「自治体でさまざまな声が出ているにもかかわらず、それをきちんと政府が受け止めているのか相当疑問だ。こういうことからも感染についての危機感が足りないのではないか。改めて指摘せざるを得ない」(逢坂誠二合同対策本部長)。

 立憲民主・国民民主・社民の新型コロナウイルス合同対策本部会議が17日、国会内で開催され、緊急事態措置・まん延防止等重点措置の延長・追加等、及びワクチン等の新型コロナウイルス感染症対策予備費の使途決定について、内閣官房、厚生労働省、及び財務省よりヒアリングを行いました。

 冒頭、逢坂誠二本部長は、当初まん延防止等重点措置の対象予定だった3道県に対し、突然、政府が緊急事態宣言の対象地域としたことについて「今回の発表に至る過程の中で、政府は相当混乱していると思わざるを得ない。(北海道は)当初予定されていたまん延防止等重点措置の延長が急転直下、緊急事態宣言の発出ということになった。われわれは、緊急事態宣言の発出については妥当なことだろうとは思うが、それにしても朝令暮改と言わざるを得ない」と述べ、政府の混乱を指摘しました。

 政府側出席者の報告に続いた質疑では、以下のようなやり取りもありました。

■検査体制、感染対策について

「(海外でさまざま報告されている)変異株について『別の病気』と形容する専門家すらいる。この変異株の国内での急増を受け、検査を拡大する方針だけが伝わっている。各地域における検査体制確保の目処はいつになるのか」「インド(で報告されている)変異株用のPCR検査体制は」(泉健太政調会長)

 厚生労働省「英国型変異株の検査体制については、スクリーニングやゲノム解析の体制強化に取り組んできた。国内の感染状況を見るとすでに大部分、英国型変異株にすでに置き換わっているので、むしろインド変異株についてのサーベイランス(監視)体制の強化が必要だ。先週金曜日にこれに関連する通知を自治体に出したばかりだ。インド株用のPCR検査はすでに国立感染研の方で用意しているが、どのように各県に配布するかは状況を見て判断したい。時期的な目処については具体的に通知に書く状況には至っていない。民間機関に検査の協力を求めている途上の段階。また感染状況は地域によって異なるので一律に『スクリーニング検査を何%』とは申し上げられない」

「諸外国の論文等を拝見すると、エアロゾル(飛沫・飛沫核)感染の圧倒的な重要性が指摘されている。もし変異株の感染力がより強いのであれば、今まで以上にエアロゾル感染対策を行う必要があるのではないか。3密に注意していても感染したという例が増えている。換気を徹底しないと(変異株は)防げないと、もう少し強調して人々に伝えないといけないのではないか」(森ゆうこ参院議員)。「飲食は4人までの同席はOKなど、今までと同じ対策でよいのかと、国民は気になっている」(泉健太政調会長)

厚生労働省「同じようなメッセージでよいのか、しっかり検討したい」

■映画産業への規制について

「東京都や大阪府では、劇場やスポーツ観戦は一定の制限の下で開催を許されているのに、映画館は一律に休業を求められている。こうした規制は、合理的なエビデンスがないのならば不適切だし、そもそも業界に対してきちんとした説明があってしかるべき。ところが映画産業の関係者に聞くと、都や府からは、何ら説明を受けていないらしい。政府の方から書面による回答を求めるべきではないか」(階猛衆院議員)

内閣官房「各自治体の判断は、民間事業者にしっかり説明することが必要だが、政府が都や府から説明させることが法的に可能かも含めて検討させて頂きたい」

逢坂本部長「意思疎通がうまくいっていないところもあるので、しっかり検討して頂きたい」

■ワクチンの供給体制について

「来年分のワクチン供給についてどのワクチンを使うかや、より具体的なスケジュールを提示すべきではないか」(泉健太政調会長)

厚生労働省「交渉を進めている段階なので、現時点では申し上げることはできない状況。来年分については必要かどうかも含め今後検討していくことになる」

「来年分については、供給時期もきちんと詰めた契約内容にしないと、各国に比べて供給が大幅に遅れた今年の二の舞となってしまうのではないか」「すでに薬事承認されており、今回5千万回分の追加供給される見込みとなったファイザー社製ワクチンだけで、全国民に実質2回分の接種をする量がもう確保できている。現段階で薬事承認を目指している他社製ワクチンについては、今後どのように扱うつもりなのか。(余ったワクチンについては)途上国の支援に回すつもりはないのか」(森ゆうこ参院議員)

厚生労働省「可能な限り供給スケジュールも契約の中に定め、製薬会社に対し柔軟な対応も求めていきたい」「国際協力といった観点からも(有効活用を)検討したい」

「ワクチンの供給について、31日の週以降の情報が自治体に伝わっていない。連絡はいつになるのか」(西村智奈美衆院議員)

厚生労働省「ワクチン供給量については6月末までの分をすでにお示ししている。具体的な日付が決まっていないということを話されているのだと思う。その点についてはできるだけ早い段階で通知をさせて頂きたい」

■自宅療養者への医療支援について

「この日本で、何の医療支援もないまま自宅で亡くなるケースが増えている。医師が足りていない訳ではない。対策もここ1年間、全然進んでいない。対策の担当を決めて問題にあたるなどしてどうにかできないものか」(森ゆうこ参院議員、逢坂誠二合同対策本部長)

厚生労働省「第2波、第3波と数次にわたり医療体制の整備をお願いしてきている。応援の派遣については自治体と連携し、都度対応している」

「大阪府で自宅療養中のコロナ患者に対して医療支援が『届いている』と、維新の浅田政調会長がテレビ番組で発言していたが、どのように政府に伝わっているのか」(川内博衆院議員)

厚生労働省「認識については、確認させて頂きたい」

20210517立国社新型コロナウイルス合同対策本部会議_次第.pdf
0514政府対策本部資料.pdf
財務省資料.pdf
0513時点指標.pdf
0521立国社コロナウイルス対策本部 後日回答事項.pdf