枝野幸男代表記者会見

2021年4月2日(金)14時00分~14時49分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/4VxBPSMBH7U


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○三井辨雄氏ご逝去の報に接して

【代表】
 冒頭、かつての同僚議員でございました三井辨雄さんがご逝去されたというニュースが入ってまいりました。厚生労働大臣(当時)、私は経産大臣のときに同じ内閣で務めさせていただきました。大変残念でございます。薬剤師のご出身ということもあって、医療や介護、特に介護分野などで非常に現場の実態を踏まえた仕事を積み重ねておられました。心から哀悼の意を表したいと思いますし、今回補欠選挙が行われる北海道2区で選出をされていた議員でございます。松木謙公さんはいわばその後継者ということになります。三井さんのこれまでの業績にお応えする上でも、この議席しっかりと取り戻したいと改めて決意をしております。

○新型コロナ再拡大 3府県への「まん延防止措置」適用について

【代表】
 さて、昨日、大阪・兵庫・宮城の3府県に「まん延防止等重点措置」を適用するということが決まりました。特に大阪と兵庫は「緊急事態宣言」解除からわずか1カ月余りで再び住民の皆さん、特に事業者の皆さんに、不自由な生活、厳しい事業経営を求めることになります。拙速な解除はリバウンドが早期に起こるということを我々厳しく指摘をする中で、それを振り切って解除したあげくがこの結果であります。その政治責任は極めて重いと言わざるを得ません。
 既にCOVID-19新型感染症によって、感染者数は50万人近くに達しています。48万人と。亡くなられた方も9000人を超えておられます。特に去年9月、菅政権発足以降、亡くなられた方の84%、7700人の方がお亡くなりになっております。この間、我々の強い指摘にもかかわらず「Go To トラベル」に走り、その停止が遅れ、「緊急事態宣言」も遅れた。そして我々が強く指摘をし、大阪・兵庫の解除の際ではありませんが、東京・首都圏などの解除の際には、これでリバウンドしたら内閣総辞職では済みませんよということを国会でも明確に指摘をしたが、東京でもこれこそ1カ月もたたず10日余りで明確なリバウンドという状況になっております。これは残念ながら人災と言わざるを得ません。
 昨年の今ごろ時点では、COVID-19の特徴・性質があまりよくわからない状況、そして初動ということで態勢が整っていない中での動きでありました。したがって政府が完璧な対応ができなかったことについてはやむを得ない部分はあったと思っています。しかし、第3波を招いたこと、そして第3波に対して適切な対応を打たずに、拙速な解除を行って、今、第4波を迎えようとしている。これは明らかに政治の失敗であるということを厳しく指摘せざるを得ないと思っています。
 そもそも今回の3府県に対する決定も、「まん延防止等重点措置」でございますが、既にこうした地域は蔓延している地域であります。蔓延を防止する措置としてはもうとっくの昔に手遅れであって、既に感染が蔓延をしている状況に対してやるべきは「緊急事態宣言」であるということを指摘しておきたいと思います。残念ながらこれでは十分な効果は上がらないと思っておりますし、首都圏については「まん延防止等重点措置」もとられていない中で、このままいくと、去年もゴールデンウィーク、夏休み、そして年末年始、またゴールデンウィークに感染の山が来ると。これはそうなってしまいますよということを私どもは1月、2月から申し上げてきています。残念ながら我々の指摘した、そうなってしまったら本当に事業者にとって死活問題であるということを厳しく指摘しておきたいと思います。

○子ども・子育て政策 「こども庁」「35人学級」について

【代表】
 二つ目に、菅総理はきのう突然「こども庁」の創設に向けた検討指示を出したと伝えられております。
 子どもにかかわる政策は確かに役所の縦割りになっており、一元的に扱う省庁は必要でありますが、我々野党がチルドレンファーストという政策を掲げて「子ども家庭省」が必要であると訴えたのはもう15年も前のことであります。15年も遅れて今ごろ何を言っているんだと言わざるを得ません。しかも今思いついたかのような話で何ら具体性を持っていない。しかもこの間、子どもの貧困対策について全く不十分で、いわゆる子ども食堂なども共助に任せるような、子ども政策に対して大変後ろ向きな政策を積み重ねてきておいて何を言っているんだというふうに指摘をしたいと思います。
 旧立憲民主党も旧国民民主党も前回の参議院選挙で「子ども家庭省」の設置を明確に公約として掲げておりますので、国会で議論をしていただければ、総選挙なんか待たなくたって、この国会中に「こども省」なり「こども庁」なり設立することは可能でありますので、ぜひ与野党協議していただきたい。本気であるならば、それを求めたいと思っています。
 また、中身についても、「こども庁」という呼び方をしておりますと既存の文部科学省や厚生労働省など各省にまたがっているその権限を残したまま内閣府に横串の「こども庁」を置くという考え方としか受け取れませんが、これでは全く無意味であります。本当に一元化をするのであれば、厚生労働省や文部科学省の権限の一部あるいはかなりの部分を切り分けて「子ども家庭省」に一元化して実際の直接的な権限まで持たせなければ、むしろ縦割りと横割りの二重の壁ができてしまうということになる。あくまでも既存の文部科学省や厚生労働省の権限に手をつけることが前提でなければ全くのやったふりに過ぎないということを厳しく指摘をしておきたいと思います。
 子ども関連ではようやく35人学級の法案が今週水曜日に成立いたしました。この35人学級も10年越しでずっと我々が求めてきたことであり、10年、いや、へたをすると20年遅かったと言わざるを得ませんが、これについては評価をしたいと思っているところでございます。

