第7回全国高校生未来会議が22日、国会内で開催され、枝野幸男代表が党を代表して演説したほか、大河原雅子ジェンダー平等推進本部長がパネルディスカッションで登壇し、ランチミーティングには菅直人最高顧問、蓮舫代表代行、道下大樹衆院議員、熊谷裕人、石川大我各参院議員が参加しました。

 枝野代表は若い世代に話したい政策として、年金、高齢者医療、介護を取り上げ、高齢者のために若い世代が多く負担して損だと世代間対立を煽る人がいるが、それは間違っていると表明しました。そのうえで、「年金制度や高齢者の医療、介護を自助努力でやってください、自己責任でやってくださいという社会になったらどうか。日本ではかつて高齢者が仕事を辞めた後、あるいは年をとって働けなくなった後の生活費、収入は子どもが孫が面倒をみていた。年を取ればどうしても病気がちになり、医療費かさむ。その医療費も全部子どもや孫の負担だった。寝たきりになった時の介護は、全部子どもや孫の負担だった。日本がそんな社会の方向に戻っていく、残念ながら今の日本はそういう方向だ。こういう方向にどんどん進んで行くとどうなりますか」と問いかけました。
 「そういう社会になれば、皆さんが今、将来自分がこういう道に進んで、こういう仕事をしてがんばってバリバリやりたいと思っていても万が一家族の中に寝たきりになって介護が必要になったら、その家族の中でお世話をしなくてはいけない。ヤングケアラーが新聞でも最近取り上げられているが、皆さんの同世代で、親や祖父母の看病、介護をしていて、学校から帰ってきたら部活もやらずに、世話をする、進学したくたって進学できないという人たちが少なからずい社会問題になっている」と語りました。
 そして「家族の負担でなくて、皆でお金を出し合って、そのお金を使って進める介護保険とか高齢者の医療保険制度とか、あるいは年金制度で収入そのものを支えるとか、こういうことを充実すれば充実するほど、皆さんの人生の選択の幅、自由度は大きくなる。だから、実は年金や高齢者医療や介護を充実させることは若い皆さん、次世代のための政策だ」と説明しました。最後に「ぜひ世代間の対立に巻き込まれずに、皆さんの将来を切り開いてほしい」と演説を結びました。

 質疑応答では、男子高校生から「東日本大震災から10年だが、当時を振り返っての対応はどうだったか」と尋ねられ、枝野代表は「当事者の立場に立てば、もっとできたことがあったのではないかとの思いもあり、そこは真摯に受け止めたい。ただ、あの時点で、把握できていた情報の中で、できることは最大限やった。そこは誰にも恥じることはないという自信を持っている」と答えました。
 また、今後どのように復興を進めるべきかについては、「10年近く前の発災時から言っているが、ハードはいずれ回復する。問題はソフトだ。たとえば地域のコミュニティ、家族のコミュニティまで壊れてしまっている場合がある。そうすると、住むところは復興住宅等ができても孤立してしまう。コミュニティが崩壊をしているので、地域産業、地場産業を回復させることがなかなか困難になる。一度壊れてしまったコミュニティをどうやって回復させるかは、政治と行政には苦手なことだが、苦手なことでも逃げずにやって行く。それがいま重要になっていると思っている」と語りました。

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参加者と懇談する蓮舫代表代行
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参加者と懇談する道下大樹衆院議員
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参加者と懇談する熊谷裕人参院議員
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参加者と懇談する石川大我参院議員
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参加者と懇談する菅直人最高顧問
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 ランチミーティングの最後にあいさつに立った菅直人元総理は、「私が生まれたのは1946年。私が育った山口県宇部市の小学校では、1クラス58名、1学年18クラスあり、1000名以上の生徒がいた。今は少子化で子どもがどんどん少なくなり、日本の社会が元気さを失ってきているのではないか。私が大学生の頃はストライキをやったり、上の世代にけんかを売っていた。少しやんちゃでもいいから上の世代に物を申していくことから、いろいろなことが生まれるのではないか」とエールを送りました。

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 午後には、「ジェンダー平等実現のために 高校生たちに期待すること」をテーマにパネルセッションが開かれ、党ジェンダー平等推進本部長の大河原雅子衆院議員が参加しました。

 大河原議員はまず、「立憲民主党は、ジェンダー平等社会をつくる、あらゆる差別と戦うことを基本方針とし、そのもとでジェンダー平等推進本部ができている」と紹介。その上で、「生まれてから刷り込まれるもの、社会的に作られた性的な役割を、いわば押し付けられるなかでジェンダーの問題ができている」と述べました。

 自身が女子校(中学・高等学校)から男女共学の大学に入ったときに男子に遠慮する女子の姿を見た時の違和感や、結婚して家事などの役割がどんどん増えていくなか、次第に「○○ちゃん(君)のお母さん」と自分の名前を呼んでもらえなかったことなど、女性だからという理由でさまざまな不自由さを強いられてきた経験を振り返り、「親の物差しで育ってきた時代から、自分の物差しをもつ時代になっていくときに、自分がおかしいと思ったこと(押しつけらえている役割)は直していきたいという思いで取り組んできた」と政治家としての活動の原点を語りました。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、その国の一番弱いところにひずみが生じ、特に女性や少女たちが大きな犠牲を受けていると指摘。一方で、コロナ禍で女性の自殺率が目立ちはしているが相対的には男性の方が多いと述べ、「男だって泣きたいときはあるし、苦しいこともある。男だから、女だからということで、実は自分自身を軽んじていることがあるのではないか」と問いかけました。

 高校生に対して伝えたいこととして特に、恋人同士の間で起きる暴力「デートDV」や望まない妊娠の問題に触れ、こうした被害の根っこにはジェンダー差別の問題がある。ぜひ相談してほしい。男性も女性も一人で悩まないことを覚えてほしいと訴えました。

 参加者からは「家庭では母親が強いことが多いのに、なぜ社会に出ると相変わらず男尊女卑的な考えが多いのか」「今の若い世代はジェンダー平等の教育を受け理解が深まっても、それを受け入れる社会にいる、大人たちの理解を深めるためにはどうしたらいいと考えるか」といった質問が投げられました。

 大河原議員は最後に、「皆さんは選挙権を持つ18歳まであと少し。本当に皆さんが望んでいることを実現するためには自分たちが国会議員になって必要なものは勝ち取る。立候補する権利も求めたらいい」と被選挙権年齢の引き下げにも言及。「グレタ・トゥーンベリさん(スウェーデンの環境活動家。現在17歳)のように、若者たちが大人の責任を問うことが社会を変える力になる」と呼びかけました。

 パネルセッションにはほかに、社民党党首の福島みずほ参院議員、Loohcs(ルークス)高等学院校長の岡佑夏さん、臨床心理士でオープンリーレズビアン、LGBTアクティビストのみたらし加奈さんが参加しました。

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