枝野幸男代表は12日、東京都練馬区で開催された第9区総支部のキックオフ集会、杉並区で開催された第8区総支部の公開講演会に参加しました(写真上は、公開後援会で語る枝野代表)。

■東京第9区総支部キックオフ集会

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 東京都第9区では旧立憲民主党の山岸一生さん、旧国民民主党の高松智之さんがれぞれ総支部長を務めていましたが、新党結成を経て、11月24日に山岸さんが総支部長に決まったことを受け、今回のキックオフ集会が開催されました。

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 東京都連会長で、旧立憲民主党で選挙対策委員長を務めた長妻昭衆院議員は候補者一本化の経緯について「高松さん、山岸さんとも優秀で甲乙つけがたく、活動も充実されておられた。ただ、総支部長を1人にしなければいけないという中で、われわれもかなり時間をかけて丁寧に議論をしてきた。高松さんには苦渋の決断をしていただいた。第9区に所属する自治体議員の皆さんの総意として、9区総支部長を山岸さんとするとともに、高松さんの国政を目指す思いを党本部、都連が受け止めて、実現に向け取り組んでいく」と報告しました。

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 続いて高松智之さんがあいさつに立ち「何としても政権交代ができる大きな受け皿をつくりたいという思いで新立憲民主党に合流した。立憲民主党として9区で勝ち抜くためには候補を1本化しなくてはいけない。私としても苦渋の決断だったが、何としても山岸一生さんに東京9区で私の代わりに勝ち抜いていただこうという思いを掲げた次第だ。私の国政に向ける思いは変わっていない。次の衆院選で山岸さんが勝利するために全力を尽くしていく」と述べました。

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 山岸総支部長は「私に課せられた責任は高松さんの決断にしっかり応えて、全力を尽くして東京9区では選挙区においてひっくり返していくんだと決心を新たにしている」と決意表明しました。「菅政権のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策は大迷走している。命と経済の両立と言えば響きは良いが、実際は経済も命も中途半端に終わって、自己責任に任せられている。一人ひとりが安心して働き、住まい、育ち、そして年を重ねていくことができる当たり前の社会をつくるために、次の選挙では徹底的に結果にこだわり抜きたい」と訴えました。

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 枝野代表は、候補者1本化のために苦渋の決断をした高松さんに改めて敬意を表しました。菅政権について、「安倍内閣を裏で、良い面も悪い面も回してきたのは菅官房長官。しかし、菅さんが総理になってしまうとその役目をする人がいないだろう、おそらくうまくいかないだろうと言われていた。実際は思っていた以上だ。国民生活に関連しての関連で混乱するとんでもないことになってしまっている」と批判しました。
 立憲民主党は当初から、検査を拡充するよう求めてきたと振り返り、「われわれはPCR検査等を拡大する法案を3月に出していた。3月時点では国内で検査能力が少なかったが、今はある。民間の検査機関でもやっている。1番必要な医療機関、介護施設の方については、検査能力が溢れているのだから国がお金を出して検査をすればよいではないか。GoToキャンペーンで旅行の代金をおまけするのでなく、旅行に行く前にPCR検査を安い値段でやりますよ、一方でホテル、おみやげ物屋さん等で働いている皆さんが定期的に検査して『ご安心ください』と言った方がよほど感染拡大を防いで経済を回していくことになるのではないか」と述べました。
 立憲民主党の提案に政府・与党が聞き入れようとしなかったと指摘し、「審議拒否をどっちがしているのか。いま命に係わるPCRの検査の拡大の法案も新型インフル特別措置法改正案も、いっさい審議に応じないのは自民党だ。こういうことはテレビを見たり新聞を読んでいるだけでは分からないので、それを皆さんにじわっと広げていくかが大事なことだと思っている」と支援を呼びかけました。

 集会には小川敏夫参院議員、藤井とものり都議会議員、白石惠子、野沢菜奈、沢村信太郎各区議会議員、市民団体、パートナーズの皆さんが参加し、オンラインで中継されました。

 枝野代表は集会後に記者団の取材に応じ、政府がGoToキャンペーンを停止するかどうか決めていないことに対し「もはや一刻の猶予もない。この週末の間でも、1日も早くいったんGoToをストップさせる。これは実際の効果以上に、政府が旅行に行け、会食に行けというキャンペーンをしながら、たとえば営業時間の短縮をしろとか、縮小しろとか意味が不明なメッセージを発しているわけで、まずいったんは感染拡大防止に全力をあげるということで、一刻も早くGoToを止めるという判断をする必要がある」と述べました。その上で、「同時に予備費から少なくとも1兆円レベルで、緊急にコロナの影響を受けている医療機関に、短期間に、年内に支援をすべきだ」と主張しました。

