参院本会議で9日、令和元(2019)年度の決算が審議され、立憲民主・社民を代表して古賀之士議員が「令和元年度決算」及び「令和元年度国有財産増減及び現在額総計算書」に反対、「令和元年度国有財産無償貸付状況総計算書」及び「内閣に対する警告決議案」に賛成する討論をおこないました。

■国会の会期延長を求める

 冒頭古賀議員は、昨年の臨時国会の会期末に野党が新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、国会延長を求めたにもかかわらず与党が拒否し、その結果、GoToキャンペーンの中止が遅れたこともあって、会期中から上昇傾向にあった感染者が年末年始にかけて急増し、2回目の緊急事態宣言に追い込まれたことを振り返りました。その上で「あの時、国会が続いていれば、いくばくかの感染者の命が救えたのではないか、資金繰りに悩む経営者を助けられたのではないか、ギリギリまで節約するひとり親家庭に手を差し伸べられたのではないか。そう考えると、私は残念でなりません。もし、この通常国会を予定通り閉会すれば、臨時国会での教訓を全く活かしていないことになります」「働くべき時に働かない国会議員の姿が、働きたくても働けない非正規労働者の方々にどう映るかを考えれば、今国会の会期については、延長する以外の選択肢はありえない」と述べ、緊急事態措置期限の20日の前に国会を閉会することに反対し、会期延長を強く求めました。

■ずさんな事業に多くの警告と措置要求

 古賀議員は、令和元年度決算に対し警告が8項目、措置要求も8項目と多くの決議をおこなったことに触れ「これほどまでに火だるまになった決算について、いったい誰が容認できるでしょう」と決算に反対の意を表明しました。

 警告項目から地域再エネ水素ステーション導入事業を例に挙げ、「日本の将来を左右する政策が砂上の楼閣であることを指摘する重大なもの」だと指摘しました。また、措置要求項目のうち、災害拠点病院の自家発電機が浸水によって機能しなくなる問題を取り上げ、10年前の東日本大震災の際、浸水によって原子力発電所の非常用発電機が機能しなくなり、大惨事につながった教訓が活かされなかったことに「がく然とせざるをえません。この措置要求も、一事業に対する指摘ではなく、わが国が抱える根本的な課題として捉えていただかなくてはならない」と主張しました。

■感染状況にかかわらずオリンピックに突き進む政府を批判

 古賀議員は、「感染リスクをコントロールしながら、しっかりと経済を回していく。私たちの仕事や暮らしを守ることに、もっと軸足を置いた取り組みが必要です」という昨年6月におこなわれた安倍前首相の記者会見の言葉を引用した上で、「昨年6月8日の感染者数が全国で21人だったのに対して、昨日は1,884人と90倍ですから、感染リスクはコントロールできていません。リーマンショック以来11年ぶりに、生活保護が増加、完全失業率も悪化するなど、経済は回らず、仕事や暮らしは守れませんでした」と政府の対応を批判しました。そして、その原因は政府がこの間、「全ての道はオリンピックに通ず」であるかのように、国民の命や暮らしよりも、オリンピックを重視した政策を取ってきたことにあると主張しました。また、菅総理が人事権を振りかざし、政府の中でオリンピックを開催するのはいかがかと思っている人が意見を言いにくくなっていると批判し、その状況はインパール作戦の状況と酷似していると評しました。

 古賀議員は、「入院先が見つからずに自宅のベッドでひとり苦しんでいる人。突然のリストラで不安に押しつぶされそうになっている人。美味しい酒と肴を出すことにプライドを賭けていたのに営業を再開出来ず悩んでいる人。こうした国民を置き去りにして国会を閉じ、ひたすらオリンピックへと邁進(まいしん)する現在の政府の姿には、怒りを通り越して情けなさすら覚えます。そんな政府の決算に賛成するなど誠にもって論外である」と断じ、討論を終えました。

決算反対討論(予定稿).pdf

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