○補選・再選挙について

【代表】
 今月25日に三つの選挙、補欠選挙と再選挙が行われます。菅政権発足後初めての国政選挙になります。COVID-19対策を初め菅総理の政権運営が問われる選挙だと思っております。それぞれの地域の努力によって、いずれの選挙区でも有権者の皆さんに明確な選択肢を自信を持ってお示しをすることができたと考えております。残された時間は多くありませんが、全ての選挙区で勝利できるよう、党を挙げて取り組んでまいります。


■質疑

○基本政策について(1)

【フリーランス・宮崎記者】
 立憲民主党基本政策を3月30日に出されたが、今あった「こども庁」の関係ではないが、児童手当に関して所得制限なく全員にとしているかと思うが、今、政府のほうで国会では再度所得制限に関する法案が出ている。これに関して伺いたいのと、この民主党基本政策、ここ10年で一番よくできている、まとまっていると私は感じた。この○が117本あるが、その中で一番長いのが112文字。ツイッターは140文字まで入るから、コロナ禍での大変な総選挙ということもあり得べしかと思うが、そういったところも考えて政策の発信というのを、「子ども家庭省」も含めて今後選挙に向けてされていきたいと思われるか。

【代表】
 まず児童手当、子ども手当については、残念ながらかつての民主党政権でチャレンジをしましたが所得制限を、国会の同意を得られなかった、自民党の賛同を得られなかったということの中で、つけざるを得ませんでした。しかし、これは普遍主義という明確な哲学に基づいております。政府が国民の生活、人生を営んでいく上で必要最低限のその下支えというものについては立場に関係なく全ての皆さん、特に子どもを社会の宝として社会全体で育てるということについては、所得が低いから特別に助けてあげるという考え方ではなく全ての子どもの育ちを等しく支援をしていく。こういう明確な哲学に基づいた政策であります。そうした哲学・理念というものが十分に共有できないまま2009年政権では残念ながら挫折をせざるを得ませんでしたが、その理念の重要性はますます高まっていると思っております。そうした意味で、所得制限をこうした問題についてはつけるべきではない。高額所得者などに対しての支給については所得税などを通じて必要に応じて給付した分あるいはそれ以上を税という形でお払いいただくということが本来のあるべき姿だと、そこに近づけていきたいと思っています。
 基本政策についてご評価いただきありがとうございます。ツイッターの文字数まで意識したわけではありませんが、できるだけ一つ一つのセンテンス、項目は短いほうがいいだろうという意識は一定程度働かせました。ご指摘いただいて全部が一つの項目ごとにツイッターに載るというのは大変いい示唆をいただきましたので参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○「入管法改正案」「難民等保護法案」について(1)

【フリーランス・西中記者】
 幹事長や政調会長にも質問したが、4月12日から衆議院法務委員会で入管法改正案の審議が始まると言われている。入管の長期収容問題、難民認定が非常に低く0.4%程度しか認定されない状況の中で、長期収容が続いている方がたくさんいて、その中で、先日も名古屋入管でスリランカ人の女性が死亡したが、死亡事案がこの十数年の間に20件近く起こっている。そのうち5人は自殺だ。入管法はそもそも1951年、GHQ占領下でできた法律で、朝鮮戦争で逃げてきた人や在日朝鮮人の方たちを強制送還するためにできた。その退去強制手続がそのまま手つかずで来ている状態の法律で、その中で長期収容問題がある。そういった中での改正案で、立憲民主も難民問題の懇談会を野党でつくり対案を参議院に提出され、きょうもヒアリングがあり、今まで14回やっている。参議院は対案を出し、政府案を絶対に通させないと、新たな難民保護法・入管法をつくらなくてはと取り組んでいるが、衆議院のほうでは対案を出そうという動きがなくストップしている。最大野党が衆参で違う戦略で戦っていいのかどうか、衆議院で政府案を廃案あるいは閣議決定撤回させるような動きが本当につくれるのかどうか、これはまさに政治判断で代表がきちっとこういうふうにすべきだと、対案をきちっと衆議院でも独自に提出すべきだと決断されるべきタイミングではないか。

