参院消費者問題に関する特別委員会で12月9日、旧統一教会問題をめぐる被害者救済法案(「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」と「消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案」)の審議を行い、「立憲民主・社民」の2番手として石垣のりこ議員が質問に立ちました。

 新法案の寄付の勧誘行為に係る規制対象について、河野大臣が12月6日の衆院本会議で「寄付の勧誘をしているものが個人であっても法人等の行為と評価される場合には新法の規制対象になる」と答弁していることを取り上げ、宗教法人の中で特段役職についていない一信者が使用人と同程度と認めるのか石垣議員は質問しました。消費者庁は、「寄付の勧誘をしているものが個人であっても信者であっても、法人等の行為と評価される場合には対象となるということ。そこは具体の事例でそう判断できない場合もあるかもしれませんが、そう判断できる場合は対象となる」と答えました。

 石垣議員は、旧統一教会の被害実態において自由な意思の抑圧や正体を隠した勧誘が多くを占めていることを指摘。「正体隠しというのは司法の場でも違法性が指摘されているから、この部分はしっかり新法の規制の対象として禁止行為とすべきだ」と検討を求めました。

 寄付の勧誘を行う法人などが配慮義務を怠った場合、勧告や法人名の公表を行うなどとした修正案について石垣議員は、「法人が規定を順守していないと把握して著しい支障が明らかに認められると判断する基準はあるのでしょうか。何を指標とするのか、かつどのようなプロセスで判断されるのでしょうか」と質問。提出者の山井和則衆院議員は、「例えば、寄付の勧誘を受ける個人の権利が侵害されたことを認定した判決があるなど、著しい支障が生じていることが客観的に明らかになっている場合等を念頭に置いている」と答弁。続けて、「政府においては行政措置の要件について判断基準の策定を行うことにより、適時適切な判断を行えるように体制整備してほしい」と述べました。

 石垣議員は、債権者代位権の行使について、今回の法改正の特例規定がなくても適切な行政の支援があれば現在の扶養請求権に基づいて親が多額の寄付をすることで生活が困難になってしまった子らを救済できるのではないか質問しました。消費者庁は扶養請求権が、「支払い期限が来ているものは対象になりますけれども、将来の部分については対象ではないという制度である」と述べ、「毎月期限が到来するので、それを毎月請求していくのは現実的ではない。将来に生じる分も含めて対象として、それについては法制化するというやり方が今回の(法案だ)」と答えました。河野大臣は、「今回の特例によって、将来のある程度のところまできちんと供託をさせるということで、その分を確保することができるようになったわけでございますので、やはりこの意義は非常に大きいものがある」と話しました。

 石垣議員は最後に、「今回の新法ができたのは非常に画期的なことであるという風には考えます。だからこそ、今回の法律が施行されたときに真に被害者の救済となるような実のあるようなものでなければならないと改めて申し上げたい。この法案は、まだまだ苗木の状態であると思う」などと述べ、特に宗教2世の問題は今回の法案では救い難い大きな課題だと指摘し、解決に向けて努力することが政治の責任であると述べました。

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