、かねてから申し上げているとおり、野田代表の専権事項であるということで、あえてフリーハンドを確保しているというつもりです。

【共同通信】
 関連して。代表の専権事項ということはよく承知の上で、小川幹事長並びに大串代表代行にそれぞれ伺いたい。党執行部の一員として、進退を含めた責任のあり方について、どのように現状お考えか、改めて伺いたい。

【小川幹事長】
 かねて繰り返したことで恐縮ですが、ちょっと私の立場から。大幅に議席減であれば、迷いなく辞意を表明しているところです。現在、この結果は極めて多面的で、ある種、まずは総括に厳しく臨まねばならないということで今日に至りました。先ほど申し上げたとおり、私の立場から言えば、人事は代表の専権事項だということですので、これ以上具体的なことを言及するつもりはありません。

【大串代表代行】
 この総括の中で「事実上の敗北」と認めざるを得ないという結論の総括をまとめるような事態になっているということに関しては、選挙を預かる者として責任を痛感しているところであります。まずは私としてはここまで総括をしっかりまとめることへの責任を果たさなければならないという思いでまいりましたし、この総括は、この総括をした上で、しっかりとした体制の見直し、党改革をしていくということを書いているので、これをしっかり行っていくということがまずの私の責任の果たし方かと思っています。

○物価高対策について(1)

【共同通信】
 もう一点、小川幹事長に伺いたい。与党が参院選で物価高対策として公約に掲げていた国民一律2万円の給付について、きょう自民党の森山幹事長が記者団に、できるだけ各会派の意見を伺う機会をつくっていくと述べられた。現状、これは立憲民主党としてどのように対応される方針か。もし見えているところがあればお聞きしたい。

【小川幹事長】
 代表も、週末でしょうか、なかなかこのまま肯定的な評価は難しいという発信をされていると理解をしております。
 私がかねてから指摘してきたのは2点で、石破政権そのものの持続可能性。そして、同じ給付でも、私どもは食料品の消費減税並びにその後の給付付き税額控除への移行という全体ストーリーの中で提起してきた政策ですので、なかなか1回限りのばらまきのようなものには直ちには同調できないという、二つの観点から申し上げてまいりました。したがって、現状ハードルは高いのではないかという認識でおります。

○第27回参議院議員通常選挙総括について(2)

【東京新聞】
 今回の総括では、例えば物価高対策としての消費税減税に関わるところでは、財源を重視するあまり他の野党に見劣りしたという意見も紹介されている一方、減税が支持層の離反を招いたのではないかという相反する意見も併記されている。つまるところ、減税が踏み込み不足だったのが不振の原因なのか、それとも打ち出したことが悪かったのかというのはとても大切なポイントなのではないかと思うが、ここを両論併記にとどめている狙い。また、このポイントの大切さについて、何か幹事長で思われることがあればお願いしたい。

【小川幹事長】
 私も選挙中、どうだろう、50か所近く、いろいろ弁士として回らせていただいて、特に今回の減税政策について不本意ですという有権者の声を、直接、複数受けました。したがって、全面評価いただいているには至っていないと認識しています。
 一方、これだけ物価高で、賃金の不上昇という状況下で、まずは食料品から手当てを施し、家計支援をし、暮らしを支えるということ自体が、様々な批判なりお叱りを受け止めつつですが、全面的に間違っていたという認識は持っていません。
 全体的に、そうしたことを訴えてきた、それは公約として取りまとめる以前からですね、候補者や、これは地方議員も含めて、党内にたくさんいたことも含めて、全体として必要な流れであり主張だったという認識ですが、一部にそうしたお声があったことは厳しく受け止めております。

【東京新聞】
 関連で。結果的に今おっしゃったような二面性のある問題だとした上で、結局、消費税減税を打ち出したほうがよかったのか、打ち出すべきではなかったのかという点については、今後そこは検証などを通じてはっきりとさせるのか。このまま玉虫色で決着させていくのか。どちらか。

