衆院本会議で18日、内閣提出法案「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案(医療法等改正案)」と並行して、議員立法「コロナ対応医療従事者等慰労金法案」(野党提出)が審議され、「立憲民主・無所属」会派を代表して山川百合子議員が登壇しました。

 冒頭、昨年11月にNTT澤田社長とNTTドコモ役員と会食したと週刊文春に報道された武田総務大臣に事実関係をただし、武田大臣は両氏が参加する会食に参加した事実を認めたものの、NTT関係者から許認可に関する要望はなく、大臣規範に抵触していないと答弁しました。

 続いて、1都3県に発出されている緊急事態宣言を変異株の感染拡大が懸念されている中で解除することについて、田村厚労大臣に見解を求めました。田村大臣は変異株対策の強化とワクチン接種を推進していく考えを示しました。

■議員立法「コロナ対応医療従事者等慰労金法案」について

 山川議員は、法案提出者に(1)慰労金の再支給の必要性についてどのように認識しているか(2)政府が「第1波」で支給した慰労金は、医療機関、介護・障がい福祉サービス事業所等に勤務されている方に対象が限定されていたが、野党の法案で対象を拡大している趣旨――について質問しました。

 法案提出者で国民民主党の浅野哲議員は、再支給の必要性について医療従事者のストレスは長期化し、心身の疲労は限界に達していることや、政府の予備費による医療従事者の人件費の補助が、処遇改善に結びつくか担保されていないことなどを挙げ、一刻も早く、再び20万円の慰労金を支給するとともに、昨年7月以降に働き始めた医療従事者等に5万円又は10万円の慰労金を支給すべきだと答弁しました。

 同じく法案提出者の立憲民主党・早稲田夕季議員は対象を拡大している趣旨について、COVID-19との闘いが長期化する中で、医療従事者が安心して働けるのは、休業や閉園せずにがんばってくれている保育園などの子育て支援施設のおかげだと述べ、保育士、幼稚園教諭、学童指導員にも慰労金を支給すべきと主張しました。

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答弁する早稲田夕季議員
■内閣提出法案「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案」について

 山川議員は、新興感染症が発生した場合、国家の公衆衛生の「要」は、ワクチン開発と保健医療制度にあると述べ、日本はワクチン開発では大幅に遅れをとり、外国製のワクチンの輸入に頼らざる得ない状況である一方、公衆衛生は国民皆保険制度を基盤とする健康医療体制によって支えられ、コロナ禍による被害が比較的緩やかに抑制されていると現状を説明しました。
 その上で、病床数、医師や看護師の定数削減を意図した保健医療制度改革は、コロナ禍が収束してから行うべきだと主張しました。

 菅総理が過日唐突に発言した「皆保険制度の見直し」の真意と今回の医療法等改正の目的について、リストラを前提としているのか田村厚労大臣にただしました。
 田村大臣は「リストラではない」と答弁し、新興感染症に対応するために、医師の働き方改革を含めて医療体制を整備していく考えを示しました。

 地域医療構想について、政府は都道府県に任せるのではなく、国の責任において今後の課題に応える医療体制をどう整備していくのか、その大元の議論が必要だと訴え、特に公立・公的医療機関の病床数を確保するために、不採算部門を請け負う公立病院の補助や交付税参入を提言しました。

 また、病床の削減等を行った医療機関に財政支援を実施する「病床機能再編支援事業」について、「コロナ禍で消費増税分をあててまでなぜ病床削減のための予算を増やしたのか、理解に苦しむ」と痛烈に批判し、本事業の中止を強く求めました。

 医師の働き方改革について、「平時の医師の働き方に関する法案を審議するのではなく、新型コロナウイルスの感染者を減らすことが医療従事者の肉体的・精神的負担を減らす最も有効な方策だ」と主張しました。
 そのために、立憲民主党では、エッセンシャルワーカーや陽性者の周囲への公費検査の実施、ゲノム解析を積極的に行い感染ルートの把握を徹底すること等により、感染を封じ込めることを提案していると説明しました。

 さらに、ワクチン接種に協力する医療機関や医療従事者に対して、協力金等の支給や減収補填などの支援措置、収入の減った全ての医療機関への経済的支援は、医師の働き方改革の前提と言っても過言ではないと進言しました。

0318衆院本会議 医療法改正案、医療従事者慰労金法案への質問(予定稿) 20210317.pdf