8日告示・25日投開票の参院広島県選挙区再選挙。野党統一候補として「結集ひろしま」(立憲民主党推薦)から立候補を表明した無所属の新人・宮口はるこさんは、「自分自身が悩んできたからこそ、その声を届ける代弁者になりたい。小さな声を政治に届けたい」と訴えています。
この宮口さんの思いを受け、「政治に届けたい声を聞かせてください」と始まった、宮口はるこに【声を届ける】「#はるこえ」プロジェクト。JR横川駅(広島市西区)近くにある大井赤亥さん(立憲民主党衆院広島2区総支部長)の事務所では、こうした「小さな声」とともにこの再選挙に臨む思いを、大井さんとそこに集う大井さん応援団の皆さん、そこに「議員になって20年間近くになるけれど、初めて『この人を国会に送りたい!』と思った人」だと大井さんに期待を寄せる、馬庭恭子広島市議(中区・無所属)にも加わっていただき、話を聞きました。(取材日:4月3日)
再選挙に当たって大井さんは、「河井夫妻の問題については、『河井疑惑をただす会』などが熱心に活動し、取り上げないといけないなと思う一方、アプローチの仕方が良く分からず、実は街頭活動では少し敬遠していた」と話す。その理由の1つとして、メディア先行の印象、河井夫妻を悪者にして叩くという分かりやすい構図を挙げ、「コロナも大事だし、政治はそういうこと(買収事件)も少々あるだろうと率直に言う人もいる。ここで糾弾調にやってもちょっとずれるかなと思っていました」。
とはいえ、今回の再選挙では河井夫妻の問題は大きなテーマだ。「『(2019年の選挙では)政治家選びで失敗したけれど、失望せずに今度はまともな人を選びましょうよ』と、ポジティブな訴えをした方がいいのではないかと思っています。ようやく、私もこの問題について自分なりの語り方が固まってきつつあるというところです」と大井さん。
筏(いかだ)さんが「広島で自民党(または保守)が強い理由ってあるんですかね」と尋ねると、「その頃はいい自民党だったのかもしれない。かつての自民党は幅広かったのが、悪い自民党を8年間許してしまったから、冷めてしまったのかなあ」と門田さん。馬庭市議は、「変質してきたというのは実感できるんじゃないかな。たしかに、自民党は懐深くて、それなりの政治家が広島にもいた。今回初めて、悪いことをした人たちの顔がばんばんと表に出始めた。だけど、それにお任せしとったところがあったんじゃないかな。わりと、『お任せする』というのが広島はけっこう多いのかな」と話した。
「たしかに、家族のなかでも政治の話はあまりしない」と筏さん。一方で、「僕の周りはそんなにタブー感はない」という藤本さんは、「大井さんがおっしゃっていたように、僕も批判ばかりではよくないと思っている。たぶん『自民、しょうがねえな。もういやだな』という人はたくさんいると思うけれど、だからといって『よし、立憲を応援しよう』という人はまずいない。だから、自民党の批判をすれば、自民党に投票する人を減らすことはできると思うけれど、立憲に投票してもらおうと思ったら、やっぱりポジティブなメッセージが必要だと思います」と訴えた。
大井さんはあらためて、「河井夫妻の問題、自民党の問題は、野党が批判しないといけないのだけれど、その義務を果たせば果たすほど、特に無党派層や若い人たちは『政治って汚いんだ』『政治ってこうなっちゃうんだ』となる。義務を果たし、うまく批判をすればするほど冷めてしまう、ひいちゃうという矛盾があると思う」と、歯がゆさをにじませる。
「しかし、もしこれで買収議員が当選したら、それを応援している自民党もそうじゃけど、『広島人は買収OKということですか?』というのは、問うた方がいいと思う。それははっきりと」と強く主張するのは、田中さん。
これに対し大井さんは、「僕が河井夫妻の問題を街頭で取り扱うのに違和感があった理由のもう1つが、『河井夫妻は広島の恥じゃ』と言って切り捨てるわけにはいかないなと思っていたこと」だと応じた。「投票しようがしまいが、広島県民、有権者が生み出しているわけだから、それは主権者としての製造者責任を自覚すべきだろうというのがあった。それを抜きに、手のひら返しで『あいつら、もう恥じゃ』『どっか行け』と言うのも違和感があった」と話し、「やっぱり県民、有権者としてしっかり反省して胸に刻んで、この教訓をしっかり踏まえて次の選挙をやりましょうということを、お説教くさくならないように訴えていきたい」と前を向く。
宮口さんに自分たちの声を政治に届けてもらいたい。大井さんとその応援団たちは、宮口さんのキャッチフレーズ「変える勇気。その先へ」進むため、活動していきます。