【小川幹事長】
 ウエートづけとしては必要な政策の主張だったという評価です。ただ、一部にそうした厳しい声があったことも踏まえなければならない。したがって時限で、したがって財源を意識したものになっているということでして、今回の主張を全面的に否定的に振り返って例えば撤回するとか反省するとかいうのは至っていません。

【産経新聞】
 今回の総括案に当たって、最大の変更点として「事実上の敗北」ということを盛り込んだことがあると思うが、当初の先週示されたものでは勝つことができなかったというような表現にとどめていたと思う。先週金曜日の両院懇談会で事実上の敗北ではないかというような指摘が相次いだこともあるかと思うが、改めてこの表現ぶりを変えた理由と、そのような表現にせざるを得なかったことに対する受け止めを伺いたい。

【小川幹事長】
 元々これは執行部で共有していることですが、非常に厳しい結果で、事実上敗北に近い厳しい総括が必要であるという認識そのものは大きくは変わっていません。現に、特に参議院を代表しておられる水岡先生は、直後の参議院総会において、惨敗であるという厳しい表現・総括まで自らなされているわけでございまして、総体として執行部の評価が厳しかったということそのものが変わっているわけではありませんが、現有議席をほぼ維持、場合によっては、カウントのしようによっては、僅かとはいえ、議席数を少々でも増やしている状況の中で、自らその表現ぶりについては極めて注意を払って、最初のたたき台、素案づくりに至ったということです。
 ただ、経過の中で、やはり厳しい声が多かったということは率直な声として厳しく受け止めているところであり、認識そのものが大きく変わったということではないという私の理解であり認識なのですが、やはり表現ぶりはこの間の党内調整における厳しい声をなお一層踏まえる形で修正させていただいたほうがいいという判断に至りました。

○世論調査の結果について

【産経新聞】
 別件で、弊社が8月23日・24日に実施した世論調査の結果について伺いたい。今回の世論調査では立憲民主党の政党支持率が参政党・国民民主党に次ぐ野党第3位となった。2か月連続で3位となり、参院選での比例票に続き支持の広がりにおいて参政・国民民主両党に遅れを取っている現状が浮き彫りとなったが、この点に対する受け止めを伺いたい。

【小川幹事長】
 総括で申し上げたように、特に若者、無党派層、今回新規に投票所に足を運ばれたような方々の支持を積極的に取りつけるに至っていないことが、その後の世論調査にも如実に表れているという認識でおります。
 それから、もう一点。1位・2位・3位を議論することに意味がないとは決して思わないのですが、どこの党も、ドングリの背比べと言うと恐縮ですが、どっこいどっこい、横一線のような面もあります。
 したがって、多党化の傾向がここにも表れており、私ども、ここから先、相当厳重に自己認識を改めなければいけないと思っているのですが、いわゆる野党第1党効果が昨年秋の衆議院選挙では明確に表れたという認識です。与党第1党・自民党が、不祥事、政策の不実現、国の運営を担うに当たっての実行力不足のときは、必ず野党第1党に、それは消極的な支持も含めていただけるものであるという、ある種のこれまでのスタンダードがあったわけですが、ここから先、ここに見られるような多党化、そして、若者・無党派層・新規投票層、これらの動向を踏まえますと、自動的に直ちに野党第1党効果というのは不存在であるという前提で、党としてのアイデンティティ、党としての存在意義、党としての運動論、こうしたものを高めていく必要性に極めて迫られているという、危機感、責任感。こうした世論調査を見るにつけ、その大きな状況変化、構造変化をひしひしと感じているところです。

【産経新聞】
 関連して。弊社の世論調査では参政党が野党内の支持率でトップに躍り出た。先ほどドングリの背比べというご発言があったが、他社の世論調査でも参政党が1位となるような調査もある。参政党は政策的にも考え方でも立憲民主党と距離があるが、そういった参政党の支持が広がっている現状に対してどのようにお考えか伺いたい。

