立憲民主党自治体議員ネットワークの結成総会が20日に開催され、活動方針と役員が決まり、新たな立憲民主党の自治体議員組織がスタートしました。
■自治体議員 1058人でスタート
自治体議員ネットワークは、党規約第第33条に規定されている党所属の地方自治体議員による議員団で、結成総会の設立時点で1058人の自治体議員がメンバーとなりました。
結成総会では、冒頭に呼びかけ人代表として宗方保福島県議会議員は次のようにあいさつしました。
「新たな立憲民主党は、古巣に戻ってきたような思いを感じられてうれしい。われわれは自民党に代わる勢力を作らなくてはならないがまだ途中だ。今回は、そのために変化をしていく過程と理解すればいいと思う。
新型コロナによって国会議員だけをあてにするのではなく、自治体議員が意識をもって地域のために働かなければならないことを痛感している。地域によって対応は異なるが、力を合わせて各地域の状況を理解して対策を進めよう。立憲民主党のフラッグのもとに結集して団結し頑張ろう」
呼びかけ人は、旧立憲民主党と旧国民民主党の全国自治体議員団の役員で、新たな組織の役員候補ともなる人たちで構成。今回の設立総会へ向けて事前から協議を続け、新たな党となったことで詳細な規約はできていない状況ではありましたが、まずは組織を結成し動き出すために全国の党所属自治体議員へ設立総会への参加を呼びかけました。
■「自治体議員とこれまでに以上に連携を」枝野代表
設立総会に来賓として参加した枝野幸男代表は次のようにあいさつしました。
「自治体議員の皆さんには、これまで3年半あまりご苦労をおかけしてきましたが、9月15日に新たな党としてスタートしました。私の立場からは、合流を思い切ってしたことは想像していた以上に効果を上げていると現時点では思っています。国会での活動はこれまで以上に役割を果たすことができ、特に論戦力は10倍、20倍になったと思っています。
それ以上に、点や線で戦っていた地域の草の根の活動が全国規模で自治体議員の皆さんとこれまで以上に連携させていただくことができるようになりました。このことで、今まで以上に現場で困難に直面している皆さんのお声を受け止められるようになっています。今までの皆さんのご苦労が報われるよう、この効果を生かして政治の流れを変えるのが私たちの役目でもあります。
新型コロナ感染症の対応では、国がやると目詰まりが起きることが分かりました。本当に必要なことは、地域に任せるほうがいいのではないか。大枠は決めて、あとは自治体が地域の実情に合わせて対応するのが現実策ではないかと考えています。そのためにも自治体議員の役割は重要です。再スタートする自治体議員の活動に期待し、最大限の活動充実へ向けて党として支援したい」
■「党として支援」勝部自治体議員局長
同じく来賓として参加した自治体議員ネットワークと党との連携窓口となる党組織委員会の自治体議員局長の勝部賢志参院議員は、北海道議を4期務めた経験も紹介しながら「地方分権、地域主権を進めるには、自治体議員の役割は極めて重要です。自治体議員の大きな役割の1つに、住民に一番近いところで日々接していることで、住民の声を拾上げて届けることがあります。この役割が今こそ重要となっています。国会議員だけでは十分にはできません、自治体議員からの力が必要です。自治体議員が横につながるとその役割をさらに果たせるとともに、互いに切磋琢磨することになり、ひいては地域の住民の幸せにつながっていきます。党として支援をお約束しますが、ネットワークの活動は自主性が重んじられています。一緒に頑張りましょう」とあいさつしました。
■活動方針と役員を議決
来賓あいさつの後、活動方針と役員体制について審議が行われ、参加者全員による賛成で可決しました。概要は以下のとおりです。
【活動方針】
○自治体議員だからこその「ネットワーク」をつくる
・「ボトムアップ政治」を掲げる政党の自治体議員団として、有権者に最も近い立場と経験・知見を活かし、自治体現場に即した問題意識を明確に掲げ、自治体議員だからこその「ネットワーク」をつくる。
○党の政策につながる自治体議員の政策活動
・政策課題をネットワークで検討し、全国の自治体議員が参加・議論・研究する課題を設定し、ヨコに繋がる政策活動を進めていく。
○立憲自治体議員としての議会活動の強化について
・新人議員へのサポートプログラムの実施。
・地方議会改革に関する議論をつくる。
○年間スケジュール