【代表】
 我々の考え方は、参議院でいわゆる対案、我々の案を示していますので、我々の考え方は明確であります。国会対策的にどういうやり方をしたほうがその我々の考え方を実現に近づけることができるのかというのは、高度な政治判断です。その高度な政治判断に基づいて、今、国対や政調でそういう処理をしていると思います。
 ここで具体的なことを言うと手の内をさらして自民党を利することになるのですが、幹事長にもお尋ねになったのであえて申し上げますが、例えば対案を同じ院に出せば審議を促進することになります。あなたの対案もあるんだから両論並べて審議しましょうと、一定時間審議したんだから両論採決しましょうと、こういうことになります。そのほうがいいでしょうか。

【フリーランス・西中記者】
 では徹底的に政府案・閣法に対して対峙していくと。

【代表】
 徹底的というのは、皆さん主観によっていろいろ違います。現状では、残念ながら今、新型コロナ感染症という緊急事態のもとでありますので、我々予算だって途中で審議をとめたかったけれども、とめることはしなかったし、日切れ法案もとめることはしませんでした。それは今はこの緊急事態に対する対応が最優先だと思います。

【フリーランス・西中記者】
 今の入管法は例えばアパルトヘイト法とかナチスドイツがつくったニュルンベルク法に匹敵するような法で、こんな法律を残すことは選挙対策とかコロナ対策とは関係ないと思う。

【代表】
 選挙対策は関係ありません。今そんなことを申し上げていません。
 しかし(新型)コロナ対策は、100年に一度の国家的な危機です。あらゆることがこれを優先せざるを得ない状況にあります。例えば2011年の4月に、原発事故と東日本大震災と、それ以外のことのために例えば当時進めていた震災対策にブレーキをかけられたら、それはやはり国民は許さなかったと思います。やはりそういうことはそのときそのときの優先順位があると思っています。今はCOVID-19対策が最重点政策です。その中で、我々は今の政府の考え方は間違っていると思っていますから、できる最大限のことはやります。

○「まん延防止措置」「デジタル関連法案」「坂井副長官会合」について

【毎日新聞・宮原記者】
 冒頭あった「まん延防止等重点措置」について、今から蔓延防止というところが不十分ではないかということも含めて、5月5日までとなっているが、これによって感染者が減らなかったり、この「まん延防止等重点措置」の対象地域が今後広がっていった場合の政治的責任をどう考えるかと、そのとき野党としてはどう対峙していくかが1点目。
 本日内閣委員会で可決されたデジタル改革関連法案について、立憲としては個人情報保護の観点などから修正案を出されたが、部分的にしか受け入れられなかったということで、束ねられた5法案のうち3本案には反対された。改めて関連法案について懸念点をどのように考えるか、また今後の衆院本会議・参院審議でどのような点をただしていきたいかが2点目。
 最後に3点目。坂井官房副長官が官邸内で多人数で会食をしていた件が問題になっている。コロナ禍でというのもあるが、そもそも政務のそういったことを官邸でやること自体がどうなのかというのがあるが、代表としての受けとめをお願いしたい。

【代表】
 1点目ですが、特に大阪はみずから「緊急事態宣言」の早期解除を、そして政府もそれに応えて早期解除したら、1カ月ほどで今の状態を招いてしまっています。これでこの「まん延防止等重点措置」が予定の効果が上がらなければ、内閣は総辞職だし、大阪府知事も辞職ものだと思っています。
 デジタル関連法案ですが、本当に一定評価できる部分と、特に個人情報保護や地方自治を損ないかねないという大変深刻な問題をはらんでいるものが全体1本の束ねで出されていました。これが束ねと言いながらも五つに分割されて採決されたことは一定評価したいと思います。我々としても我々の姿勢を明確に、どこがおかしいと思っているのかを示すことができました。これによって参議院審議は採決を分けた五つのまとまりで審議できますので、我々も賛同していて多くの国民の皆さんも問題ないと思っているところを先行して成立させるべきではないか。反対・異論の多い個人情報保護にかかわる問題あるいは地方自治にかかわる問題と分離審議をするべきではないか。それが真摯な態度だと、そのことを求めたいと思っています。
 坂井官房副長官はなぜ辞任しないのか、私は不思議です。辞職ものだと思います。当然責任をとって辞職をされるのが当然です。それはもちろん政務と党務の区別、それがさらに閥務みたいな話ですから、線引き難しいところはありますが、何の官邸でやる合理的な理由、必要性もない中で、ただ官邸を見たい、副長官室を見たい、それでこの時期に、しかも弁当とかで食事をともにする。もうそのこと自体、それは23人の(会食の件で)課長が事実上更迭された以上の責任だと思っています。当然おやめになるべきです。

