参院本会議で27日、日英包括的経済連携協定(日英EPA)に関する趣旨説明質疑がおこなわれました。

 本協定は、日EU・EPAにおける英国市場へのアクセスの維持、鉄道車両・自動車部品等一部品目で英国市場へのアクセスの改善、日本市場へのアクセスについて、基本的に日EU・EPAの内容を維持し、電子商取引、金融サービス等の一部分野では、より先進的かつハイレベルなルールを規定することを趣旨としています。

 立憲民主・社民を代表して、白眞勲議員が登壇し、茂木敏充外務大臣と梶山弘志経済産業大臣に質疑をおこないました。

 条約の国会提出の順番について、「政府が10月23日に署名した日英EPA以前に署名した日・インド物品役務相互提供協定(日印ACSA)等の条約が提出されていない。今国会に日英EPAだけ提出したのはなぜか」と質問しました。茂木大臣は「英国のEU離脱後の移行期間終了(本年末)までに本協定を締結し、日・EPAの下で日本が得ていた利益を継続し、日系企業のビジネスの継続性が確保されるため」と回答しました。

 英国とEUのFTA交渉が与える影響について、「年内に英EU間のFTA交渉が折り合わず、合意なき離脱となった場合、在英の日系企業、特に自動車産業はサプライチェーンの関係から多大な不利益を被ることが予測される」と懸念を示し、在英日系企業への具体的な支援策を梶山経済産業大臣に要請しました。

 農産品見直し規定について、「協定発効5年後、日英両国はより迅速な関税の引下げ又は撤廃等を行うため、原産農産品の取扱いの見直しを開始する」という規定はわが国で守るべき米等も対象としていると述べ、今後他国とのFTA交渉に影響を及ぼすのではないかと茂木外務大臣に指摘しました。

 即時撤廃品目の追加について、「政府は追加的に鉄道車両・自動車部品等の即時撤廃を確保したと記載しているが、イギリスがEU離脱に伴って設定する税率が無税となるためではないか」と梶山経済産業大臣に確認しました。

 ジェンダー平等について、「日英EPAでは、初めて女性のチャプター(第21章貿易及び女性の経済的エンパワメント)が盛り込まれ、ジェンダーについて規定されている」と評価しました。一方、「菅政権にそれを掲げるだけの資格があるのか疑問だ」と述べ、菅内閣の政務3役における女性比率をただしました。茂木外務大臣は11%と回答し、今後増やしていく考えを示しました。

20201127 日英EPA趣旨説明質疑(白議員).pdf