立憲民主党は31日、都内で2021年定期大会を開催しました。今大会は、COVID-19感染拡大防止のため、大会議案の提案を行う執行部のみが会場に参集。大会代議員の党所属国会議員、党の地域組織である都道府県連の代議員、非現職の総支部長はリモートで参加し、党員、サポーターズ、パートナーズをはじめ国民の皆さんが視聴できるよう、インターネット上でライブ配信されました。
真山総務局長からオンライン開催の経緯説明とCOⅥD-19新型感染症犠牲者に捧げる黙祷
冒頭、真山勇一総務局長から、今大会がオンライン形式をとったことについて説明がありました。「本来であれば、全国の仲間の皆さんと一堂に会し、秋までに行われる衆院総選挙に向けて心合わせを行いたいところ。しかしご案内のように、東京を含めて11都道府県に『緊急事態宣言』が発令され、大人数での集会を開催する事は適切ではない。よって、本年の大会は大会議案の提案を行う執行部のみが参集し、それ以外の大会代議員の皆さまはオンラインでご参加いただくという形式をとらせて頂くこととした」との説明がありました。
この後、昨年末に急逝した羽田雄一郎参院幹事長を含む、COⅥD-19新型感染症(新型コロナウイルス)の犠牲となった多くの方々に衰悼の意を表すため、全員で黙とうを捧げました。
枝野幸男代表あいさつ
黙祷の後、枝野幸男党代表よりあいさつがありました。
枝野代表は冒頭、新型感染症感染拡大のためオンラインでの開催に至ったことについて、参加者たちに感謝の意を表しました。枝野代表は「党員、サポーターズ、パートナーズの皆さん、そして立憲民主党に関心を持ち、こうして党会をご覧頂いている皆さん、本当にありがとうございます。皆さんのご期待に応えられる立憲民主党に進んでいく大事な大会にして参りたい」とあいさつしました。
その上で、新型感染症で亡くなられている多くの方々に対し、改めて哀悼の意を表すとともに、昨年末に新型コロナウイルスで急逝した羽田雄一郎参院幹事長を偲びました。枝野代表は「大切な同志である羽田雄一郎議員が急逝されたことは私にとっても大変ショックだ。同世代ということもあり、妻や子どもたちも含め、家族ぐるみのお付き合いもさせて頂いた。小さなお子さまを残しての急逝は、さぞかし無念のことと言葉もない。あわせて党の代表という立場からも、昨年9月の合流による新しい立憲民主党の結党、そして特に参院における党内の結束、新しい国民民主党との円滑な関係など、羽田さん抜きでは考えられない、大きな大きな役割を果たして頂いた」と故人の業績を称えるとともに、「羽田さんの遺志に応えるためにも、立憲民主党は一致結束して国民の期待に応え、政権交代に向けて進んで行かなければならない」と改めて未来に向けた決意を表明しました。
「政権交代に向け、ここに参加している皆さんはもとより、全ての党員サポーターとパートナーの皆さん、そして連合の皆さんをはじめとして私たちに期待頂いている多くの皆さんとともに、更に結束して大きく前進していく、そのスタートラインとなる大会にしたい」とあいさつを締めくくりました。
大会議長の選出と党大会成立の宣言
執行部より、緑川貴士衆院議員、及び岸真紀子参院議員の大会議長選出を推薦する旨の提案があり、了承されました。
続いて緑川議長から「参加している代議員が代議員総数の過半数を大きく上回っていることを確認いたしました。党規約に基づき、今大会の成立を議長として宣言します」と大会成立の宣言がありました。
連合神津会長のあいさつ
大会来賓である連合の神津里季生会長よりオンラインであいさつがありました。
あいさつの冒頭、神津会長は故羽田雄一郎参院幹事長と面識があったことに触れ、「羽田雄一郎という素晴らしい政治家を失ってしまったことは痛恨の極みだ。これからというときに、そして最愛のご夫人と育ち盛りのお子さん方を遺して、どれだけ無念であったか、言葉になりません」と故人を悼みました。そして「どうか皆さん、羽田さんの遺志を心の中に灯し続けてください。そして融和の心を持って、しっかりと力を合わせて、政権交代に邁進してください。そのことを衷心よりお願いを申し上げ、故人のご冥福をお祈り申し上げる」と党の結束を訴えました。