○外交・安保政策について

【読売新聞・田村記者】
 今月中にも日米首脳会談があり、外交・安保政策について伺いたい。代表はこの半年間でアメリカの下院議員や知日派の専門家の方々とオンラインで会談されていると思います。改めてだが、中国が覇権主義的な動きを強めている中で、対米関係・日米同盟・対中戦略をどのように考えているか。

【代表】
 日米関係が我が国の外交の基軸であると、健全な日米同盟を堅持推進するという我々基本的な立場であります。同時に、両国の70年にわたる同盟関係があるわけですから、我が国として言うべきこともしっかりと言う。例えば日米地位協定の問題であるとか辺野古の建設問題などについて、いきなり結論を出すことはできなくても、きちっと言うべきことを言う。そうした姿勢が今の政権には足りないと思っていますが、日米同盟をしっかり堅持発展させる範囲の中で言うべきことを言っていくという外交姿勢でやっていきたいと思っていますし、実際にアメリカのさまざまな有識者の皆さんとネットを通じてですが会談させていただくと、改めて、当然のことなのですが、アメリカといっても多様な意見があり多様な見方がある。政府の公式見解だけでお互いにやり合っていたのでは深みのある同盟関係はつくれないと思っていますので、さらに幅広いアメリカ側の有識者の皆さんと、当面はネットを通じてですが、コミュニケーションを深めていきたいと思っています。
 中国の覇権主義的な動きについては、一つには海警法はやはり国際法に反するものであり、我が国として毅然たる姿勢を関係諸国とともに進めていくべきであると思っています。さらに、さまざまな人権問題を抱えていますが、特に足元では香港について、北京政府が勝手に事実上被選挙権を制約するような法律をつくって押しつける、これによって一国二制度は中国によって一方的に破棄された。一国二制度は国際約束だと思っていますので、これも国際社会に対する重大な背信行為だと思っていますし、被選挙権を制約するのは民主主義とは言えません。寡頭制とか貴族制の変形だと、もはや香港の民主主義は破壊されたと思っています。こうしたことに対しては毅然とした姿勢で臨むべきだと思っています。

○国民投票法改正案について

【読売新聞・田村記者】
 衆院憲法審査会について伺いたい。国民投票法改正案について、昨年の臨時国会で今国会中に何らかの結論を出すということになったが、現時点で今国会中での採決はどのようにお考えか。

【代表】
 憲法審査会を含め各委員会の動きについては国会対策委員会に任せておりますし、何か問題があれば相談があると思いますが、特に問題がないので相談がないのだと思います。国対委員長に聞いてください。

【読売新聞・田村記者】
 現時点でCM規制などの議論は十分だとお考えか。

【代表】
 全く十分でないのは、もうどう見たって明らかではないですか。まず私を参考人に呼んでくださいよ、ずっと何年も前から言っているではないですか。私と船田先生を参考人で呼ぶところからが全てはスタートだと思いますよ。そのスタートラインに立っていません。

○新型コロナ再拡大 「まん延防止措置」適用について

【朝日新聞・吉川記者】
 代表は先ほど大阪・兵庫・宮城に「まん延防止等重点措置」ではなく「緊急事態宣言」をというお話しされていたが、ほかの地域で「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」を出すべきだとお考えのところはあるか。

【代表】
 残念ながら我々は政府と違って都道府県ごとの詳細なデータをリアルタイムで手にすることができませんので、一種網羅的に指摘をするとそれはそれでまたミスリードすることになるのではないかと思っています。これら3県は政府が判断するに当たって一定の情報根拠を開示していただきましたので、我々としても責任を持って判断ができる、意見が申し上げられるという状況です。ただ、かなり連日詳細に報道されている東京、もし「まん延防止等重点措置」を今使うのであるならば、東京がぎりぎりではないか。ここももはや「緊急事態宣言」に近いと思っていますが、そういう状況だし、これに連動して東京が伸びれば私の地元の埼玉を含めていや応なく伸びるというのは過去の経験則からはっきりしていますので、首都圏の周辺地域を「まん延防止等重点措置」をとるとすれば、こういったところについて検討する必要があると思っています。

○国民民主党との協力関係について

【朝日新聞・吉川記者】
 このところ憲法審への対応やデジタル関連法案の賛否で国民民主党との違った対応というのが続いているが、これによる選挙に向けた国民民主党との協力関係への影響をどう考えているか。

