立憲民主党ジェンダー平等推進本部(本部長:大河原雅子衆院議員)は12日、「生殖補助医療の検討にあたってー子どもと女性の尊厳を守るためにー」をとりまとめ、同日夕の政調審議会で報告しました。

 とりまとめは、「生殖補助医療は人の命に直接関わる厳粛なもの」との考えのもと、これに関わる全ての人の命、健康、尊厳が守るために、生殖補助医療の検討にあたっての基本姿勢として、(1)リプロダクティブ・ヘルス・ライツの保障・確保(2)生殖補助医療によって生まれた子どもの出自を知る権利の保障(3)生殖補助医療の商業利用や優生思想的悪用の禁止(4)卵子提供における健康と尊厳の確保(5)代理懐胎など今後の生殖補助医療に関する国民的議論(6)育てる意思を有する人こそ親――について考えを示したものです。

1.リプロダクティブ・ヘルス・ライツの保障・確保
 全ての女性は、身体的・精神的・社会的な健康を維持し、子どもを産むかどうか、いつ産むか、どれくらいの間隔で産むかなどについて選択し、自ら決定する権利、リプロダクティブ・ヘルス・ライツを持っています。子を産まない自由があることの重要性を強調します。本人の意思によらず、生殖補助医療をつかって、子どもを産むべきだという有形無形のプレッシャーは決して許されるものではありません。真に自分の意思に基づいて決断できる社会であるべきです。

2.生殖補助医療によって生まれた子どもの出自を知る権利の保障
 生殖補助医療により命を得て、人生を生きていくのは、その子ども自身です。なにより生まれる子の福祉が最優先されるべきです。子どもの権利条約に照らして、生殖補助医療によって生まれた子どもの出自を知る権利は、卵子、精子提供者の匿名性の要望よりも本質的に優先するとの考えを尊重します。

3.生殖補助医療の商業利用や優生思想的悪用の禁止
 コロナ禍において、経済的理由のために卵子等(精子、受精胚)売買が行われることを強く危惧します。「渡航生殖」、「生殖アウトソーシング」などと呼ばれる商業的代理出産は、他国の貧困女性を利用する人権侵害とも指摘されています。こうした生殖補助医療の商業利用は禁止すべきであり、優生思想の発想から生殖補助医療を利用することは明確に禁止すべきです。

4.卵子提供における健康と尊厳の確保
 卵子提供においては、排卵誘発剤による卵巣過剰刺激症候群など生命にかかわる副作用等の健康被害が懸念されます。副作用に関するインフォームドコンセントの具体的な在り方、健康被害への対策等とセットで検討されるべきです。

5.代理懐胎など今後の生殖補助医療に関する国民的議論
 生殖補助医療は高度で専門的です。生まれた子どもや、関係者の命と健康が守られるためのあるべき生殖補助医療について、医学界の検討、合意が必要です。一方で、生命倫理に関わることから、国民的な議論と理解が必要です。タブー視せずに、情報を開示し、国民的な議論を喚起していくべきです。

6.育てる意思を有する人こそ親
 血縁のある子をもうけることを法律が推奨するような誤解を招くことがないようにすべきです。特別養子縁組の拡充など、育てる意思のある者こそが親になることができる多様な制度、社会的な基盤をつくりあげ、誰もが安心して産み育てることのできる社会を実現していくべきです。

党ジェンダー平等推進本部「生殖補助医療の検討にあたって」.pdf