枝野幸男代表は27日、国会内で記者会見をおこない、「 #政権取ってこれをやる 」のVol.6として「分配無くして成長なし!みんなを幸せにする経済政策」を発表しました。政策は全部で5項目あり、1番目はコロナ禍という100年に一度の特殊状況の中での時限的措置であり、残りの4項目は新型コロナウイルスの感染から乗り越えた後で作り上げていく社会の中での経済政策であると枝野代表は説明しました。
1.時限的な減税と給付金
・年収1000万円程度以下の所得税実質免除と低所得者への給付金支給
・時限的な5%の消費税減税
枝野代表は、「生活の痛みにしっかりと手当てをし、そのことによって消費を喚起し経済を回していきたい」と述べ、「全て給付金でという考え方もあるが、これはこの間緊急対策として申し上げている困窮層に対する支援や持続化給付金などもそうだが、できるだけ適切なタイミングで、事務的な処理等もスムーズに迅速におこなわないといけないことを考えると、多くの皆さんについて税の実質免除という形がもっとも行政事務が少なく迅速におこなえる。それでは対応できない人に給付金をおこなうという形で、迅速な対応を進めたい」と行政の迅速な対応を重視する考えを示しました。
時限的な消費税減税については、「一定程度当たり前の日常が戻ってくるタイミングでおこないたい」と述べました。その理由について、「現状ですぐにおこなって何が起きるかというと、いわゆる巣籠り需要をはじめとして、コロナ禍においても消費が可能な部分のところにその恩恵が行ってしまう」と懸念し、「幅広く、一定の期間この間我慢せざる得なかった消費に対して、一定の政府の支援ある状況をつくりたい」と述べました。
2.生きていく上で不可欠なベーシックサービスの充実
・医療や介護、子育てや教育分野などへの予算の重点配分
枝野代表は、アベノミクスは強いものをより強くし、良いモノやサービスをいかに安く供給するかというサプライサイドに偏った政策を打ち、株価だけが上がり実体経済を良くすることができなかったと指摘。アベノミクスに対抗する策として、「格差是正と老後と子育て、雇用などの安心を高めること。そのことで消費できる購買力そして消費できる安心を得ることが何よりも経済対策であり、そのためには経済成長のためにまず分配を適切にしないといけないと確信している。そのために、生きていくために不可欠なベーシックサービスの充実をはかる。医療・介護・子育て・教育分野など、老後や子育てへの不安を小さくするためにサービスの量、質、そしていわゆる窓口負担をいかに所得に応じて適正な範囲に抑えるか。あるいは負担力のある人には負担していただくかということを含めて、生きていくのに不可欠なベーシックサービスをどなたでも受けていただく。そのための予算の重点配分をおこなう」との考えを示しました。
3.雇用の安定と賃金の底上げ
・「同一価値労働同一賃金」の法制化
・最低賃金時給1500円を将来的な目標に
・派遣法などを見直し、希望すれば正規雇用で働ける社会へ
枝野代表は、医療・介護・子育て・教育の現場で働く特に非正規の人について、「直ちに政治の意志で賃金の底上げが図れる」と述べ、「人件費総額を増やさない限りは、希望する方の非正規雇用から正規雇用への転換、そして賃金を底上げすることは不可能だ」と指摘しました。また、同一価値労働同一賃金を法制化し、最低賃金は時給1500円を将来的な目標に実現すると掲げました。これについては、地域の偏在状況をどういう段取りでどう正していくか、かなり緻密な丁寧な段取りが必要であるという見解を示し、「このコロナ禍で特に飲食・観光など今すぐに最低賃金を上げるとコロナの影響をダブルパンチで受けるという声がありますので、状況をしっかりと見据えながら特に中小・零細企業、あるいはコロナ禍で影響を受けている企業の支援をしっかりセットで進める」と慎重に進める考えを示しました。
また派遣法などを見直す考えも示し、「希望すれば正社員で働けるという社会は30年前には当たり前だったと思っている。そうした社会に3年、5年、10年と段階的に着実に戻したい」と述べました。
4.中長期的な研究・開発力の強化
枝野代表は、アベノミクスの下で自民党政権が「目先の金になるものに、いわゆる競争的資金など重点配分をすると称してやってきた、結果は何か。日本の研究開発力の裾野とベース、土台自体が壊されてきた」と指摘。政治の役割は、日本の研究開発・技術力を中長期的に強化し、必要不可欠な研究開発の基盤にしっかりと予算を注ぐことだと主張し、「いわゆるポスドクの問題、あるいは国公立大学に対する運営費交付金の問題はじめとして、目先の金もうけ一辺倒でゆがんだ研究開発力の中身も量も転換する」と意気込みました。
5.財源は、富裕層や大企業への優遇税制の是正で捻出(所得再分配の強化)
・法人税は、必要な政策減税は残した上で累進税率を導入
・所得税の最高税率を引き上げ
・株の売買・配当利益などへの金融所得課税の強化
枝野代表は法人税の累進税率導入について、「いま超大企業の法人税負担率は小規模企業とほぼ一緒。中堅企業よりも圧倒的に低いという非常にゆがんだ構造になっています。これをただす」と力を込めました。所得税の最高税率引き上げについては、「富裕層への所得税は、現下の格差の拡大とそれによる消費の低迷、結果的に長期的には富裕層の皆さんの暮らしも脅かすという理解をいただいて、応分の負担をお願いします」と述べました。金融所得課税の強化については、「日本の所得課税は、年収1億を超えると実際の負担率が急速に低下している。その原因は、富裕層ほどいわゆる勤労所得や事業所得ではなく配当所得、金融所得課税の対象になる所得の比率が圧倒的に多くなる。ここが原則20%という富裕層にとっては圧倒的に低い税率であるというゆがみは変えざるを得ない」と説明しました。