枝野幸男代表は24日、大規模選挙買収事件で有罪が確定した河井案里元参院議員の当選無効に伴う参院広島選挙区再選挙で、無所属の新人・宮口はるこさんの応援のため訪れた広島で、記者団の取材に応じました。

 記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:投開票前日ですが、いまの選挙の情勢について

 本当に、どちらが勝ってもおかしくないような大接戦であるというのは間違いないと思っています。ここから3時間、あるいは日付が変わるまではマイク使わなければ活動できますので、そこが勝負を分けるかもしれないという、そういう戦いになったんじゃないかと思っています。

Q:宮口さんを決めるまでに時間がかかったと思うが、ここの立ち位置まで来れたことについては

 早ければもっと良かったのかもしれませんが、とにかく良い候補者をいい枠組みで擁立することが大事だと思いました。
 そうした意味では、若干時間がかかってもベストに近い候補者と枠組みを作ることができた。なので、ここまで戦うことができたと思っています。
 それだけに、何とか競り勝ちたいと思います。

Q:河井夫妻の地盤(広島市安佐南区・安佐北区)をまわった意味は

 みなさんそういったこと強調されるのですが、やはり選挙情勢、各区の状況を見て、やはり最終盤、掘り起こしの一番余地の大きなところということ。それから本人の動きと、せっかく2台車が使えますので、ということの中で一番いいんじゃないかということで選択しました。

Q:菅原元経産大臣の新たな疑惑にも演説で触れたが

 個別のそれぞれの事件そのものが重たい事件であるという一方で、やはりこの間、政治腐敗に対するわれわれ野党としても、それから有権者、選挙を通じても、一種許容してきてしまったことがいろいろなものを悪くしてきたという思いがある、そうした意味では構造的には共通するものだと思っています。この選挙で、こうした流れを断ち切らなければいけないという強い思いを感じています。

Q:緊急事態宣言について、5月11日までという期間をどうとらえるか。また休業で事業者に困惑が広がっています。このことの受け止めを

 過去2回の緊急事態宣言が、減り切らないうちに解除したことが、リバウンドを生じさせ、そして繰り返し事業者の皆さまなどにご無理をお願いをしているということの反省がまったく感じられない。
 ゴールデンウィークという一番の書き入れ時に、ご無理をお願いする以上は、これを最後にしなければいけない。われわれは、東京で100人ぐらいが目処だろうと申し上げていますが、感染ルートを追ってリバウンドを封じ込められるような規模まで減らす。やはりそのことを明確に掲げるべきだと思っています。
 それから、緊急事態宣言が必要ではないかという話は、まん延防止等重点措置を出した時点から予想されていたことなので、当然その場合にどうするかというプランBを持つという、政府の危機管理として当然のことをしていなかったことが明らかになったんだと思います。
 危機管理においては、最悪のケースを想定したプランを持っていないと今回のような混乱を招く。これは1年前から似たようなことを申し上げてきているので、1年経っても危機管理に対する基本動作ができていないということの表れだと思っています。もはやこの人たちに危機管理をやらせてはいけないということは、もう本当に強く確信しています。

Q:緊急事態宣言の期間が短いという声があります。それと補償については

 特に、きちんと感染ルートを追って封じ込めるレベルにまで対応するには、やはり十分な補償をすることで倒産などの心配なく休業できる状況を作らなければ、これが3度目の緊急事態宣言ですから、もたないという人が大量に出てくると思っています。急ぎ、われわれは国民民主党と事業規模別の補償法案を出していますし、持続化給付金の再交付の法案も出しています。とにかく、どちらでもいいから早く何か出せと。よく野党に対案がないとかおっしゃるが、対案どころか案がないのは政府だと強調したい。

Q:医療機関への政府権限の弱さや、ワクチン治験の遅れを踏まえ、菅総理は緊急事態対応を法整備する考えを示した。平時にという形でおっしゃっているが、この点に関してのお考えは

 まず、医療機関が協力できないのは医療機関の経営が倒れるからであり、民間医療機関は、働いてくれる医師や看護師などがいなければ受けられない。ところが、医師や看護師に対する支払いがむしろコロナによって減少するような実態が各地で出ている訳です。金も渡さないで言うことを聞けということ自体、無茶なことをやっているのに、制度のせいに責任転嫁している。これは医療従事者が悪いのではなくて、金をちゃんと出さない政府が悪い。その責任転嫁はまったく許せない。

Q:性格の異なる選挙ではあったが、3つの選挙全体を通して手応えは

 やはり、安倍政権から続く8年あまりの政治の状況に対して、「これはおかしいぞ」という声はかなり広がっていると確信することができました。問題は、その声を、それに変わりうる政治勢力を育てていただかないと政治は変わらないんだということを、どのくらい伝えることができるのかというのが勝負だったと思っています。広島で競れているというのは一定の手応えを感じていますが、やはりさらにこれを、より分かりやすく、多くの有権者の皆さんに知っていただく努力が必要だと思っています。

Q:今回の再選挙の争点は、菅政権のコロナ対策への審判だと。菅総理を辞任に追い込む第一歩だと理解していいか

 それとはまたちょっと次元が違うと思います。

Q:国民投票法について。代表は昨日、現場に任せているとおっしゃったが、代表自身の考えと、先日、安倍前総理が枝野代表に憲法論議をしようと呼びかけたが、それについての受け止めを

 前者については、現場に任せていますので、現場の具体的な状況を知らないのに、予断を持って申し上げないほうがいいと思っています。後者については、まず桜を見る会前夜祭の国会での偽証について、きちんと説明責任を果たすことが先だと思っています。

Q:国会議員が逮捕や起訴された場合の歳費の支給について、泉政調会長が支給停止や返還を可能にする歳費法の改正を検討するという考えを示しているが

 今回の河井夫妻の件についての国民の皆さんの素朴な感情は、大事にしないといけないと思っています。一方で、少数政党、少数派に対する弾圧の手段に使われうる余地もあるので、そういった所も考慮した上で、どうした制度が作れるのか相当慎重に議論しないといけない。