参院本会議で1月27日、岸田総理の施政方針演説に対する代表質問が行われ、小沼巧議員が登壇しました。小沼議員は、(1)自公連立政権10年間の総決算(2)経済政策(3)エネルギー政策(4)食料安全保障(5)国会と内閣の関係――等の観点から質問しました。
■自公連立政権10年間の総決算
小沼議員は、政府が2013年「一人当たり名目国民総所得10年間で150万円増やす」「10年平均でGDPを実質2%、名目3%成長」、2015年「5年で名目GDP600兆円」と掲げた目標の達成状況について質問しました。岸田総理は、「2019年度には名目の年額で過去最大となりましたが、その後新型コロナの影響により、これらの実現は道半ばというのが現状だ」と述べました。また、「一人当たり名目国民所得は2021年度の時点で462万円、名目GDPの速報値は2022年第3四半期に554兆円となり、すでに新型コロナ直前の水準を回復している」と説明しました。
■経済政策
岸田総理の言う「成長と分配の好循環」という表現が、いつの間にか「成長と資産所得の好循環」に変化しつつあると指摘する小沼議員は、「総理は行き過ぎた所得格差をただす分配戦略をあきらめたのか疑問を抱かざるを得ない」と述べました。そのうえで、「大多数の国民が医療・介護・教育など将来必要なお金の不安を抱える厳しい今だからこそ分配、すなわちベーシックサービスの充実が最優先課題だ」と述べ、岸田総理にベーシックサービスの充実に関して意見を求めました。岸田総理は、「成長と分配の好循環を実現し、成長可能で包摂的な新たな経済社会を作るために引き続き医療や介護・子育て支援、教育など命と暮らしを守るうえで欠かせないサービスを必要とする方に適切に提供していく」と答えました。
■エネルギー政策
小沼議員は、「わが国企業が優位性を誇っていたはずの再生可能エネルギー産業の凋落は深刻だ」と述べ、岸田総理に86兆円規模の省エネ・新エネ市場が生まれると言われてから11年間経つ再生可能エネルギー産業政策の総括を求めました。岸田総理は、再生エネルギー比率が11年で倍増していると述べる一方、「設備投資の不足や厳しい価格競争によりシェアを落としたものと認識している」と厳しい状況を認めました。
■食料安全保障
政府の食料安全保障強化政策大綱の中身が「生産資材対策が中心であり、スマート化や輸出促進、食料安全保障とは言いがたい施策だ」と小沼議員は述べました。続けて、「38%とされる食糧自給率について、政府における農林水産業の位置付けを施政方針でほとんど語らなかった理由とあわせて、総理のご見解を伺いたい」と岸田総理の考えを求めました。岸田総理は、「令和12年度にカロリーベース45%、生産額ベース75%の食糧自給率目標達成に向け取り組みの強化が必要」と述べ、「農林水産業を次世代に引き継がれるよう夢をもって働ける稼げる産業を目指していく」等と答弁しました。
■国会と内閣の関係
小沼議員は、今年度のコロナ・物価予備費は5兆円を残し、ウクライナ予備費は1兆円を全く使用していないことについて触れながら、「国会開会中の予備費使用は原則として行わないことが平成19年に閣議決定されている」と残った予備費をどうしていくのかただしました。岸田総理は、「ご指摘の閣議決定においては国会開会中も緊急な経費に予備費を使用することはできるとされており、使用にあたっては必要性、緊急性において適切に判断している」等と述べ、「予備費の使用について、国会や国民に対して説明責任を果たしていくため丁寧な説明をする」と答えました。