【小川幹事長】
 これも再三申し上げたことですが、まず、ガソリン減税など、共通できる部分は連携する。しっかり窓口を開いて対話したいと思っています。
 一方、特にこの参院選を踏まえると、外国人政策を始めとして、ともすれば排外主義的になりがちだったり、ともすれば差別主義的になったりと受け取られかねない主張や政策については、慎重を期し、一線を画したいと思っていますが、一方で、例えばオーバーツーリズムの課題や、外免の切替えや、いろいろと個別具体の政策課題については当然問題意識を共有し、我が党としても具体の課題解決に向かわねばならない側面もございますので、その点、後ほどつぶさにご覧をいただければ、8ページの総括の中でそうした視点を盛り込んでいるところです。
 したがって、排外主義・差別主義的な考えが仮にあるとすれば、そことは明確に一線を画します。そして、外国人政策であるかどうかを問わず、共有でき連携し得る課題については当然対話の窓口を開く。その二面性を持って、しっかり向き合っていきたいと思っています。

○第27回参議院議員通常選挙総括について(3)

【毎日新聞】
 総括の件に戻り、比例対策のところについて、原案段階から「比例候補擁立過程における支援団体との意思疎通のあり方」も加えられたかと思う。この点について、どのような観点、どのようなことを踏まえて足されているのか、詳細に教えていただきたい。

【大串代表代行】
 これに関しては、金曜日の両院議員懇談会後に書面で意見を提出した方がいらっしゃって、その意見の中で、比例候補の戦い方、戦略、どう臨むか等について、支援団体との意思疎通が十分ではなかった面があったのではないか、この辺も総括すべきだというご意見がありましたので、こういう表現とさせていただいたと。そういうことです。

【毎日新聞】
 もう一点、総括のことについて。国民民主党との略称問題のことについて、解決の部分に「根本的解消」とちょっと強まった表現になっているかと思うが、この点も教えていただきたい。

【大串代表代行】
 この件については、略称問題に関する意見もございました。一方、その略称問題にとどまらず党名を変えたほうがいいのではないかという声があったということも、この間、両院懇の後の記者ブリーフィングではお伝えしたところです。そのくらい、この略称なり党名なりに関しては非常に大きな問題だったので、「根本的」という言葉は入れたほうがいいかというふうに重きを置いたということです。

【毎日新聞】
 この点に関連して幹事長に伺いたいが、党名変更ということについて、幹事長個人でも構わないが、何かお考えがあればお願いしたい。

【小川幹事長】
 今回の総括の過程の中で、思った以上にその意見を述べられる方が多かったなという印象を受けております。それから、かつて(旧)国民民主党の一部、大部と合併・合流してこの新規立憲民主党というのはでき上がっているわけですが、当時の代表選挙を戦われた枝野候補と泉候補との主要な争点の一つがこのテーマだったということを改めて思い起こしているところです。
 私には私の、ちょっと私見といいますか、個人的な考えが、当時、私は枝野候補を応援しましたので、立憲民主党という党名の下に新党がスタートすることを主体的に選択した一員ですが、その後のいろいろな状況変化も踏まえながら、非常に有力な意見の一つだなというふうには今回改めて受け止めていますが、ちょっとこれ以上のことを申し上げる状況には立場上もないという認識です。

【NHK】
 ちょっと細かいところから、表現上の問題で確認させていただきたいが、きょうの総括案は了承されて決定したという理解でよろしいか。

【小川幹事長】
 先ほど申し上げたように、「改革政党」という一言が1ページの下段に入る予定ですが、それを除けば了承いただいたという理解で結構です。

【NHK】
 決定ではなく、了承と書いたほうがいいか。

【小川幹事長】
 そうですね。常任幹事会の議題でいえば協議・議決事項には当たらず報告・承認事項に該当しておりますので、承認されたという理解をお願いしたいと思います。

