衆院予算委員会で「立憲民主党・無所属」と共産党は共同で政府提出の2020年度第3次補正予算2案を撤回の上、編成替えを求める動議を提出。奥野総一郎議員が趣旨説明、森山浩行議員が賛成討論に立ちました(写真上は、趣旨説明をする奥野議員)。
採決の結果、動議は否決され、政府提出原案が賛成多数で可決しました。
奥野議員は、編成替えを求める理由について、「現在、変異株の流入など感染の収束が見通せないなか、持てる力の全てを感染拡大防止と医療体制への支援、個人・事業者支援等に注ぐべきだと考えるが、第3次補正予算案は昨年12月に編成されたものであり、そもそも現在の緊急事態宣言下における危機的な国民生活や事業、医療体制が想定されていない。また、GoToトラベルやGoToイートなど完全にタイミングを誤った予算が含まれており、現下の危機的な状況において適したものではない。さらに、政府案には本来であれば本予算で審議されるべき予算が含まれている。直近の豪雪対応を始め、災害復旧のための経費等は必要だが、災害復旧事業等を除く国土強靭化やカーボンニュートラルに向けた基金創設や大学ファンドなどは緊要性を欠き、本予算で審議すべきもの」だと政府案の問題点を列挙。「いま、国民が求めている補正予算は、現下の深刻な状況を克服するための『コロナ集中対策』予算」だとして、政府案で計上されている予算のうち、急を要さない項目を撤回し、感染拡大防止と医療体制への支援、個人・事業者支援等に万全の対策を講ずるため、補正予算案を組み替えることが必要不可欠だと述べました。
その上で、コロナ集中対策予算として計上した、(1)医療機関・従事者等への支援に3兆円(2)徹底した感染防止対策に1.5兆円(3)生活困窮への支援に3.4兆円(4)事業・雇用支援に7.5兆円(5)地方自治体の支援に2.5兆円――の計17.9兆円の概要について説明。財源については2020年度予備費残額のうち4兆6644億円を充当、優先的に速やかに執行し、その上で補正に含むべきでない予算を撤回するとしました。
奥野議員は「国民の命と暮らしを守るコロナ集中予算とするため、与党など多くの皆さんに賛成していただくことをお願いする」と呼びかけました。
討論に立った森山議員は、「命と暮らしを守るための対策を、コロナ禍のあいだ、私たち野党は、政治にできることは何でもやるとの思いで政府の提案にもおよそ9割賛成するとともに、10万円の一律給付や持続化給付金、雇用調整助成金、家賃補助、学生支援、検査拡大など一貫して先手先手で提案をし、政権が後手後手に対応する場面が続いている」と述べ、今回の予算案は、感染拡大の原因であった可能性が指摘され、停止のタイミングが遅かったために大混乱となったGoToキャンペーン停止の翌日、昨年12月15日に閣議決定されたものであり、そのうち感染拡大防止予算は4兆3581億円と、本来であれば当時6兆8924億円あった予備費でこの予算措置を講じるべきだったものだと指摘。「この間の不作為の責任は大きい」と批判し、「いま国民が求めているのはコロナ対策集中予算だ。国民の信頼を取り戻すため、科学的知見に基づき説明責任を果たすとともに、国民の命がかかっているという緊張感を持ち、医療現場をはじめとする現場で歯を食いしばっている皆さんを、国民の生活、事業を全力で支えなければいけない」と訴えました。組み替え案で提案した各種支援を積み増すための財源としては、これから2カ月あまりで執行する補正予算としてふさわしくない「GoToトラベル」のみならず、災害などを除く国土強靭化、カーボンニュートラルの基金など、急を要さない項目は撤回し、昨年6月の予備費の残額などを含めて組み替えるべきだとして、補正予算案には反対、組み替え案には賛成と表明しました。