衆院議院運営委員会が25日開催され、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の対象地域を拡大について、西村康稔経済再生担当大臣から報告を聴取しました。立憲民主党から大西健介議員が質問に立ちました。

 西村大臣は、緊急事態宣言の対象地域に8道県(北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島)を追加、まん延防止等重点措置を新たに4県(高知、佐賀、長崎、宮崎)を追加することを同日午前、新型コロナウイルス基本的対処方針分科会に諮り、了承を得たと報告しました。これにより、宣言の対象地域は計21都道府県、重点措置は12県となります。
 西村大臣は9月12日に宣言、重点措置を解除することを目標にデパート地下の食品売り場など大型商業施設での人数制限、テレワークによる出勤者7割削減等の要請による人出抑制、学校への抗原検査キットの提供、医療提供体制の強化、ワクチン接種の加速に取り組んでいく考えを示しました。

 大西議員は、地元愛知県で24日の新規感染者数は1,617人で過去最高となり、1,000人超えが7日が連続となっていることに触れ「8月17日時点で愛知県もやはり(緊急事態宣言の対象地域に)追加しておくべきだったとは思わないか」とただしました。西村大臣は、17日の時点で「対象にするかどうか大変悩んだ。知事ともかなり議論した」と明かし、その時点では病床使用率が3割程度でまだ余裕があり、知事の意向も踏まえ、専門家に諮った上で判断したと説明しました。また、「できたら早め早めに出来たら、その方がよいという気持ちはあるが、広く網をかけるのを早くやってしまうのが過剰の規制にならないかという面もある」と釈明しました。

 大西議員は、国と東京都が初めてとなる病床確保要請をおこなったことについて「その前に国としてやれることをやっているのか。国立病院機構や地域医療推進機構のコロナ患者用確保病床比率は5%前後にとどまっている。民間病院に要請するなら、まず国立病院等にもっと病床確保に協力をさせるべきではないか」と問いました。西村大臣は、国立病院等はがんや難病等の治療を担っていること、コロナ患者の受け入れのほか、医療がひっ追した地域への医師・看護師の派遣も既におこなっているが、24日におこなった都内の病院への協力要請に公立病院も含まれると説明し、さらなる協力を最大限おこなってもらえるよう厚労省から働きけていると聞いていると答弁しました。

 大西議員は、「自宅療養中の人が毎日のように亡くなっている状況なのに、入院もできない、搬送もされないということに国民は大変不安を感じている」と訴え、「災害レベルというならば、いわゆる野戦病院型施設の整備を急ぐべきではないか。その際、オリパラ競技会場の転用を検討しないのか」とただしました。西村大臣は、既に臨時の医療施設19カ所が13都道府県で開設されており、オリパラ競技で使われている広いスペースの公共施設の活用も一案として考えられると応じ、施設の設置と医師、看護師等と合わせて取り組んでいく考えを示しました。

 大西議員は、「三重県で予定していた国体が中止されたのにパラリンピックが開催されていることについて国民の理解が得られるのだろうか」「パラリンピックのために再来日したバッハ会長は隔離期間を免除される特例扱いを受けた。こういうことを繰り返しているから国民が要請に応えてくれなくなるのではないか」と疑問を呈しました。

 また、デルタ株では10代以下の子どもへの感染が広まっていることを取り上げ、休校などの判断を学校、自治体任せにするのではなく、少なくとも緊急事態宣言の対象地域には国が明確な方針を示すべきだと提起しました。

 大西議員は、日本企業の駐在員をはじめとする在外邦人がファイザー社・モデルナ社のワクチン接種ができない場合があることに触れ、日本企業の海外拠点で職域接種をおこなえるよう政府内の検討を求めました。

 最後に、自民党の下村博文政調会長がロックダウン法制の整備検討に言及したことに触れ、「政府与党が本気なら、今すぐに臨時国会を開いて政治休戦してでも議論すべきだ。選挙の後なら遅すぎる」と述べ、西村大臣の見解をただしました。西村大臣は、「ロックダウンという言葉がよく使われるが、各国により対応も違うし、発言されている方によってどの程度のことを考えられているのか、かなり差があるように感じる」「いずれにしても私権の制約、かなり経済社会に大きな影響を与えるので、1つひとつ丁寧な議論が必要だと考えている。私どもは海外の事例などを見ながら議論し、研究している」と答えました。大西議員は、「われわれは以前、新型インフル特措法改正にも協力した。(ロックダウン法制の整備検討を)言っているのは与党の政調会長ですから」と念を押し、臨時国会開会を求めて質問を終わりました。

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