【NHK】
 その一言のところだけで、大きな異論は出なかったという理解でよろしいか。

【小川幹事長】
 途中出た意見については冒頭ご紹介したとおりですが、中身そのものを覆しかねないような大きな論争はなかったという認識です。

○ガソリン税「新税創設を検討」与党方針について

【NHK】
 ちょっと別件になるが、先ほども出た自民党と公明党の2幹2国の件で、ガソリンの暫定税率廃止について、新たな財源を探していこうということで認識が一致したと。ともすれば一つの負担を減らすために新たな負担を増やすという考え方に立っているやに聞こえるが、この点についてどのように認識されているか。

【小川幹事長】
 財政政策の観点一点のみをもって言えば、伝統的に、政府、財務省、そして、自民党を始めとした与党がそういうお考えであろうということは想像に難くありません。しかし、今般の選挙結果を踏まえて、まず、この民意を重視すると同時に、インフレ下で非常に国民生活の負担は重く、そして、形上、税収は伸びているという状況の中で、特に暫定的・短期的には1対1対応の財源にどこまでこだわるのかということは少し柔軟に議論をしていただくことを当方としては求めたいと思っていますし、野党間の結束を大事にしたいと思っています。

○第27回参議院議員通常選挙総括について(4)

【朝日新聞】
 幹事長に伺いたい。総括を踏まえた進退のところで、先ほども代表の専権事項というお話をされた。一方で、幹事長は前回の参院選のときに政調会長を務めており、このときは総括の直後に自ら辞意を表明され執行部の刷新を求めた経緯もあると思う。当時のことを見ると、もちろん今回の選挙と状況は違うが、ある種、結果を踏まえて自ら出処進退を決めるというか、地位に恋々としないところがある種の小川さんの持ち味というところがあったと思うが、今回そことも何かいささか違うような状況を感じる。そこの変化にはどういったことがあるのか。

【小川幹事長】
 ひとえに結果です。
 当時、あのときも党内外から相当お叱りをいただきました。執行部にいながら自ら執行部の刷新を求めるということは、ちょっと常軌を逸した、私なりに判断であり決断であったと、内外から相当お叱りをいただきました。ただ、あのときは、現有(改選)が23、獲得が17、かなりがたんと議席数を減らした、大変今回にも増して結果において明らかな敗北でしたので、自ら政調会長としても非常に重く責任を感じたところです。
 今回に関しては、この場でも何度か申し上げていますが、厳しい総括が必要であり、そこをまず責任を果たさなければならない。それを待たずして例えば辞意の表明とかいうことは、逆に、求められる組織の安定性を害すると私なりに判断をしたところです。
 今後、総括をもって、体制の見直しや党改革、この中に具体的な提言があるものもあれば、既に青年局からは別途出てきていますし、これからも党内あるいは党員やサポーターズの方々を含めて広く党改革に向けた綿々とした活動が続いていくはずです。その中で最もふさわしい体制が、人事に言及したものではこれはありませんが、体制づくりと、そこに具体的な人を当てはめるという作業は、これから極めて重要な作業になってきますから、どうあれ、代表のご判断、代表の権限、そして代表の責任において、様々なことがこれから検討されるでありましょうし、私の今回の現時点における判断は、私がこれ以上言うべきではないという判断を自らしているということです。

【朝日新聞】
 関連で伺いたい。先日の両院懇や水面下・水面上のやり取りの中で、党内の所属議員の中からは執行部の刷新を求める声が相次いでいた現状があると思う。今のお話も踏まえて、続投されるとなれば、党内でいろいろ不満を抱えている方やいろいろご意見を持っている方がいると思うが、そういった党内の溝や隙間風も想定されると思うが、そこにどう対応していくのか伺いたい。