また神津会長は、新型コロナウイルスの感染収束の見通しが立たず、非正規労働者や女性を中心に雇用に甚大な影響が出ていること、企業規模の大小を問わず不安が広がっていること、医療の崩壊の中で、医療・介護の現場で働く人々は使命感だけでつないできていること、こうした社会経済情勢に触れた上で、「足もとの予算審議や法改正の議論において、立憲民主党の皆さまの一挙手一投足が、有権者の心に響く場面が続く。そういったなかで『誰一人取り残されることのない社会』を目指し、多様性に根ざした持続可能で包摂的な社会を実現するという観点から、政権与党との哲学の違いを是非浮き彫りにしていただきたい」と国会論戦のあり方についても要望しました。
神津会長は新立憲民主党について「昨年9月に新しい立憲民主党が結党されて、はや4カ月が経過をした。昨年暮れ(12月24日)には社民党からも中央・地方の多くの方々が合流された。これだけの大きな塊ができたのは久しぶりだ。まだまだ試行錯誤もあるでしょう。しかし、この間のさまざまな経験や得られた教訓を生かしつつ、新党に結集した皆さんがしっかりと力合わせを重ねていかれれば、おのずと新党はどっしりとした強みを発揮するに違いありません。心より期待を申し上げる」と党の今後への期待を示しました。また最後に、「建設的な議論を尽くし、ひとたび方向づけをした後には、ひとつにまとまる。そうした懐の深さを強く意識して、野党第一党としての役割とその存在感を発揮していただきたい」と、結束の必要性を重ねて訴えました。
大会議案の提起と採決
続いて福山哲郎幹事長が登壇し、「2021年活動計画」「2020年決算」「2021年度予算(骨格)案」及び党員等に関する「規約改正案」の議案を含む幹事長報告を行いました。
福山幹事長は冒頭、先立ってあいさつした連合神津里季生会長の言葉に感謝を伝えるとともに、「共有する理念については、党内でもしっかりと共有し、政策実現に努めてまいりたい。どうか今後ともよろしくお願い申し上げます」と述べました。
続けて福山幹事長は、「新立憲民主党の結党が菅政権の発足と時を同じくしたことは、時代の要請だと申し上げてきた。菅総理と枝野幸男代表は、共に官房長官を経験しコロナと東日本大震災という危機管理にあたったお2人だ」「われわれの仲間は152名になったが、そのうちの半数近くは、政権の内部で大臣や副大臣政務官を経験した仲間だ。いわば今年の総選挙は、元官房長官対決であり、政権を担った経験を持つ多くの仲間とともに、この国の将来について国民に信を問う選挙になる」と総選挙に向けた決意を述べました。
また今通常国会におけるさまざまな議員立法の提出や政策提言についても言及。特に特措法改正については「懲役罰金といった刑事罰を削除することができた。事業者の規模等による支援のあり方についても検討することを政府に確認させて頂いた」として、「大きな前進だった。衆参で152名の大きな塊となったことが、国民の声をしっかり届けていくということにつながった」と一定の評価と自信を示しました。
さらに今年が「総選挙の年」であることに関し、「議院内閣制において野党第一党の責任は、政権与党のチェックはもちろんのことだが、次に代わる政権の準備をすることだ」「政権を目指さない野党第一党などは存在意義がない」と述べました。そして立憲民主党が、このコロナ禍において「命と暮らし」を守る政権を担い、「あなたのための政治」を実現する、「その覚悟と責任を持って1年の活動を展開していきたい」と発言。その上で「もっと分かりやすく申し上げれば、枝野幸男代表を総理に押し上げ、菅政権に代わる国民の『命と暮らしを守る』、『機能する政府』を樹立をするために、国民とともに全力を尽くす。それが今年度の活動の基本方針だ」と総括しました。
福山幹事長は、2021年活動計画の重点課題として以下の6つの具体的な目標を挙げました。
(1)COVID-19感染防止と「命と暮らしを守る」対策に全力を上げる
(2)政治を転換する総選挙に全ての取り組みを集中する
※本年は総選挙に加えて、4月の衆参補欠選挙、横浜市長選挙、千葉県知事選挙、東京都議会議員選挙と重要な選挙が目白押し。これらの戦いも総選挙と連動して全力を尽くしていきたいと発言
(3)国民の声を実現する国会論戦を強化する
(4)政権の選択肢となる理念・政策をさらに明確化する
(5)「あなたとつながる」ネットワークを拡げ確立する
※つながる本部等を中心に、若者、青年対策そして女性対策。多くの皆さんと繋がっていきたいと発言
(6)女性の声を政治に反映していく取り組みを加速させる
