立国社 新型コロナウイルス合同対策本部会議が22日、国会内で開催され、政府の新型コロナウイルス感染症への対応を検証した新型コロナ対応・民間臨時調査会(委員長:小林喜光 三菱ケミカルホールディングス取締役会長)から検証結果をヒアリングしました。

 新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調)を発足させた一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)の船橋洋一理事長は会議冒頭であいさつし、「1月中旬から6月17日に通常国会が閉幕される間、また骨太の方針が出た7月中旬あたりの政府の新型コロナウイルスへの対応がどうだったのか、どういう議論があったのか、どのような意思決定がなされたのか、83人の方々にインタビューヒアリングを行い、まず事実を認定したところで、うまくいったところ、うまくいかなかったところをどう認識したか検証した」とコロナ民間臨調の趣旨を説明しました。

 また、「冬にかけて感染拡大が見込まれるため、臨時国会前に公表した。国民の前で新型コロナウイルスという大きな課題を議論していただきたい」と参加議員に呼びかけました。

 ヒアリングでは、長島・大野・常松法律事務所の渡辺翼弁護士より、報告書のポイントについて次のように説明を受けました。(1)今回のパンデミックの威力は政府の想定外であり、「最悪のシナリオ」を含め、あらゆるパターンの想定を怠っていた(2)危機下の感染拡大防止と経済・生活の維持の「両立」の最適解を求めて、官邸と専門家会議は時には衝突し、双方の交渉が余儀なくされた(3)厚労省の従来のアナログな仕組みは全国的な感染拡大状況のリアルタイムでの把握を困難にし、情報共有の効率化・迅速化を図ったが、本格的な導入・展開は5月以降までずれこんだ(4)コロナ対応は泥縄だったけど、結果オーライだった。

 続いて、東京大学公共政策大学院の鈴木一人教授より報告書の提言について、以下のとおり説明を受けました。
(1)パンデミックに対する備えとその体制を強化する。なかでも罰則と保障措置を伴う感染症危機対応法制の見直し。行動変容のための罰則を伴う強制力、経済的犠牲を強いられる企業や個人への一定の経済的保障措置を講ずる。
(2)感染症危機時における政府および地方自治体の十分な有事対応体制を確保するため、感染症危機管理に関する予備役制度を創設する。
(3)政府としても緊急事態下における専門家助言組織のありかたについて総括・検証を行う。
(4)パンデミック対策などの国家的なテールリスク事案への備えは、各省予算とは別枠で予算確保する。
(5)省庁横断的な司令塔機能の下、行政のデジタル基盤を抜本的に強化する。
(6)「事業の継続」から「事業の強化へ」。構造改革を事業支援の条件とする。

 参加議員との意見交換が終了した後、逢坂誠二・党新型コロナウイルス対策本部長は民間臨調メンバーに謝辞を述べ、「報告書や書籍を拝見し、引き続きアドバイスをいただきたい。年末にさまざまな給付金の期限を迎える。コロナ対策は現在進行形であるため、党としても積極的に取り組んでいきたい」とあいさつしました。

コロナ民間臨調 報告書のポイント.pdf
コロナ民間臨調 報告書の提言について.pdf

※「新型コロナ対応・民間臨時調査会」(小林喜光委員長=コロナ民間臨調)は、日本の新型コロナウイルス感染症に対する対応を検証するために、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)が2020年7月に発足させたプロジェクトです。コロナ民間臨調は、高い専門知識と見識を有する各界の指導的立場にある識者4名で構成する委員会のもと、個別の分野の専門家19名によって構成されるワーキング・グループを設置。委員会の指導の下、ワーキング・グループメンバーが安倍晋三総理大臣(当時)、菅義偉官房長官(当時)、加藤勝信厚生労働大臣(当時)、西村康稔新型コロナウイルス感染症対策担当大臣、萩生田光一文部科学大臣はじめ政府の責任者など83名を対象に延べ101回のヒアリングとインタビューを実施、原稿を執筆、報告書を作成しました。

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