【小川幹事長】
 ちょっとこれは一般論にさせてください。ある意味、石破さんも私から見るとしがみついているように見えます。それは決して望ましいことではない。その上で、一般論ですが、いろいろ責任が問われている、あるいは声がある状況下でなお、刷新には刷新の価値があり、刷新には刷新のリスクがあります。一方、続投には続投の価値があり、続投には続投のリスクがあります。そのときに、一般論ですよ、仮に続投ということがあるとすれば、それはなぜなのか。何のためなのか。どこに向かおうとしているのか。これまでの様々なご批判やお叱りをいただいたことを厳粛に受け止めて、なお続投する必要性と組織にとってのメリットはどこにあるのかということを明確に指し示す責任が生じるというのが組織の常だと。一般論として、私はそう思っています。

○総裁選等めぐる自民党内の議論について

【日本テレビ】
 他党のことで恐縮だが、きょう立憲民主党のほうで参院選の総括をまとめられたということだが、自民党は9月2日に総括を発表すると、きょう森山幹事長からご発言があった。総裁選を前倒しするかどうかについてもその後になってくるかと思うが、スケジュールとしては野党に比べてかなり遅いスケジュールで進んでいるかと思う。こういった自民党の状況について、どのようにお感じになっているか、一言伺いたい。

【小川幹事長】
 我が党の総括が一定区切りを迎えたことをもって遠慮なく申し上げたいと思いますが、泥仕合をいつまで続けているんだと、いい加減にしてくれという思いであり、今、個別の政策課題についてもご質問を複数いただきましたが、こうした協議が進まないのは、相手の土台がぐらつき、一体誰とどのような責任感・期間感覚を持って議論すればいいのかが不透明であると。これは国政を停滞させており、政治空白をつくっており、極めて由々しき事態だと。国にとってですね。そういう思いです。
 ちょっと勝手ながら想像で申し上げると、あれでしょう、自民党は実名で総裁選の前倒しをするかしないかを意思表明しなければいけないんでしょう。実名で戦えないような、戦いたい人たちはですね、そのようなことがあるとすれば、本当にちょっと私は政治家として国会議員として理解できないし、そういうことがこの自民党内における権力の持続可能性に疑義がついた状態を放置し慢性化させ、いつまでもずるずると泥仕合を続けているということ自体が統治能力がない。これは国の成り立ち、国の命運、国民生活に著しい累を及ぼしていると。いい加減にしてほしいと。ちょっと我が党の総括が一段落したので遠慮なく申し上げますが、そういう意見・印象を持っています。

【日本テレビ】
 関連して、もう一点。きょう国民民主党の玉木代表も同じような、自民党の総裁選が後ろ倒しになっていることで国政の停滞を招いているというような批判をした上で、速やかな国会の召集を求めていく考えを示した。こちらについては立憲民主党にも働きかけをしていきたいと発言があったが、これについてはいかがか。

【小川幹事長】
 現在ちょっと笠国会対策委員長が海外調査に行っていますが、速やかに連携を取りつつ、早期の国会召集を求めるべきだと、求めたいと思っていますが、一方で、その国会は召集(決定)するに足る人に召集(決定)してもらわないとという思いも持っていますので、どうあれ自民党内のこの混乱、カオスを早期に収束していただきたい。それもあわせて申し上げたいと思います。

○物価高対策について(2)

【時事通信】
 先ほども話が出た2万円給付について伺いたい。きょう森山幹事長が一部見直す考えも示されたが、全国民への給付を見直さない限り立憲民主党として補正予算案に賛成できるのかできないのか伺いたいのと、もう一つ、立憲民主党が掲げる「食卓おうえん給付金」の実現に向けた他党との連携、与野党を含め、どのように進めていくお考えか改めて伺いたい。