・冬季に「年次総会」、夏季に「全国研修会」を開催する。
・向こう1年については、自治体議員相互の交流や連携を重視し、全国的なネットワーク活動の基盤づくりに努力していく。
・横断的な自治体議員間の交流・情報交換の一環として、政令市、町村議員の意見交換などの取組みを進める。
・自治体議員ネットワークとして、女性議員ネットワークや青年局の自治体議員との意見交換など連携を図っていく。
【運営体制】
(1)各都道府県連自治体議員の中から「世話人」1人を選出。
(2)各県連世話人で構成する衆院比例ブロックごとに「ブロック会議」を設置。各ブロックから「運営委員」2名を選出する。運営委員会は、年4回を目安として、議会の開催月ではない時期に開催する。
※北海道・東京については、自治体議員数が多いことから世話人=運営委員として2名を選出する。
(3)運営委員によって構成する「運営委員会」は総会に次ぐ意思決定機関であり、運営委員の中から役員を選出し、「役員会」を構成することを基本とする。
(4)但し、今回の結成については、旧党自治体議員グルーブの役員を呼びかけ人とし、その呼びかけ人によって役員(案)を作成し提案する。今回の役員会の任期は1年間とする。
運営委員の選出についても、結成総会後に、各県連から選任された世話人の中で協議を行い、各ブロックから2名の運営委員の選任を行い、本部へ報告することとする
【役員】
共同代表:
遊佐美由紀(宮城県議会議員)
宗方保(福島県議会議員)
副代表:
梶谷大志(北海道議会議員)
松井正一(栃木県議会議員)
中村ひろし(東京都議会議員)
浦道健一(神奈川県議会議員)
江口善紀(佐賀県議会議員)
幹事長:
川名雄児(東京都武蔵野市議会議員)
《コロナ禍での自治体議会》
総会の後半では、福山哲郎幹事長も参加。また江藤俊昭山梨学院大学教授による「コロナ渦と議会・これからの議会―危機状況で『住民自治の根幹』としての議会を作動させる―」と題した講演が行われました。
■「現場を一番知っている自治体議員と頑張りたい」福山幹事長
福山幹事長は、「コロナ禍で政権が機能していないのは地方の現場にいる皆さんが一番分かっています。まっとうな政治、草の根の政治、そして、国の政治を担う政党へ皆さんの力で実現していただきたい。役に立たない政権は引きずり下ろすしかない。国民の命と生活を守る気がないのなら、この危機の状況で機能しないのなら、われわれが引き受けるしかない。そのためにも自治体議員の皆さんと頑張っていきたい。課題はたくさんあるが、来年は内向きの課題よりも国民のために働く1年にしたい。来年はいい年にしましょう」とあいさつしました。
■「非常時だから役立つ議会に」江藤教授
江藤教授からは、「阪神淡路大震災はボランティア元年、東日本大震災では自治体(行政)間連携元年と言われた。そして新型コロナウイルス感染拡大では、議会・議員ネットワーク元年と言えることを強調したい。
非常事態・緊急事態は、住民に大変な苦労を強い、社会に大変革を呼び起こした。この時期だからこそ、議会を作動させ、住民の苦労を少しでも軽減させる必要がある。地域民主主義、議会は試されているとともに鍛えられる。
日頃の議会改革が危機状況でも活かされるか再確認が必要で、従来の議会運営を問う時期でもある。東日本大震災での議会・議員対応から、非常時に議会の役割はないと批判されたが、住民が困っている時期だからこそ、情報提供と広聴活動を行うべきである。
一般質問を『華』とした活動から、執行機関がいなくても議会で議論を重ね、議会として冷静な審議、提案をすることで、アップアップになっている執行機関を助け、住民福祉が向上させる。従来の議会運営を問う時期となっていることを認識してほしい。
多様な民意を集約し、自治体としての意思決定ができるのは自治体議会にしかできない。民主主義・地方自治に欠かすことのできない住民を代表する合議制の機関として、独任制の首長にはない存在意義が自治体議会にあることは第32次地方制度調査会でも明らかになっている。議会のBCP(事業継続計画)、オンライン議会など議会改革を進めてほしい。そのためには、議論を深め論点を明らかにするための議員討議を進めてほしい」と参加者へメッセージが寄せられました。
総会を含めて当日出された参加者からの意見については、役員、運営委員会などで協議を行うことが提案され、総会は終わりました。今後は、世話人によるブロック会議、運営委員会などが行わる予定です。
(文:川名雄児東京都武蔵野市議会議員)