「きちんとしたデータに基づいてありのままの姿を示さないと、政治が判断を誤る。そこを少し角がとれたようなことをやっていては、将来大きく誤ってしまう。研究者の皆さんも相当な覚悟を持って出してきた報告書だと思う。インド由来デルタ株の『影響ゼロ』ということは、ほぼありえない。事実として、オリンピックの期間中に緊急事態宣言になるような状況が来るということ、このシミュレーション資料を見る限りは、ほぼ明らかと言わざるを得ないのではないか」(逢坂誠二対策本部長)。

 新型コロナウイルス対策本部と厚生労働部会は18日、合同会議を開き、内閣官房、厚生労働省よりヒアリングを実施しました。会議では、(1)10都道府県に出されている緊急事態宣言について、沖縄を除く9都道府県を20日に解除する方針を政府が決定した理由(2)国立感染症研究所等の研究者達が政府アドバイザリーボードに提出した、6-9月期の東京都における感染拡大シミュレーションの内容――についてヒアリングしました。

 冒頭、逢坂誠二新型コロナウイルス対策本部長があいさつしました。「私の周囲でも多くの高齢者の皆さんが『1回目を打ち終わったよ』というような方がいて、国民の中にもある種の安心感が広がりつつあるように感じている。私は与党、野党、政府の立場に関係なく、とにかく希望する方には、ワクチン接種を1日も早く、多くの人に打っていただきたいと思っている立場だ。とはいえ、日本などよりずっとワクチン接種率が高い英国においても、1日の新規感染者数が数千人になると承知している。ワクチンに大きな期待があるのは当然だ。しかしワクチン一本足打法では、必ずしもこの感染を抑制することはできないのではないか。変異株の問題や、ワクチンによる抗体がどれ程の間、持続できるのか等、まだ不明なところが多々ある。気を緩めることなく、感染対策をしていくということが大事なことではないか」と述べました。

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 また同じくあいさつに立った長妻昭厚生労働部会長は「昨日一昨日と、東京は前週を上回る新規感染者数――つまりリバウンドがすでに始まっている。にもかかわらず、東京の緊急事態宣言を解除する。こういう大変危険な決断を政府がしてしまったということで、国民の皆さんにも不安に思っておられる方が大変多い。その一方で、東京オリンピック・パラリンピックにおいて観客を1万人入れると(聞いている)。これもなし崩し的に決まってしまった。チケットを持っている人は、日本中から集まってもよいが、それ以外の人は移動はだめだ、時短で自粛しろと。そして49日間のテレワークをサラリーマンはしなさい。このようなちぐはぐなメッセージでは、国民の皆さんの多くは、聞く耳を持たないのではないか。まん延防止等重点措置も、大阪の事例で『効果がない』と証明されている。20日に緊急事態宣言が解除されれば、感染者数が今後かなり増えていくと思う。政府には、オリンピックを含め、ぜひ再考を促したい」と述べました。

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 会合では、緊急事態宣言の解除について「飲食店の酒類の提供等について、今後は店舗ごとに個別に適否を判断するということか」(泉健太政調会長)といった質問が寄せられた後、国立感染症研究所等の研究者たちによる感染拡大シミュレーションについて質問が集中しました。

 このシミュレーションは、政府の第39回アドバイザリーボード(6月16日付)に提出されたもので、東京都における今後(6-9月期)の感染拡大の可能性について論じています。インド由来のデルタ変異株の影響の大きさ、緊急事態宣言解除後の人流の増加の程度、東京五輪・パラリンピックによる人流の増加の程度等、それぞれ複数の前提を置いた上で、それらを組み合わせ、新規感染者数や重症者数等について、いくつかの異なる見通しを示す内容となっています。これによれば、今後国民の間でワクチン接種が進んだ場合においても、デルタ株の影響が一定程度あった場合、(1)宣言解除後の人流増加をオリンピック期間中も含めてプラス10%程度までに抑えたとしても、 7月後半から8月前半には緊急事態宣言の再発令が必要となる可能性がある。またデルタ株の影響が非常に大きい場合は(2) 7月前半から中旬にも宣言の再発令が必要となる可能性がある(最も悲観的なシナリオ)等――となっています。

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 出席した議員からは「インド由来のデルタ変異株の影響が『大』だった場合にはどうにもならない。オリンピックどころの騒ぎではないのではないか」(白眞勲参院議員)、「このシミュレーションを見る限り、五輪の観客を『あり』でやる場合と『なし』でやる場合とでは、亡くなる方の数が異なってくる。この死者数の増加を納得させるだけのオリンピックの『大義』というものは、はたして本当に存在しているのか」(長妻昭厚労部会長)、「政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で配布された資料に、なぜこのシミュレーションが含まれていないのか。この忖度は、人を殺す忖度になってしまう」(川内博史衆院議員)といった厳しい意見が寄せられました。

20210618党コロナ対策本部・会派厚労部会_次第.pdf
第39回アドバイザリーボード提出シミュレーション.pdf
0617政府対策本部資料.pdf