【小川幹事長】
 まず、補正どころか、国会の召集、姿形がおぼろげにも何も見えない状況の中で、そもそも賛否を議論できる状況にまるでありません。そのことはご理解いただきたいと思います。
 私どもの給付金は、先ほど申し上げたとおり、これに追いかけて、食料品の消費減税、そして、後に、最終的にはよりフェアな給付(付き税額控除)制度に移行するという全体ストーリーの一環ですので、その立場に立って政策論議をしたいと思っており、なかなか現状この消費減税に関しては野党各党、大筋共有しつつも主張がばらばらといいますか、幅がありますので、この意見集約は相当高いハードルだという認識ではおります。しかしながら、ガソリンの暫定税率(廃止)とあわせて、既に政調会長同士では、テーマ、話題としてはテーブルにのせていますので、これが少しでも進捗するように私としてもバックアップしたいと思っていますし、党としても鋭意精力的に進めていきたいと思っています。

○第27回参議院議員通常選挙総括について(5)

【「FACTA」】
 敗北を認めたということは、敗北を繰り返さないために、どう出直すかと。その出直しがどういうものかということだが、この文書を読んでいると、次の衆議院選挙については、いろいろ他党も出てきたり投票率が上がったりしてと、ここが一番問われている表現がある。これからデータ分析をするというが、おそらく次の衆議院選挙をやったら野党第1党効果がなくなるから今150あるのが全滅とは言わないが半分ぐらいになってしまうのではないかと、それぐらいの危機感を持ってこの文書を書いているのか、その議論がどれだけあって書いているのか、そこがわからない。たぶん連合も含めて、解党的な出直しというのは、次の衆議院選挙で大惨敗するのではないかと。その部分について、何か他人事のようにこれからデータが何とかと書いてあるが、ここの中に出直しみたいな表現もない。要は敗北を認めましたと言っても、次に敗北しないためにどういう出直しをするかというところについての記述があまり見えない。来る衆議院の対応の3行ぐらいのところについて、どれぐらいの議論があったのか。どれぐらいの危機感を立憲は持っているのか伺いたい。

【小川幹事長】
 ご批判はご批判として受け止めたいと思いますが、相当な危機感です。強い危機感です。それが具体的にもちろん問われてくると思いますし、これから伝わるかどうかは、むしろこの総括を踏まえた今後の党改革の取組をもって、それが十分に伝わるように努力する責任があるという考えでおります。

【「FACTA」】
 私が聞きたいのは、いろいろ難しいご説明ではなく、幹事長が続投でよろしいと思うが、やはり解党的出直しとか、わかりやすい言葉で言うとどういう出直しをしようと思っているのか。例えば国民が1都3県で今回5議席取り、立憲は東京で6議席の中では事実上一つも取れなかったという現象を見ると、都心部では完全にもうどこに地合いがあるのかぐらいの状況だと私は見ているが、そういうことを踏まえたら、続投はいいが、どういう覚悟で出直しされていくのか。その部分について、どういう危機感を持っていて、だからどうするんだというのがないと、敗北を認めても何の出直しなのかと。次は絶対に勝つんだというところの決意を伺いたい。

【小川幹事長】
 よりわかりやすい、あるいは刺激の強い表現をすべきというご指摘は、しっかり受け止めます。
 抜本的な見直し、抜本的な改革というのと、解党的な出直し、解党的な改革というのは、それほど、表現として受ける刺激の強さに多寡があるかもしれませんが、本質的にはそう変わらないというぐらいの決意なり覚悟でこれはしたためさせていただいたものです。
 具体的にどうするかは、先ほど申し上げたとおり、立ち位置や目指すべき社会像や根本政策、川上の課題と、SNSや日常活動、党の組織、運動論、川下の課題と、両面ありますから、その両面から的確なアプローチ、努力の跡が見えなければ、感じられなければ、次期衆議院選挙における危機感は、私ども、先ほどきょうの常任幹事会で出た議論もご紹介しましたが、極めて厳しいものであるということを前提に今回の総括をさせていただいた。あとは言動・行動あるのみだという思いでおります。

