福山哲郎幹事長は28日、自民党がLGBTの方たちへの理解増進を図るための法案の取り扱いについて党三役に一任することを決めた報道を受け、記者団の取材に応じました。
福山幹事長は冒頭、この法案をめぐる経緯についても触れ、「(自民党は)賛成か反対か、法案を通すつもりがあるのかはっきりしない状況」「与野党を超えて議連(議員連盟)のメンバーが努力をし、なんとか合意にたどり着いた法案」「LGBT法連合会をはじめ、当事者の皆さまが6年にわたり努力をし、なんとしてもこの国会で成立を願っている法案」「オリンピック開催の年に、オリンピック憲章にある多様性を実現するため多くの方の努力があった」「今日の結果は非常に残念に思うが、まだ法案を成立させるという希望を捨てているわけではない」と話しました。
さらに難波奨二参院国会対策委員長にも確認し、「(この法案について)どんな協力も惜しまない。自民党の国対委員長とも協議をし、なんとしてでも国会に法案さえ提出してくれれば、委員長提案で通していきたい」と協力の約束をしたと報告をしました。
そして、「ぜひ自民党の皆さまには、オリンピックの年であり、LGBT当事者の強い長年の思いが込められているので、与野党を超えて議員が尽力されたことを鑑みて、何としても最後の最後まで法案の提出、成立に向けて努力をいただきたい」と訴えました。
記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。
Q:今回の法案について、自民党議員から否定的な意見が相次いだが、その点の受け止めと、当事者の皆さんにとってこの法案がどう大切なものなのか
自民党の何人かの議員から、心ないあきれるばかりの差別発言がいくつも飛び出したことについて、驚きましたし、怒りすら覚えました。しかしながら、そういった考えも、この法案を通すことによって変えていただければいいし、当事者の現実をしっかり見ていただければいいと考えています。
当事者が長年にわたり差別的な扱いを受けてきたこと、社会の中で非常に厳しい状況に置かれていたこと、そういったことも含めて、この法案をなんとか通していきたい。
差別は許されないという理念が今回盛り込まれましたが、それでも社会の中にどういった形で具体的にそれを国民の皆さん全体に広げていくかについては、まだまだ課題があります。
しかし、この法律を成立させることによってスタートラインに立てるので、何としてもこの法律をこの国会で通したいので、自民党の議員の皆さまには、最後まで努力をいただきたい。
Q:オリンピック憲章との関係もあるが、この件について世界からどう見られているかにもつながると思うが
国際的にも、日本にLGBT平等法がそもそもないことについて、いろいろな批判的的な意見が寄せられていることも事実。また、オリンピックの時だからこそ、なおさらこういった法律があるほうがいいということで、6年にわたり多くの当事者の皆さんが運動した結果、ようやく与野党で合意にたどり着いたわけですから、なんとしても通したい。
先般の自民党の議員の心ない発言は、国際社会に驚きをもって迎えられたと思います。コロナの感染が広がる中でのオリンピックということも含めて、国際社会に日本は大丈夫か、LGBTに対する差別がこんなにあるのか、そんな印象を与えたことについて、非常に残念に思っています。そのことも含めて、それを乗り越えて、この国会で通すということが大切だと思います。
Q:自民党の幹部は今国会での成立は不可能と言い切っているが、それでも成立を目指す、あきらめないということであれば、立憲民主党としては、どういう働きかけをしていくのか
議連では西村智奈美衆院議員が頑張って働きかけをしてくれていますし、公明党の先生方もご努力をいただいていると思います。当事者もいろいろな声がこれからあがると思いますので、いろいろな力と努力をできるところでやり、(自民党の)総務会では三役一任ということですから、三役が「よし、この国会で通そう」と決めればそれで終わりですから、そういったことも含めて、来週の月曜日の議連が開催されるまで、できる限り努力を続けたい。
Q:(話題は変わり)緊急事態宣言の延長が決まったが、政府の当時の判断について、また感染を抑えることができていない責任について、どのように考えているか
そもそも、一度目の延長ですら想定が甘かったと言われていましたが、さらに今回、延長になることで菅政権の通しの甘さは明らかになったと思います。
明らかになっただけではなく、国民生活に変わらず我慢を強いることになり、経済状況は本当に苦しいところがあちこち出てきています。
飲食店に対する協力金はありますが、協力金をもらえない事業者もたくさんいらっしゃいます。エンタメ、宿泊施設、ホテル、あらゆるところで人の動きが制限され厳しい状況になっています。
そのことも含めて、これだけ緊急事態宣言が長くなっていることに対する大きな責任が菅内閣にはあると思います。
国民の皆さんも「またか」という思いだと思いますが、感染を広げないために本当にさらにお願いをしなければいけない状況だと思います。
一方で、病床のひっ迫も改善されているわけではありません。家庭内で療養しながら病院に行けずに亡くなられる方も増えていますし、重症者の数は最多という日が続いています。
いずれにせよ、コロナの感染拡大について、政府にはいつも言ってますが、十分な保障、検査、隔離、病院のベッドを確保すること、そして今はワクチンの接種を混乱のないように進めていただくこと――こういったことを強く求め続けていますが、なかなか改善されないまま、ずるずると緊急事態宣言が続いていることに対して非常に遺憾に思っています。
Q:緊急事態宣言から1ヵ月位経ちますが感染者数があまり減っていません。再延長され6月末になりますが、もし再度延長した場合は
6月20日まで延長ということですから、感染がなるべく減少すればいいと私も願います。
しかし変異株の広がりもありますし、沖縄をはじめ地方の都道府県で感染の勢いはまだ止まっていません。東京も若干減少していますが、実態として言えば、まだまだ予断を許さない状況。20日の状況について、いま何らかの推測で話をするのは適切ではないと思いますが、できる限り感染が広がっていないことを願います。
一方で、オリンピックまでひと月、20日の直後に東京都議会議員選挙も始まります。こういったことも含めて、20日ということを設定されたと思うのですが、これがオリンピックありきという日程設定だと、また間違う可能性が出てくると思いますので、そこは科学的な見地に基づいて、国民にどういう状況になれば解除になるのか、今日の総理の記者会見でも明確に伝えていただきたいし、いったいどうなったら解除になるのか国民は全く見えません。
オリンピックについても、どういう事態なら開催するのか、一定考えなければいけないのか、このことについても今日の会見で菅総理に明確にお答えいただきたいと思います。
オリンピックについては、IOCの関係者から「菅総理が中止を決めても関係ない」「個人的な意見だ」というような考えられない意見が表出されています。主権国家として国民の命と安全を守る判断は政府にあると思いますので、菅総理も、こういう事態ならオリンピックはやる、これなら一定考えなければいけない、それはこういうメルクマールですと、この程度のことは、この時点で国民に伝えていただかないと到底納得しないと思います。
東京都の感染が目立った減少がない中で、10万人もの海外からの人が入ってくることに対して、やはり都民の皆さんの不安も大きいと思いますので、不安が払拭(ふっしょく)できるように総理には今日ご説明をいただきたいと思います。