※女性候補者のさらなる擁立。われわれはジェンダー平等推進を念頭に、女性の擁立について積極的にやっていきたい。地方自治体議員の候補者だけではなく、国政を目指す女性候補者についても、新たな資金支援等の枠組みを作って参りたいと発言
そして最後に、「東日本大震災、さらには原発事故10年を迎えにあたって、被災地にさらに寄り添い続ける、風化をさせないという決意で取り組みたい。また世界を視野に、政党外交の推進として、野党第一党として、外交安全保障にも責任をしっかり持っていきたい」とも述べました。
あわせてこれらを着実に実施するために、党員等に関する「規約改正案」、ならびに「2020年決算」「2021年度予算(骨格)案」を提案(以下、大会議案書を参照)。規約改正について福山幹事長は「規約検討委員会において議論した党員・サポーター・パートナー制度を新党として新たに立ち上げたことはご案内の通りだ。今後も仲間づくりに対してはしっかりと対応していきたい」と説明しました。
その後、満場の拍手がスクリーンを通して映し出され、これらの提案はいずれも可決されました。
枝野代表メッセージ
大会議案が了承されたことを受け再び登壇した枝野代表は、謝辞を述べた上で、「新型感染症とそれによる影響、そして、これによって明らかになった日本社会の弱さと脆さから『命と暮らしを守る』。そのために機能する政府をつくるため、『政権交代の選択肢となる』。私は、この2つの目標を成し遂げるため、あらゆる知恵と力を絞り、全力を尽くす」と力強く宣言しました。
新型感染症をめぐっては、政府は1度目の緊急事態宣言解除後、さまざまな必要な施策を怠り、専門家や野党の指摘を聞くことなく、現在の感染爆発、医療崩壊を招いたとして、「現在の危機的状況は、『人災』そのものだ」と政府の失策を批判。「最も深刻なのは、政府と国民の間の信頼関係が、壊れてしまっていること」だと指摘し、日本が新型感染症克服するためにまず必要なのは、信頼される政治へ、現在の政治を変えることだと説きました。
枝野代表は、「感染症危機の最中に誕生した菅政権は、この期に及んでも『自助』を強調したが、今苦しい立場に追いやられている方々は、本当に自助努力が足りないのか」と提起。「断じて違う。政治にこそ責任がある」と続け、「現在起きているさまざまな問題は、ひたすら目先の効率性だけを追求し、国民の命や生活を守ることを軽視してきた、これまでの政治そのものの帰結です。だとすれば、まずは政治そのものが、変わらなければならず、そして、変えることができるのは、私たち立憲民主党しかない」と力を込めました。
その上で、「感染症対策の徹底こそが、最優先であり、かつ、経済対策の第一歩。検査体制の拡充と医療現場への支援を最優先で進め、『zeroコロナ』を目指すことで、旅行でも会食でも、国民が安心して経済活動を再開できる環境を早期に取り戻す。感染を再拡大させることのないレベルまで抑え込む。その新たな感染症対策の根本方針が、『zeroコロナ』というビジョン」と表明。
「zeroコロナ」に向けた最初のステップとして、(1)医療機関や医療従事者等に対する支援、そして病床の確保を最優先とし、命を守る砦である医療の崩壊・壊滅を食い止める(2)無症状の方を含めた感染者の早期把握と確実な隔離を進めることで、感染拡大の防止を徹底する(3)感染を封じ込めるまでの間、政治が責任を持って倒産や廃業を防ぐ補償を準備し、誰一人取り残すことがない生活支援を実現する――の3つの課題の解決を進めていくと述べました。
立憲民主党はこの間、政府与党に対して、予算案の組み換えや議員立法による法案提出を含む多くの具体的な提案を行ってきたと振り返り、安倍総理も、その後継である菅総理も、そうした提案を積極的に受け止め、実行したとは言い難い状況だと指摘。「立憲民主党こそが、この一年近くの政府の失策を検証し、可能な限りの科学的な根拠と明確なスケジュールを示して、新型感染症収束へのプランを国民に呼びかけることができる。『zeroコロナ』という明確なビジョンを通じて、国民とともに、結束して感染症に立ち向かう。それが、この危機において、本来あるべき政治の姿であり、立憲民主党の果たすべき役割だ。私は、皆さんとともに、その先頭に立って、この役割を果たしていく決意だ」と述べました。