■東京第8区総支部主催 公開講演会「『コロナ禍』だからこそ問われる『共に支えあう社会』――あなたを1人にしない――」

 枝野代表は、吉田晴美・東京8区総支部長とコロナ禍の女性が置かれている苦しい状況についてクロストークを行い、その後、会場とネット中継を見ていた方からの質問に答えました。

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 冒頭、司会を務めた関口健太郎杉並区議が、来年7月に行われる予定の東京都議会議員選挙の公認候補予定であることからあいさつを行い、「東京の議会、都政で必要なことは、言うまでもなく新型コロナウイルス感染症の1日も早い収束。そしてそれによって打撃を受けた多くの皆さんの生活の再建。当たり前のことを言うなという人もいるかも知れませんが、今の政治があまりにも当たり前のことが当たり前にできていない」と指摘しました。

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 クロストークでは、介護の問題について「介護の問題は高齢者の皆さんの問題ではない、現役世代の若い世代の問題」だと枝野代表は語り、現役世代がしっかり仕事や自己実現ができるようにするために介護は必要だと訴えるとともに、医療や介護や保育は余力をもたせる必要があることが今回のCOVID-19ではっきりしたと指摘しました。

 さらに、現金を直接配るのではなくサービス提供する「ベーシックサービス」という考え方を説明。介護や医療、保育といったサービスを、それぞれの収入に応じた払える範囲で安く提供することで、必要な人がサービスを受けられるとともに、雇用を産むことにもつながると話しました。

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衆議院議員に占める女性議員の割合を説明する吉田総支部長

 また、女性議員が増えたらどんないいことがあるかという問いに、「介護や保育といった政策が進むという話はあまり好きではない。男性でも女性でも一緒」と語った上で、「情報は、女性は女性同士、男性は男性のネットワークのほうが入りやすい側面がある」と述べ、「女性の声を反映させるには、女性のネットワークを強く持っている女性議員が増えたほうが、現場の声は届きやすくなる」と指摘しました。その結果として「今の日本社会の現状では、介護や保育は女性が担わされている部分が大きいので、その現場の実態は女性議員が増えないとなかなか当事者の現場の声として上がってこない」と語りました。

 参加者からは、(1)選挙の日を休みにすることで選挙に行きやすくなり投票率が上がるのではないか(2)野党共闘を進めてほしい(3)立憲民主党の考え方は浸透していない(4)介護や保育を手厚くするのが経済対策というのは分かるが、多くの人にはなかなか伝わっていない――といった意見がありました。

 枝野代表は野党共闘について、「選挙結果に反映することが大事。共闘することが目的ではない」「タイミングが早すぎると選挙には負ける、そこはしっかり計算してやっているので信じてください」「早すぎたらそのことが争点になってしまう。『選挙の争点は自公政権のやってきたことは明らかにおかしいから変えないといけない』にしなくてはいけない」と答えました。

 また、考え方は浸透していないことについては、「選挙がない時に野党の報道はほとんどしてくれない」「野党が報道してもらえるのは与党のおかしいところを厳しく指摘したときだけ」「野党が積極的にいい提案をしてもそれはニュースバリューとしては小さく、与党が採用した時にはじめてニュースになる」と語り、「メディアを通じて野党が何を目指しているか、何をやっているかなどを伝えようと思ってはいけない」と述べました。さらに「ネットも関心のある人しか見てくれない」と説明し、「有権者が選挙の主体なので、皆さんが周りに伝えていただかない限り選挙には勝てない。ぜひ皆さんのその力を貸してください」と協力を求めました。

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 今回の講演会の最後に枝野代表は、「菅直人さん、鳩山由紀夫さんが旧旧民主党を立ち上げたときから近くでよく見ていた。15年かけて総理大臣になった」「だけど、そんなに世の中が待ってられない。この国、この社会が壊れてしまう」「10年15年後に地道に着実に一歩ずつ力をつけ、それで政権にたどり着いたら、もう日本という社会が焼け野原だった。これでは政治家、国会議員としての責任を果たせない」と訴え、「次の選挙でなんとかしないといけない。しかもその選挙もできるだけ早くやらせたい。早くやらせてひっくり返さないと、とんでもないことになる。そういう危機感が合流を呼びかけ、今に至った一つの大きな背景」だと語りました。

 そして、「『また枝野か、顔が変わらない、新鮮さがない』という人がいるが新鮮さでは勝てない、新鮮さでは政権は回せない、それが2009年の最大の教訓。経験値が足りなすぎた。あの経験があるから、今ならば政権を預けていいただければ同じ失敗はしない。経験不足によって政権をうまく回せないという失敗はしない」「『あなたのための政治。』というスローガンを掲げた。ちゃんと地に足をつき、暮らしの足元を見る政治へ変えられる可能性が出てきています」と指摘し、参加者に一層の支援を求めました。

 イベントでは太田哲二、樋脇岳両杉並区議会議員もあいさつ。会場には約50名の一般の方が集まり、オンラインでも中継されました。