【代表】
 全ての政策が一致したら同じ党ですから。

【朝日新聞・吉川記者】
 影響はないと。

【代表】
 当たり前です。

○基本政策について(2)

【西日本新聞・川口記者】
 3月30日に策定された基本政策について、改めて代表から、党にとっての位置づけや策定した意義と、有権者の方にどのように読んでほしいか伺いたい。

【代表】
 党が目指すべき社会というのは綱領で、これはもう党大会決定事項ですから、まさに一種の憲法のようなものですね。これが明確になっていますので、私はこれがあれば、あとはその都度その都度の状況に応じて最優先課題をピックアップした選挙政策のようなものがあれば十分ではないのかと思ってはいたのですが、ただ、憲法があって何とか基本法があって実施法があるみたいな感じで、もうちょっと綱領を具体化して、でも個別の足元の政策とはレベルが違う中長期的なものをつくったほうがいいのではないかと政調会長がおっしゃったので、いいのではないですかと、そういうことです。
 具体的にどう伝えていくか。もう選挙が近いので、基本政策をどう伝えるかよりも、選挙に向けて何を訴えていくのかということが大事だと思っています。

【西日本新聞・川口記者】
 党のホームページに行けば当然綱領もきちんと書かれているわけで、この基本政策の中にあえて綱領を抜粋してその下に書くという形にした理由は。

【代表】
 基本政策の性格が、綱領をもうちょっと具体化すると。足元の具体的な政策とは違うが、綱領だけでは抽象度が高いから、もうちょっと、抽象的だけれども具体的なものを示したほうがいいということが基本政策の意味ですので、綱領のどの部分をこう具体化したんですということを示したほうがわかりやすいではないですか。

【西日本新聞・川口記者】
 エネルギー政策のところで、原発の再稼働について、「東京電力福島第一原子力発電所事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原子力発電所の再稼働は認めません」とあるが、この三つの条件をわざわざつけることによって逆に無条件の再稼働を認めないということではないとも読み取れるような気がするが、ここで無条件に再稼働は認めませんと書かなかった理由は。

【代表】
 なぜ原発を我々やめていくのかといったら、リスクが高過ぎるからです。そのリスクがないならば別に使ったらいいわけですが、現に福島で事故が起こっているし、その検証も全く進んでいないわけですし、地元の立地自治体そのものは賛成するケースが多くても、福島で実際30キロ圏まで影響を受けている、そうした皆さんの全体の賛同を得られている地域は一つもありません。安全で地域の賛同が得られるのなら問題ないのだけれども、安全が確認できていないからやめなければいけないし、少なくとも安全が確認されることはないと私は思っていますので、あまり言っていることは違わないと思います。

【西日本新聞・川口記者】
 自民党さんは、安全が確認された場合は再稼働すると。

【代表】
 安全が確認されるはずがないのです。3.11の前の原発も、安全安心で、津波なんか来ても大丈夫だと、安倍さんが言っていたのですね、国会で。だけどあんなことになったので、安全が確認されるということが本当にあり得るのか。私はないと思いますが。

【西日本新聞・川口記者】
 それだったら無条件に再稼働は認めませんと書いたほうが。

【代表】
 つまり原発を抽象的にだめだと言っているのではなく、絶対の安全ということはないのではないか、安全でないとすれば、また福島の事故のようなことが起こったら本当に大変なことになりますよねという、なぜだめなのかということをしっかりと示しているということだと思います。綱領でちゃんと我々は原発のない社会を目指すと、そのことを明確に示しているのですから、そのことはなぜなのかということをもうちょっと具体的にお示ししたということです。

○参院長野補選について(1)

【西日本新聞・川口記者】
 3月17日に連合で神津会長と面会された際に、枝野代表から、長野補選のようなことが二度と繰り返すことがあってはならないというような言葉を言われたのかどうかについて伺いたい。

【代表】
 非常に高度な政治的なやりとりですので、何を聞かれても、そのやりとり、具体的に何を言ったとか言わないとかについてはお答えするつもりはありません。相手との信頼関係もあります。

○「解散めぐる報道」「zeroコロナ」について

【IWJ・浜本記者】
 4月28日か30日にも衆議院解散し、その後の総選挙は5月1日告示、23日投開票かという観測が「週刊朝日」によって報じられている。野党は与党との違いをどのような形で有権者に示すおつもりか。特に新型コロナについて、政府・与党はここまでPCR検査を抑制し、ずるずるだらだらと中途半端な政策を行うことで状況を悪化させてきたと思うが、野党はゼロコロナ政策を通じてこれまでの政府・与党の政策とは一線を画した対策を今こそ示すことができるのか。政府・与党との具体的な違いをお聞きしたい。

