参院議院運営委員会が25日開催され、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の区域変更について、西村康稔経済再生担当大臣から報告を聴取しました。「立憲民主・社民」会派を代表して、斎藤嘉隆議員が質問に立ちました。
政府は緊急事態宣言の対象地域に8道県(北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島)を追加し、まん延防止等重点措置を新たに4県(高知、佐賀、長崎、宮崎)に適用し、期間は、8月27日から9月12日までとする方針です。これにより、緊急事態宣言の対象地域は、21都道府県に拡大され、重点措置の適用地域は12県となります。
新型コロナウイルス対策の基本的対処方針には、医療提供体制の整備について、酸素ステーションの整備や看護師の確保、中和抗体薬の使用促進などの方針が示されました。また、新学期を迎える学校での感染拡大防止策を徹底するために、オンライン授業の一層の活用や、自治体に教職員へのワクチンの優先接種、小中学校や幼稚園への抗原検査キットの配布などが盛り込まれます。
20日に決定した宣言の区域を5日も経たずに変更する政府の対応について、斎藤議員は「宣言や対応を小出しにしていては、国民の皆さんに危機感を持っていただくのは難しい。お盆休み以降のデルタ株の感染拡大は都市部の変異株が地方に拡散したと理解しているが、政府が県をまたぐ移動を自粛するように要請していたにもかかわらず、一方で国境をまたぐパラリンピックが開催され、国民の皆さんに自粛しようという思いが伝わっていないのではないか」と苦言を呈しました。
また、ニュージーランドではたった1人の感染者が発見されただけで、ロックダウン(都市封鎖)を実施して感染拡大を抑え込んでおり、台湾も同様の抑え込みで、ほぼ成功していると事例を挙げました。
その上で、西村経済再生担当大臣に「要は短期集中、徹底的に抑え込みを図らないと、ずるずると自粛期間ばかりが延びて、結果として国民の命を危険にさらし続けていくことになりかねない。緊急時に期間を決定して、しっかりとした補償をセットにして、徹底的な行動抑制のための手法を検討すべきではないか」と進言しました。
続いて斎藤議員は、「現行法の中でどのような判断をするかという課題があるにせよ、国民の命を守るためであれば、外出制限等の一定程度強い措置も躊躇(ちゅうちょ)なくおこなうべきだと考えている。だから私たちは『国会で議論をしましょう』と申し上げている。国会を開いて議論しないと何も決まらないではないか。いくら要請しても、菅総理は委員会に出てこない。憲法に基づいて国会開会の要求をしても、政府与党はまったく対応する素振りもない。こんな状況で、なぜ国会を開かないのか。国民の命に危険が迫っている状況で議論を避けているとしか言いようがない」と菅政権の姿勢を強く批判し、西村大臣にコロナ対策の責任者として、閣内で国会開会を提案すべきではないかと迫りました。西村大臣は明確な回答は避け、ロックダウンなどの法的措置について、海外政府の手法などを研究していく考えを示しました。
斎藤議員は「ロックダウンについて、国会議員の意見を聞いて、集約して、議論をする場が必要ではないか。1日も早く国会を開いて、私権制限のあり方や、いろいろな議論をすればいい。その上で、より効果的な手法を全員で見出していくべき」と強く呼びかけました。
24日に開会したパラリンピックの学校連携プログラムについて、斎藤議員は20歳未満の感染者が第4波の4倍以上となっている状況において、文教科学委員会でも国として中止の方向で働きかけをするべきだと提言してきたと説明。当初18万人が対象だったが、学校側からの辞退が相次ぎ、対象人数が2万人ほどに減ったと現状を説明し、西村大臣に速やかに取り止めるよう進言しました。西村大臣は、組織委員会の橋本会長が感染リスクを見極め判断していくと答弁しました。
斎藤議員は、各自治体や各学校が地域の感染状況をふまえて、学校を開く時期を決めていく文科省の判断は正しいとしつつ、学校休校で仕事を休まないといけない保護者に補償をした上で、休業やテレワークの推進を要請し、また子どもの居場所や食事のために、十分な措置を政府に求め、質疑を締めくくりました。