立憲民主党は13日、立憲民主党・社民派、国民民主党会派、日本共産党と共同で「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の一部を改正する法律案(同一価値労働同一賃金関係)を衆院に提出しました(写真上は、衆院事務総長に法案を提出する西村智奈美=左から3人目、阿部知子=左から2人目、山井和則=右端、尾辻かな子=右から2人目 各衆院議員)。
今年10月に、正社員と非正規の待遇格差に関する訴訟で、年末休暇や児童扶養手当については不合理と認められたものの、賞与・退職金については不合理とは認められないとの最高判決が出ました。それを受け、2018年に立憲民主党等が政府の働き方改革関連法案に対して提出した対案の同一価値労働同一賃金関連部分を参照・踏襲するとともに、賞与・退職金等に係る正規・非正規労働者の待遇格差を是正することを盛り込んだ法案をとりまとめました。
法案提出後、法案提出者が取材に応じ、西村智奈美議員は「最高裁の判決で手当等は不合理と認められたが、肝心の賞与と退職金は全くゼロという判決で原告の皆さんは本当に無念だったと思う。私たちはこれが固定化することを恐れている。非正規雇用の方たちが退職金や一時金を受け取ることができるようにするために、具体的な法制度を変えることが必要だと考えた」と法案提出の趣旨を語りました。
法案のポイントについて「待遇に係る『不合理な相違の禁止』を『合理的と認められない相違の禁止』と改めることによって立証責任が労働者側から使用者側へと転換する。退職金等については勤続期間をより強く考慮するということになっている。また、退職金は正規・非正規の間の長期雇用という日本型の雇用慣行ではなく、職務の実態に応じて判断すべきだとした。事業主側からの説明義務を強化することも盛り込んでいる。実態に応じた待遇を確保するためには『職務評価』が必要なため、その方法について調査研究し、導入することを検討事項に入れた。また、待遇格差の解消というと正規の待遇を下げることが懸念されるが、正規労働者以外の待遇の改善によって行うべきということも書き込んでいる。有期労働の入口規制についても検討事項に入れた」と説明しました。
阿部知子議員は「コロナ禍で多くの非正規雇用の方が仕事を失っている。そういう時期に、雇用が不安定な人が、退職金がない、ボーナスもないという状況を許したら正義はないということになる。この時期だからこそ、最高裁判決を固定させず、立法府が動いて、だめなものはだめとすべき。同じ仕事をしたら同じように支払われるということを獲得していきたい」と語りました。
山井和則議員は「政府は多様な働き方と言って、とくに多くの女性が非正規雇用で働いている。にもかかわらず、10年、20年正社員に近い働き方をしてもボーナスは1銭も出ない、退職金も1銭も出ないというのはあまりにも不合理と言わざるを得ない。正社員に近い働き方をしていれば、同額とは言わないが非正規の方々にも退職金やボーナスがでるようにすることがこの法案の立法趣旨だ」と述べました。
尾辻かな子議員は「働く女性の6割が非正規で、コロナ禍の中でどんどん仕事を失っている。自殺者も増えている。こうした問題の底辺にあるのは女性の経済的苦境ではないか。非正規を理由に退職金・一時金がないのは不合理なのだというふうに法律を変えなければならない。ぜひ成立に向け、与党にも協力をお願いしたい」と語りました。
会見に同席したメトロコマース事件訴訟の原告、後呂良子さんは「6年間裁判を戦ってきたが、私たち非正規の問題は6年前には新聞に取り上げられることはなかった。今回、最高裁でこのような不当判決が出て、はじめて新聞全紙に非正規雇用の問題が取り上げられた。そのことによって少しでもこの問題が世の中に浸透したのだとうれしく思っている。これからだと思っている」と述べ、法改正の実現に対する期待を語りました。
また、自身が3月に定年を迎え、就職活動をしても仕事がなかったこと、失業保険の給付が1回だけで1カ月分の生活費にしかならなかったこと、そもそも基本給が低いから給付額が低いことなどを話し、「退職金が50万円でも出ていたら、なんとか何カ月か生活できていかれるし、その間に生活を立て直すことも考えられるが、それもできない。非正規差別という問題は定年後の生活を破綻させるということが身をもって分かった。だからこそ、コロナ禍でもこの問題を解決していかなければいけない」と決意を語りました。
概要 同一価値労働同一賃金.pdf
要綱 同一価値労働同一賃金.pdf
法案 同一価値労働同一賃金.pdf
新旧対照表 同一価値労働同一賃金.pdf