【代表】
 まず解散についてですが、それは内閣が内閣の責任で行われるという憲法の解釈になっていますので、それは内閣がお決めになることでしょうが、この感染状況のもとで選挙をやるなんていう無責任なことは到底許されることではないと私は思っていますし、もしこんな状況で解散すれば、その無責任な姿勢こそが最大の争点になると思っておりますので、私は今、解散はすべきではないと。いや、我が党の損得だけ考えたら、きょうも地元で街頭演説やってきましたが、それは早くやってもらったらありがたいけれども、それはそんな状況ではないというのはもうどう考えても明白だと思っています。
 それから「zeroコロナ(ゼロコロナ)」戦略も1年にわたって具体的なことを我々は提案し続けてきていますので、違いはもう明確だと思っています。

○基本政策について(3)

【共同通信・玉井記者】
 改めて基本政策の中で、代表がかねてからおっしゃっているベーシックサービスや、選択的夫婦別姓の実現、同性婚を可能とする法整備等も明記された点についてのご感想、ご評価をお願いしたい。

【代表】
 もうこれは本当に政調で3回も全議員懇談会を、原案をつくるまでにやっていただいて、ボトムアップで上がってきたので、特段私から感想はありません。

○参院長野補選について(2)

【共同通信・玉井記者】
 国民民主党が参院長野選挙区での推薦を撤回する動きを見せている。この間の立憲民主と共産党との距離感が今回の事態を誘引したのではないかという見方もあるが、野党連携と共産党との距離感についてどうあるべきとお考えかお聞きしたい。

【代表】
 今回の三つの補欠選挙それぞれどれにおいても立憲民主党の公認あるいは立憲民主党系の候補者で事実上野党を一本化していただいたことは、関係する各政党や団体の皆さんに感謝をしています。それぞれ政党や団体ごとにそれぞれの意見とか立場というものがあるわけですから、我々としてはできるだけ幅広い皆さんに応援をしていただきたいと思いますが、それぞれの事情でできる範囲で応援をしていただければありがたい。いずれにしろ一本化していただいたことが何よりもありがたいと思っています。

○国会対応について(1)

【共同通信・玉井記者】
 内閣不信任案について伺いたい。先日、野党が持っている数少ない武器だとおっしゃっていたが、武田総務大臣の不信任が提出され否決されたことも踏まえ、改めて内閣不信任決議案に対する考え方をお聞きしたい。

【代表】
 もう今の政府の状況は、あしたにでも出したいような、もう内閣とても信認できる状況ではありません。ただ、今、危機管理の真っただ中にあるという状況の中で、少なくとも解散・総選挙による政治空白をつくれる状況ではないというのはどう考えてもはっきりしていると思っています。そうしたことの中でも、日本ではあまり例はありませんが、他の議員内閣制の国によっては、こうした危機のときに政府が機能しなければ少数与党による危機管理・選挙管理内閣をつくって目の前の危機を乗り越えて選挙を行うということは各国の例ではいろいろありますし、日本では戦前、制度は違いますが、そうした少数与党で危機管理と選挙管理を行うという前例はあります。私はそれを求めていきたいと思っています。

○参院長野補選について(3)

【信濃毎日新聞・実延記者】
 長野補選についてお尋ねしたい。羽田次郎氏が2月に結んだ政策協定をめぐる一連の件で、代表は以前、こうしたことを起こさないように地方組織などで外部の皆さんといろいろなことがあるときには必ず党本部に相談をするように選対委員長から徹底することを申し上げたとおっしゃった。一方、地元長野の連合関係者からは、そもそも党本部のガバナンス不足を指摘する声も今回の件で上がっている。今回の件で党本部の責任の所在についていかがお考えか。

【代表】
 まさに事前に相談もなく地元でいろいろなことを進められた、それはまさにガバナンスの不足と言われれば、そうですねと申し上げるしかないし、そのことを連合会長にもおわび申し上げました。

○「河井夫妻買収事件」「参院広島再選挙」について

【中国新聞・桑原記者】
 河井夫妻の問題について大きく2点伺いたい。
 1点目は河井克行議員だが、きのうの本会議で正式に議員辞職が許可された。この件に関する代表の受けとめと、まだ疑惑が解明していない部分がある。例えば買収原資の追究について、そういった点を今後どのように追及していくかと、あわせて克行被告本人を国会に招致するお考えはあるか。

