立憲民主党は9月1日、第11回目となる旧統一教会被害対策本部会議を国会内で開催。(1)旧統一教会の問題点等について、宗教2世の方からヒアリング(2)宗教2世の方の訴えについて、関係省庁からヒアリング――を行いました。

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 同対策本部長の西村智奈美代表代行は冒頭のあいさつで、宗教2世の方に対し、苦しい状況の中でお話を聞かせていただけることに心から感謝していると表明。「国会が超党派で臨んでいかなければいけない問題だが、政府・与党に被害者の声は届いているのだろうかと悔しくてならない。ようやく岸田総理も昨日、『旧統一教会』という名前こそは口にしなかったが『当該団体と関りがあったことについてはお詫びをする』と言われた。問題のある団体だったと総理も認識しているということだと思っている。自民党でもようやく、関りのあった議員の調査が始まるということであり、このこと自体は可としたいが、遅すぎる。これまで政治と宗教との関りがどうだったのか、自ら明らかにしてこそ今後の対策を作っていけるのではないか。政府・与党には一日も早くスタートラインに一緒に立っていただきたい」と述べました。

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 同日の会議には泉健太代表も出席し、「本来であればこうした機会は与党が主導して作るべきではないか。多くの被害者がおられるのに、与党自民党はまったく動こうとしていない状況だ。ぜひ今日は各省庁の皆さんにも、話を聞いていただき施策に役立てていただきたい。われわれ立憲民主党は、かねてから『当事者のことは当事者抜きで決めるな』という言葉をもとにさまざまな施策を展開してきた。そういった意味でも、まさに当事者の声を聞く機会であり、心してお話を伺いたい」とあいさつしました。

 政治との関係については、自民党で進めている調査では国会議員に対象を限定していることから、不十分だと指摘。「われわれは、被害者救済に焦点を置いてさまざまな施策づくりに取り組んでいきたい」と力を込めました。

 会議ではまず、20代で東日本在住の祝福2世(両親が信者で生まれた時から統一教会組織の中で育ってきた)Aさんと、今回会議への出席は2回目となる、祝福2世で現在は脱会し、一般の方と結婚した小川さゆりさん(仮名)から被害の実態について話を聞きました。

 Aさんは、「特定の政党に議論を進めてもらいたいのではなく、与野党で、日本全体の問題として何ができるかを一緒に考えてもらえると嬉しい」と前置きした上で、「自由恋愛は最大の禁忌」「信者内の結婚のみ可、本人の自由意志だけで相手を決められない」「断食の強要」といった統一教会の恋愛・結婚事情、「『親を使って子どもの自由を奪う構造』を作りあげている」など「組織的な虐待の構造」について、自身の経験を踏まえて説明。お願いしたいこととして、「子どもの基本的人権の保障」「2世被害者の孤立への対策」「自立のための支援体制の整備」を挙げました。

 小川さんは、自分が経験してきた宗教による被害(生活の困窮、信仰の強制)、献金(「親が親戚中にお金を要求」「給与を取り上げられた」)について話をし、議員や省庁の方々にお願いしたいこととして、「被害者を出さないために、統一教会の高額献金を規制する法律を超党派で考えてほしい」「被害者を助けるために、霊感商法や高額献金の被害者を救済する法律をつくってほしい。宗教に2世への信仰の強制を規制してほしい」「同じことを繰り返さないために、政治と宗教の関係について、もう一度検討してほしい」と求めました。

 会議の後半では、宗教2世の当事者であるAさんと小川さんから、関係省庁に対し要請や質問などを行いました。

 終了後記者団に対し、同対策本部事務局長の石橋通宏参院議員は、宗教2世の二人は特に、信仰を強制されたことによって子ども時代からの自由が奪われたこと、権利の侵害、さまざまな強制があったことを強調されたとの認識を明示。「象徴的だったのは、生まれた時から信仰を強要されてきて、子ども心にそれが当たり前になっていて、おかしいと思えない、気づけないということ。大人になった今振り返れば、『あの時はおかしかった』『あんな子ども時代を過ごしたくなかった』『親元から離れ離れにしてもらった方が良かった』と思えるけれど、当時は思わないという難しさも、ご指摘があった。今後これ以上の被害の防止、救済につなげるためには、相談をできる体制、声を上げられる環境づくりが重要であり、大事なご指摘だった」と述べました。

 また、宗教2世の方から関係省庁に対しては、教団の組織を巨大化させた流れを断つために、多額の献金を規制する措置や、被害者救済するための立法措置、信教の自由を侵害する「信仰の強制」を禁止する措置、また反カルト法などが問題提起としてあったと紹介。しかしながら、それに対する関係省庁からの回答は、被害者を救済するために何とかしようという思いがまったく感じられないものだったと述べました。