【フリーランス】
 連合が10月に総括を出すということで、先日一部について報道があった。その中で、御党については党存続の危機というふうに厳しい言葉が使われていたと思う。連合関係の比例票を見ると、情報労連はやや増加しているが、ほかのところが大体2万から3万ぐらい各候補の票が落ちている。国民民主はもっとひどくて、UAゼンセンは5000票ぐらいだが、電力総連が4万5000ぐらい、自動車は5万以上、電機連合は6万以上、7万近い票を落としている。連合もやはり集票力というか選挙力が落ちていると思うが、今後、連合との選挙関係というか選挙協力を求めるに際して、連合にどれだけ頼るかということについて見直されるような予定はあるか。ちなみに、国民民主党は連合だけに頼らずに一般票も求めていくというふうに、やや党の方向を変えていると聞いているが、立憲はいかがか。

【小川幹事長】
 主要な支持団体として今後も綿密な連携と協力を図っていくという基本方針にはいささかの変更もありません。ただ、総括で申し上げたように、我が党が主として支持を失った、あるいは得られなかったのは、若者であり、無党派層であり、新規に投票所に向かった層であるという総括なわけですから、これから、支持団体との連携・協力関係は維持しつつも、新規開拓を独自にできなければ、連合さんのおっしゃる、これは報道されているのは連合さんの原案であって、しかし大差はありませんよね。抜本的な改革、解党的出直し、党存亡の危機、いろいろ表現の濃度とか強度があるにせよ基本認識に大差はないわけです。それを克服していくためには、間違ってもその組織に依存しているとか組織だけを頼りにしているという構造なり取組では、とてもではありませんがこれは克服していける課題ではありませんので、そういうことを視野にしっかりと問題意識を持って取り組みたいと思っています。
 もう一つだけ、ちょっとつけ加えさせてください。連合運動も、かなり努力をされているのですが、まだまだどうしても、中小・零細事業所、そして、拡大の一途をたどってきた非正規雇用の方々の労働基本権の確立に向けては、まだまだ連合さんも努力をしているとはいえ不十分な状況にあり、これは私どもの選挙戦術とか選挙対策とかいうことをはるかに超えて、日本中で働かれている6000万労働者の処遇を尊厳あるものにし、生活を成り立たせしめ、将来に見通しを持たせる上において、この中小・零細事業所、非正規雇用の方々の労働基本権をいかに確保し担保していくかということは、極めて重要な国家的課題だという認識をしております。ちょっと選挙対策でこれを論じると余りにも私は不本意なのですが、連合さんとも連携をしながら、そうした真に弱い立場に置かれがちな日本の労働者の地位を底上げし、処遇を改善し、生活を成り立たせしめ、将来に見通しをもたらすということを、お互いに努力をしていく必要がある、全力を傾ける必要があるという認識も、あわせてこの場でつけ加えて申し上げたいと思います。

【文化放送】
 総括について伺いたい。戦い方などを細かく分析して反省点を挙げられ、今後どうするかについても言及されているが、この戦い方を主導されたのは代表であり執行部だと思う。その代表や執行部の責任論について言及されている部分がちょっと見当たらないような気がするが、例えばここの部分がそういう責任を指摘しているというような部分があるのであれば教えていただきたい。

【小川幹事長】
 「事実上の敗北」だと宣言をし、そして、抜本的な体制の見直しなり党改革が必要であるということに言及しているということは、痛切に責任を感じているということですから、そこは十分酌み取っていただけるように、再三になりますが今後の言動・行動をもって身を挺して示していくほかないという認識でおります。

【文化放送】
 代表や執行部の責任ということを明確に書かれたほうが、もっと次につながる、改革につながっていく気もするが、その辺りはいかがか。なぜ、こういう代表や執行部の責任ということに言及されなかったのか。書く必要がないとお考えだったのか。その辺りもお聞きしたい。

