枝野幸男代表は23日、衆院国土交通委員会での質疑後に国会内で記者団の取材に応じました。

 枝野代表はまず、「最大野党の党首という立場で一般の委員会、総理が出てこないところに質問に立つのは異例でもあり、日常から国土交通委員会で頑張っている委員がいるので若干ためらいもあったが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に関する年内の国会質疑が最後になるという危機的な状況であり、先頭に立てというサジェスチョンを国対(国会対策委員会)からいただき、質問に立たせていただいた」と、登壇の経緯を説明。
 「結果的に立たせていただいて良かったと思っている。政府全体としての危機感の欠如と、相変わらずGoToキャンペーンを強行してしまった事実を自己否定できないがために、かなり苦しい説明になっていることを浮き彫りできたのではないかと思っている」と感想を述べ、「引き続き政府に危機意識を共有していただき、緊急事態宣言や医療従事者への支援、納入業者、生産業者を含めた関連事業者に対する事実上の補償を強く求めていきたい」と力を込めました。

 12月28日から2021年1月11日までの間、全国で一斉に停止するGoToトラベルキャンペーンをめぐる今後の対応について考えを問われると、「現実にいま医療がひっ迫というか崩壊しつつあると言わざるを得ないような状況であり、よほどの感染者の急減という状況でなければ、そうした状況は多分一定期間続くと言わざるを得ないのが、残念ながら現実だと思っている。そうした状況を考えると、もちろん地域によって医療も大大丈夫だ、大幅に感染者数が減っているところが一定の規模で広がりがあれば部分的に(再開)ということはあり得るかもしれないが、医療が崩壊をしてしまうと救える命が救えないことになる。関連事業の支援は予算措置をしっかり取れば支えられる部分があるわけであり、とにかく命を守る、医療崩壊を食い止めるという観点から慎重に判断をしていくべきだと思っている」と述べました。

 GoToキャンペーンと感染拡大の関係についての政府の答弁をどうとらえるかとの質問には、「議事録をもう1回精査をしたいと思うが」と前置きした上で、「政府の分科会(の見解)も『主な要因ではない』と、『主な』という言葉が付いていることなど具体的に指摘をしたので、明確には『関連がある』『原因だ』とはお認めにはなれない状況ではあるが、事実上影響、関連があることは否定できなかったやりとりだったと受け止めている」と述べました。

 臨時国会閉会後、政府・与野党連絡協議会も開かれず、野党の提案が聞き入れられにくい状況にあることについては、「政府与党の立場としては、野党の話などはあまり聞きたくないというのは、平時においてそういう意識があることは分からないでもない。しかしながら、GoToキャンペーン急に止めたりと、政府としても一種うろたえている状況なのだから、できるだけ幅広い意見を聞き、参考にして物事を進めていくのが本来あるべき姿である。相変わらず平時と同じ発想で『野党の意見なんて聞かなくてもいいや』『できれば聞きたくない』という平常モードは、まさに正常性バイアスの表れの1つだと思っている」と指摘しました。

 感染力が強いとされる、変異した新型コロナウイルスの感染が広がっていることを受けて、24日以降日本人以外のイギリスからの入国を一時的に停止するなど、入国制限を強化する方針を政府が固めたことへの見解を問われると、「ヨーロッパ諸国の中でも現地時間20日(日本時間21日)のうちに航空機の往来などを止めている国もある。結果的に後手に回った、春先の教訓を踏まえれば、若干遅れたと言わざるを得ず、対応も中途半端と言わざるを得ないのではないか。14日間の活動自粛は要請にすぎず強制力はない。変異種というものの具体的な状況が分かるまでの一時的であり、各国でやっているような往来そのものを止めるというようなところまで、私は踏み込むべきだと思う」と述べました。