参院予算委員会で26日、2021年度予算3案に係る質疑が終局し、立憲民主党から石川大我議員が反対討論をおこないました。
石川議員は東京電力福島第一原子力発電所の汚染水の問題を取り上げ、「多くの避難民は未だに故郷に帰れる状況ではありません。果たしてこれが復興した日本の姿なのでしょうか」と問いかけ、原発事故に対する政府の姿勢を批判しました。
また、総務省を巡る接待疑惑で失われたのは総務省の信頼だけではないとし、「菅総理の看板政策である携帯料金値下げや菅総理のご子息が勤める会社へのチャンネル利権のために、国民共通の財産である通信市場の『自由と公正』が奪われた。日本という国の信頼も大きく傷付いた」と述べました。
石川議員は同性婚の問題を取り上げ、「政府は、同性婚を求める人たちの切実な声に耳を傾けようとしない」と指摘しました。立憲民主党が2019年に婚姻平等法案を既に提出していることに言及し、札幌地裁での違憲判決を受け、すみやかに法の下の平等に適う制度を整えるべきだと訴えました。
新型コロナウイルス感染症について、「最優先すべきは、何よりもコロナ対策。ところが、感染拡大から1年も経過しているのに、国は満足な検査体制や医療体制を整えず、ワクチン接種も進まず、経済的に困っている人々を救おうともしない」とし、新型コロナウイルス感染拡大防止のための予算として明示されているのは新型コロナウイルス感染症対策予備費5兆円を除けば、具体的な項目は乏しく「それらの予算額すべてを足しても、一般会計予算歳出の約107兆に占める割合はごくわずか」と批判しました
一方で、コロナ対策とは関係の薄い、従来型の歳出は野放図のまま膨張を続けているとし、「とりわけ防衛関係予算については、5兆3422億円と、7年連続で過去最大を更新。断念したはずの陸上型イージス・アショアを護衛艦搭載に切り替えるなど膨大な無駄と矛盾が生じてる」と指摘しました。公共事業費についても約6.1兆円が計上されており、政府は2020年度当初予算との増減は0%と説明しているものの、既に2020年度第3次補正予算で国土強靭化の名目で2兆円が計上されており、実質的には増えていることから、公共事業費の膨張は極めて問題だと批判しました。
石川議員は、政府予算案は「新型コロナウイルス対策という今最も必要とされている予算が極めて手薄である一方、本来、不要不急でカットすべき従来型の予算が膨張している、極めていびつで一人ひとりの国民に寄り添っていない。このような予算案を、私たちは決して容認することはできない」と述べ、討論をしめくくりました。
討論の後、2021年度予算3案の採決がおこなわれ、与党等の賛成多数で可決しました。