【代表】
 もう本人がちゃんと説明してくださいと、国会に出てきてくださいと、野党としてはもう一貫して求めています。これを拒否しているのは自民党だということを強調したい。私に尋ねるよりも自民党になぜ拒否しているのかということを聞いていただきたい問題だと思っています。
 辞職については、もちろん刑事事件においては無罪を主張する権利がありますから、それは一定考慮しなければいけないことではありますが、しかし結局、事実関係、つまり犯罪事案の、起訴事案の大部分を認めているわけですよね。それは初めからわかっていたわけですよね。初めから自分は有罪でどこかで認めざるを得ないんだという状況にもかかわらず国会議員の座にしがみついて歳費等を受け取り続けていたというのは一種詐欺にも匹敵する。これで二重三重に許されない行為であると思っています。

【中国新聞・桑原記者】
 2点目、妻の案里前参院議員について、一連のことで広島の再選挙が来週から告示されるわけだが、政治と金の問題について、今回立憲も含めて野党で推薦される宮口さんも、自民党・公明党の立てる候補も、双方ともに政治と金について問題に挙げている。立憲としてはどのように有権者に訴えていくのかということと、代表みずからが広島入りするようなおつもりはあるか。

【代表】
 まず前者ですが、政治と金の話は、有権者が投票をするに当たって大きな要素になるだろうと思っていますが、積極的にそのことを訴える選挙だと思っていません。そのことを大前提とした上で、宮口候補そして我々は新型感染症対策についても先ほどの話のとおり「zeroコロナ」戦略という明確な対案を示し今の政府の失敗を具体的に示しています。そうしたことをきちっと訴えていくということ。それから宮口さんご自身が障がいをお持ちのお子さんをお育てになってこられたことなどを含めたみずからの経験に基づく一人ひとりの暮らしを支えるためのビジョンというものを明確にお持ちの候補者で、そうしたことをしっかりと訴えていく。(政治と金の問題は)有権者の投票行動を左右するという意味では重要な争点ですが、あえてそのことを積極的に訴えるよりも、我々としてのここから先の主張を明確に訴えていきたいと思っています。
 広島に応援に入ることについては、感染症の状況を横目でにらみながらですが、当然前半のうちに一度行きたいとは思っています。

○政治分野におけるジェンダー平等推進について

【TBSラジオ・澤田記者】
 世界経済フォーラムが出しているジェンダーギャップ指数でことし日本が120位ということで、特に政治分野では147位と、かなり世界各国から遅れをとっていると思うが、そのことについて野党第1党の党首としてご所見を伺いたいのと、ことし総選挙を控えていると思うが候補者に占める女性の比率等々についての目標等あれば伺いたい。

【代表】
 政治全体としてジェンダー指数が低いということがありますので、これはもう政府・与党にだけ責任を押しつけることはできないと、我々の責任も大きいと思っています。
 先ほど来話題になっている基本政策でも「政治分野でのジェンダー平等の実現」ということをあえて明記させていただいています。また、ジェンダー平等といっても、候補者を数立てればジェンダー平等なのかというと、そんなことはありません。しっかりと厳しい選挙戦を勝ち抜いて、それぞれの場で政治家として活動しやすい、できる状況をつくっていく。そうした意味では、選択的夫婦別姓を早期に導入するとか、女子差別撤廃条約選択議定書に早く批准するなど、具体的な、間接的なそうしたこと、つまり女性も男性と差異なく活動しやすいような土壌づくりと、それから実際の政治分野における例えばさまざまな選挙制度を女性の当選者の比率をふやしやすい制度へと変えていくというようなことを地道に重ねていきたいと思っています。
 総選挙の候補者の数ですが、実はかつての立憲民主党は、ゼロからスタート、一人からスタートした政党でしたので、非常にフリーハンドを持って半分近い候補者を女性にすることができました。ところが衆議院の場合は、現職や元職あるいは既に決まっていた候補者などがいる中で、なかなか空いている選挙区は厳しい選挙区が多いというようなことの中で、数だけ一定の比率を上げろというのだったら幾らでもできますが、実際に厳しくてなかなか手を挙げる人がいないところをじゃあ女性を入れますなんて、それこそジェンダー平等に反する考えですから、そうしたことで数を水増しするつもりはありません。実際にそれぞれの地域の中で、この方であれば勝てる可能性が男性と同様にきちっとあるという状況をつくって、そうしたところはできるだけ女性を優先していくということの中で進めていきたいので、もちろん一人でも多く出したいと思っていますが、あまり数値目標にこだわって水増しするようなことは絶対にしてはいけないと思っています。

【TBSラジオ・澤田記者】
 党の執行役員が11人いらっしゃると思うが、その中で女性は2人で、自民党と比べても比率としてはそんなに変わらないように感じるが、今後ふやしていこうというお考えはあるか。

