立憲民主党の子ども・若者応援本部(本部長:大西健介衆院議員)は9月12日、東京都港区の伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠商事)と千代田区のNPO法人 自殺対策支援センター ライフリンク(以下、ライフリンク)をそれぞれ訪問し、取り組みについての視察と意見交換を行いました。視察には、子ども・若者応援本部の役員から岡本あき子、早稲田ゆき両衆院議員、高木真理参院議員も参加しました(写真上は、伊藤忠商事「朝型勤務」の社員のための軽食会場)。
■伊藤忠商事の「朝型勤務」を視察、仕事と育児の両立支援への取組をヒアリング

伊藤忠商事は2013年度から「朝型勤務制度」を導入し、働き方改革を進めた結果、女性社員の合計特殊出生率(1人の女性が一生のうちに産む子どもの平均数)が年々上昇し、2021年度は全国平均(1.30)を大きく上回る「1.97」であったと公表しています。同社は女性の活躍推進に力を入れ、社内託児所の設置や職域学童の展開、男性の育児休業を必須化するなど、働きながら子育てできる環境づくりにも取り組んでいます。今回の視察は、企業の先進的な取り組みとその成果をヒアリングし、仕事と育児の両立支援に向けた施策の豊富化につなげていくためのものです。
視察団一行ははじめに「朝型勤務」の社員のために無料で軽食を配布している会場の様子を見学。その後、会議室に場所を移し、小林文彦代表取締役・副社長執行役員(CAO)および人事・総務部の社員の皆さんから、女性活躍のための支援策や働き方改革として取り組んできた内容の詳細を説明いただきました。また、育児経験者や育児中の女性社員からも、支援制度の利活用状況について伺い、意見交換を行いました。意見交換の最後に大西本部長は「政府に求めるものは」との問いかけに対し、小林CAOが「民間企業は競い合ってそれぞれ取り組みの成果を上げている。国はその成功例を宣伝し、表彰し、広めることが大事ではないか」と答えたことを振り返り、「助成金を付けることが大事なのではなく、民間企業の取り組みの成果を認めて、きちんと広報することに大きな意味があるというのは目からうろこだった。今日の話を参考にしてわれわれも何ができるかを考えていきたい」と述べました。その後は、社内託児所(I-Kids)、子どもの視点を体験できる「こどもの視点カフェ」も見学しました。


近年、小中高生の自殺は増加傾向にあり、2024年の自殺者数は529人で過去最多となりました。10代における死亡原因の第1位が「自殺」なのは、G7で日本だけです。こうした深刻な状況に対応するため、今年6月に「自殺対策基本法の一部を改正する法律」が成立しました。ライフリンクは、自殺を個人ではなく社会の問題と捉え「誰も自殺に追い込まれることのない生き心地のよい社会」の実現に向けて、自殺防止の相談事業や自殺の実態調査などの活動を続け、今回の法改正でも尽力されました。視察団一行は、子どもの自殺の現状や法改正を踏まえた自殺対策強化への課題について、ライフリンクの清水康之代表、根岸親副代表からお話を伺いました。

ライフリンクが2024年3月から公開しているオンライン空間『かくれてしまえばいいのです』には毎日約3万回のアクセスがあり、2025年8月現在までのアクセス数は2000万回を超えています。清水代表から、この利用者を対象に実施した「子ども1000人アンケート」の分析結果について報告を受けました。結果から浮き彫りになったのは、しんどい気持ちを身近な人に相談できず、SOSを胸に秘めている子どもたちの姿でした。続いて、2018年から行っている自殺防止相談事業についての説明があり、事務所内に設けられたブースで実際にSNSや電話、メールで相談を受けている模様を見学しました。今後の課題について、視察団一行は、国が地方自治体等に対してすべきことは(1)施策や取り組みをパッケージ化し全国展開する(2)施策や取り組みを検証する(3)子どもの自殺対策予算を確保する(4)知事や市区町村長に働きかける(5)地域の多様な支援者の合同研修会を行うこと――とのライフリンクの提起を受け止め、意見交換を終えました。