【大串代表代行】
 まさに小川さんが今言われたように、「重大な危機感を持ち、抜本的な体制の見直しを行い、党改革を進めていく」ということを今回つけ足しました。このつけ足す前に元から入っていた文章として、「執行部は選挙結果と要因分析に真摯に向き合うとともに、今後の政治情勢に対する方向性と舵取りにおいて、より重く大きな責任と判断が求められる」ということを書いていました。加えて今回、「重大な危機感を持ち、抜本的な体制の見直しを行い、党改革を進めていく」。これが責任の果たし方です。

【フリーランス】
 ということは、誰も責任を取って現在の役職を辞めないということでよろしいか。

【小川幹事長】
 例えば本日現在で直ちに、この総括と同時に極めてダイレクトに引責という形で体制が変わる、人事が動く、辞表を提出する人がいるということはないと思いますが、これからまず自民党内がどうなっていくかもよく見定めさせていただきたいと思います。そして、他の野党との連携もございます。そして、どこかのタイミングで、政権の持続可能性が担保された上で国会召集ということになっていくでしょう。その一連の流れの中で、様々な体制強化や、あるいは抜本的な党改革を進めていく中で、様々、人の当てはめが変わるということは大いにあり得ることでございまして、それこれを少し一連の必要な期間の中でご判断なり評価をいただけるように、党全体としての取組が問われていると。
 きょう本日現在、この総括と同時に直ちに引責、直ちに辞任、直ちに人が替わるということはございません。それ以降のことは、まさにここで書いたことが実になり具体化していくという全体の中で様々表現方法が取られるというふうにご理解をいただけるように、私どもとしては努力したいと思っています。

【フリーランス】
 ということは、要するに敵というか、自民党の出方によって、もしかしたら幹事長が替わる、選対委員長が替わるということもあり得るということか。

【小川幹事長】
 一例として申し上げましたが、とにかく尽きるのは、体制、党改革の枠組みの話はここでもさせていただきましたが、そこに具体的に誰をどのように当てはめるかという人事権に関しては代表の専権事項であり、できる限り代表のフリーハンドを確保し、それは既存の役員も含むことになりますが、新たに構築される体制の中で、この反省の上に立って力強く歩みを進める、再出発をしていくということをもって、その熱意なり本気度が伝わるように最善を尽くしたいと思っています。

【フリーランス】
 わかりました。次の衆院選挙はいつあるかわからないが、これに勝たなければどうのこうのということは質問しないが、頑張ってください。

【小川幹事長】
 ごめんなさい、次の総選挙に向けた代表の決意は、代表ご自身が自らおっしゃっていることですから、あれ以上重い決意表明はないと私は理解をしております。

【司会(幹事長特別補佐)】
 ありがとうございます。それでは、そろそろ1時間程度経過しておりますので、この辺りで閉じていきたいと思いますが、皆様よろしいでしょうか。どうぞ、最後の質問ということで。

【「FACTA」】
 やはり伺いたいのは、いろいろな意見があったが、雨空が晴れて、光が見えて、全党一丸でやっていけると、その自信が本当にあるのかどうか。何か出てきている人の表情を見ても、あまり晴れやかな形で出てきていないような気がしたが、これから一致団結でやるために、党執行部としては、この紙だけでもう一回晴れ間が見えてくるようには見えないので、どういう形で一致団結で戦っていこうとお考えになるか。書かれていない部分で、そういう努力をどうやっていくのか。そこを伺いたい。

【小川幹事長】
 一般論、抽象論としてここに書いたとおりですから、それを具体化していく中でそう感じていただけるようにできるという確信と自信を持って取り組みたいと思います。

【司会(幹事長特別補佐)】
 それでは、皆様ご参集いただきまして誠にありがとうございました。そろそろ記者会見が1時間程度経過いたしましたので、この辺りで終了させていただきたいと思います。皆様、本日もありがとうございました。

【小川幹事長】
 ご協力ありがとうございました。

(以上)