【代表】
 これも党と党の合併によってつくられた最初の執行部ということもあって、いろいろなところに配慮しなければならないということのある制約の中ではありますが、3人の代表代行の1人と、それから自民党では党三役に当たる常任幹事会議長は、それぞれ蓮舫さんと田名部さんにやっていただいているということの中で、数だけではなくきちっと見ていただければと思いますし、それから衆参の予算委員会の筆頭理事というのは、あえて言えば野党にとっては最も花形というかメインの最重要ポスト思います。それを一種たまたまかもしれませんが衆参とも女性が務めているというところをしっかり見ていただきたいと思っています。

○選択的夫婦別姓制度について

【司会(事務局)】
 緊急事態下で在宅ワークとかテレワークされている記者さんでどうしても質問したいということに関しては事前にお伝えいただければ質問をかわりに読みますと言っておりまして、1問だけやらせていただきます。
 選択的夫婦別姓について、自民党会合では、党内で賛否が分かれていることを踏まえ、当面は各議員から幅広く意見を聞いて論点の整理を進めていくことを確認した。この自民党内のスピード感と自民党の動きについて、代表はどう感じているか。(NHK・佐久間記者)

【代表】
 (1993年の初当選以来取り組んできた)私から言わせれば28年遅れ、法制審の結論が出てから25年遅れですから、何年やっているんだと。どうせまとまらないのはわかっているのだから党議拘束を外せと言っているじゃないかと、こういう話です。さっさと党議拘束を外して賛成派・反対派それぞれ自由に投票していただければ成立させることができると私は思っていますので、どうせまとまらない話をぐだぐだ、やっているふりをするなんていうポーズだけはやめろと言いたいと思います。

○国会対応について(2)

【フリーランス・堀田記者】
 不信任案のことで伺いたい。福山幹事長も、この状況でということで、感染者もふえているということを言っているが、この状況をつくっているのははっきり言って悪い菅政権なのだから、これを利用しない手はないと思う。不信任案が出たら菅さんに進言申し上げると二階幹事長が強い言葉でおっしゃっているのだから。解散・総選挙で少しごたごたするかもしれないが、これ出さないと、ワクチンが効果が出て少し減って菅さん偉いということになると逆に枝野さんたちに不利になると思うが。この状況は、捉え方によってはいろいろとあると思うが、私はきのうコロナにかかった竹本さんと話したら風邪のようなものだということなのだが、この悪い混乱をつくっているときにこそ出して、一日も早く我々枝野政権がよい方向に持っていくと言ったほうが、国民に訴えるほうがいいと思うが、どうでしょうか。

【代表】
 先ほど申しましたとおり、もはや菅内閣は信認に値しない。一刻も早く退陣をしていただいて、少数与党にはなりますが、私のもとの内閣で当面の危機管理と選挙管理を行わせていただく。これが憲政の戦前における常道だったと思っています。そうすべきであるということを求めていきたいと思っています。
 ただ、国会戦術として、内閣不信任案をどう使うのか使わないのかも含めて、国対委員長いろいろなことを言っていただいていますが、最終的には私の政治判断で、あす出すかもしれないし、会期末に出すかもしれないし、出さないかもしれないし、それは最終的に私が政治判断します。あらゆる選択肢は否定しません。

○「入管法改正案」「難民等保護法案」について(2)

【フリーランス・西中記者】
 入管法改正の審議についての先ほどの代表のお答えで、コロナ対策が最優先だからということだったが、コロナ対策はどこの国でも最優先の課題で、アメリカなども人種差別の問題が社会分断を招く問題として大きな問題になっているわけで、バイデン大統領も戦時中の日系人の収容についてもアジア人差別の関連の中で謝罪された。

【代表】
 気持ちはわかるんですが、それは自民党の会見で言ってください。我々、政府与党が審議を進めますと言われたときには、とめる手段はないのですから。それは自民党に聞いてください、こんなときに審議進めていいんですかと。

【フリーランス・西中記者】
 それをとめるためにも。

【代表】
 我々は慎重に審議すべきだということは言っています。だけど数では絶対に勝てないのですから、政府・与党が合意に進めますと言ったらとめる手段はないのです。じゃあ国民世論がとめろという大きなうねりになっているか。例えば審議拒否をしても許していただけるような、そういう国民の支持があるのか。それがつくれていないのは我々の責任かもしれませんが、それもない中で、しかもコロナの状況の中でコロナが直接かかわらない法案でどこまで戦えるかは残念ながら甚だ疑問です。まず何よりもこれは自民党にしっかりと認識を改めていただくこと、あるいは世論全体をしっかりと喚起していただくことが重要だと思っています。

【フリーランス・西中記者】
 そのために参議院の法案、難民保護法という今までにないような体系の法案を。

【代表】
 だから、それをしたら審議促進になりますよ、国会というのは。「対案出しているんだから審議どんどんやりましょう」ですよ。それが国会のルールです。そのほうがいいのですか。