枝野代表は、立憲民主党が目指す新しい社会の姿として、「競争と自己責任ばかりを強調する政治の転換。医療や介護、子育てや教育といったベーシックサービスの充実。希望すれば正社員になれる、安定して働ける雇用を取り戻すこと。将来不安を小さくすることで国内需要を喚起して、経済の安定的な成長の実現。分散型の自然エネルギー立国を推進し、地域経済を活性化するとともに、世界に貢献。これらを実現できる機能する政府を、特に、危機のときにこそ、暮らしを支える機能を果す政府をつくり上げていくこと」などを列挙。「『誰一人取り残されることのない社会』を、多様性に根ざした持続可能で包摂的な社会を必ずや実現しよう」と訴えました。
「こうした歴史的な使命を果たすため、来たる総選挙において、政権の選択肢となり、多くの国民の皆さんとともに、自公政権を倒して、立憲民主党を中心とする新しい政権をつくる決意だ。まずは、私たちの理念と目指す社会像をもとに、今なすべき政策を具体化した政権構想を提起する。それに賛同いただける多くの皆さんと連携しつつ、総選挙に向けて、私自身が先頭に立って幅広い有権者の皆さんに訴える」と表明。「立憲民主党が野党第一党として今この瞬間存在していることの歴史的な使命を、ぜひ、ともに引き受け、新しい政権をともに作り上げていきましょう」と呼びかけました。
最後に、「何としても国民の命と暮らしを守る。命と暮らしを守ることのできる政権をつくる」とあらためて強調。「自己責任から支え合いへ。『zeroコロナ』の日本へ。あなたのための政治へ。『政権の選択肢へ』。そして、新しい政権をつくり、国民とともに、この危機を克服する。その決意を、皆さんと共有して前に進むことをお約束する」と締めくくりました。※全文は別記事参照
候補予定者紹介、千葉7区・竹内千春さんが決意表明
続いて、今年総選挙に臨む現職、非現職を含めた衆院総支部長を代表し、千葉7区の竹内千春さんが決意表明しました。
竹内さんは、短大の教員時代に卒業生から受けたセクハラの相談をきっかけに、被害者でありながら、会社や加害者に声を上げることなく会社を辞めていこうとする、弱い立場の者が我慢をするという社会の理不尽さに直面し、公正な社会を実現するため一念発起。40歳で弁護士となり活動していたが、根本的な解決のためには、背景にある社会を変えていく必要があると、政治家になる決意をしたと自己紹介。「長い間自民党の1強体制が続くなか、空気を読み合い、長いものに巻かれようという流れが強くなってきている気がする。政治家は国民を見ておらず、国民には政治家が見えなくなり、声を上げても変わらない、誰がやっても同じという空気が蔓延し、ますます国民の気持ちは政治から離れている。投票率は下がり、国民の格差は拡大、弱い者は切り捨てられている。その姿がコロナ禍のなかで露呈している」と危機感を示し、そうしたなか出会った、3人の子どもを育てるシングルマザーの方から「政治には興味がなかったし、コロナの対策を見ても国が何をしているのかは分からないけれど、竹内さんのチラシを見て応援したいと思った。自分も見て調べて考えていきたい」と声をかけられ、勇気づけられたと話しました。
「このような声を絶対に裏切ってはいけない。今こそ公正な社会正義が貫かれるべき。閉塞感を打ち砕き、国民の皆さんが政治に自分たちの声を届けよう、投票に行こう、参加すれば政治は変わるという希望を持てる社会に変えていきたい」と表明。そのためには石にかじりついてでも国会にたどり着かなければならない。やれることはすべてやり、理不尽を諦めずに頑張っていきたい」と力を込めました。
岸議長より閉会の辞
最後に岸議長より閉会の辞が述べられました。岸議長は「COVID-19(新型コロナウイルス)の感染拡大が止まらない中、多くの方々がご自身やご家族、友人の感染に不安を抱いていらっしゃいます。また医療、介護、子育て関係などエッセンシャルワーカーの皆さんが懸命に社会を支えて頂いておられます。感染拡大で仕事を失い、住居を失い、そして未来への希望を失った方も数多くいらつしゃいます。こうした社会を変えなくてはいけない、一人ひとりの命と暮らしを守っていかなければならない。私たちは、こうした思いを本日の大会で改めて共有しました。この思いを胸に、『あなたのための政治』を実現していきます。党員、サポーターズ、パートナーズの皆様、ネットでご覧いただいている皆さま、是非とも私たちの思いをご理解頂き、そして一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます」との発言があり、今定期大会は終了しました。