枝野幸男代表は11日午後、国会内で記者団に次の2点を報告しました。

■拉致問題に関する生方議員の発言に関するお詫び

 この度、拉致問題に関して生方幸夫衆議院議員が大変間違った発言をいたしました。私も大変驚愕し、激怒しております。 被害者の皆さん、また帰国に向け、日々ご苦労されているご家族や関係者の皆さまの心を深く傷つけるものであり、断じて許されるものではありません。この場をお借りして、党代表として深くお詫びを申し上げます。
 幹事長と拉致問題対策本部長の連名で緊急声明を出させていただきましたが、その声明の通り、私どもは拉致被害者の皆さんが生存していると信じ、1日も早い全ての拉致被害者帰国に向けて全力で取り組んでまいる方針に何ら変わりはありません。一刻の猶予もない中、今後このようなことが起きないよう、引き続き家族会の皆さま等との対話を積み重ねてまいります。党としては、昨年9月15日の結党後ただちに拉致問題対策本部を立ち上げ、これまで私自身も出席をして、家族会、救う会、特定失踪者問題調査会など関係者の皆さまと連携を取り、運動をしてまいりました。それだけに、甚だ残念であります。
 森本部長を通じて救う会の西岡力会長と電話で直接お話しをさせて頂き、私がお詫びをさせて頂きました。 また、渡辺周衆院議員から横田さんにもお詫びのお電話をさせていただきました。本人には深く反省をして、関係者の皆さんにお詫びに回るよう強く指示をしたところでございます。

■愛媛4区総支部長辞退について

 愛媛県第4区の杉山啓総支部長から愛媛県連に対して総支部長辞退の申し出がございました。辞退の届出は県連で受理したということで、県連としても総選挙への公認擁立を取りやめると判断をしたと報告を受けております。辞退の理由と経緯は本人が直接お詫びをしていると承知しておりますが、7年前とは言え、ツイッターにおける過去の不適切な発言に対して責任を取ったと思っております。
 傷つく思いをされた方、不快な思いをされた皆さん、またこうした過去の発言について充分確認が取れていなかったということについてお詫びを申し上げます。

 その後、枝野代表は記者団からの質問に答えました。主な質疑の要旨は次の通りです。

Q)代表質問に対する岸田総理の答弁をどのように受け止めたか。岸田総理はアベノミクスについて、「わが国の経済の成長に対して大きな役割を果たした。民主党政権の失敗から学んだことでもある」と言及している一方、分配が大事だとも主張しているが、それに対する評価は

 まさに、全くわれわれの主張と似て非なるものだということは、今日のやり取りを通じて明確になったと思っています。アベノミクスで成長していると、岸田さんは思っていらっしゃる。われわれは、結局わが国内における富の偏在をもたらしただけで、成長させていないと認識している。実際に実質GDPの成長率では、悪夢と安倍元総理が呼んだ時代よりも低くなっているというのが客観的な事実であります。この9年間が成長していると認識をする岸田さんと、成長できなかったということを前提にこれを変えようという、われわれの違いが明確になった質疑だったと思っています。そういう意味では良い質疑だったと思っています。

Q)全国の郵便局長が2019年と20年、日本郵便の経費で購入したカレンダーを自民党参院議員の後援会の会員らに配布したことが西日本新聞の取材で分かった。政治資金規正法上の違法献金の可能性との指摘があるが受け止めは

 事実関係の詳細私自身、現時点で把握しておりません。日本郵政自体が公的な役割を持っている組織でありますので、まず明確なご説明をして頂くということが必要だと思っています。

Q)生方議員に厳重注意されたということだが、これ以上の処分をするのか。公認の予定に変更が生じるか

 まず、関係者の皆さんに党としても、本人としてもお詫びをする。まずはその事が一番大事だと思っています。

Q)河井夫妻の事件について自民党の調査に納得できないという声が与野党から上がっているが、岸総裁の対応についてどのように思うか。岸田総理の核廃絶条約締約国会議への対応についてどう思うか

 1点目について、これは自民党の広島県連がこれでは納得できないとおっしゃっているわけですよね。ですので、それ以外の自民党と関係ない国民の皆さんが納得できるはずがないのだと。そうした圧倒的多数の国民の話に耳を傾けるという意志がないのだなということが明らかになったやり取りだったと思っております。

 後者については、従来の政府の見解をなぞっているだけの答弁だったと思っています。被爆地選出の総理ということで、私も期待をしておりましたし、何よりも広島、長崎の皆さん、被爆者の皆さんが期待をされていたと思うだけに、はなはだ残念であります。

Q)総理は国民の声に耳を傾けないということだが、立憲民主党としては今後どのように対応していくのか

 本来であれば、予算委員会を開いて、そうした場での説明を求めていくことがございますが、政府、自民党はそれから逃げていると思っていますので、こうした姿勢を国民の皆さんが総選挙を通じてご判断をいただくことだと思っています。

Q)今日の代表質問で立憲民主党が掲げる分配の具体策の全体像が見えたかなと思う。こうした分配の具体策を全て実行する場合にどの程度に費用がかかるのか

 まず、今日私が申し上げたものも、コロナ対策としての緊急支援――事業支援や生活支援。それからコロナ対策として、コロナによる特に歪みのある消費の落ち込みから回復させるための緊急経済対策、これはまさに100年に1度の危機対応でありますので、これについてはとにかく必要な額を国債発行してやっていく。これはまさに、需要が落ち込んでいるし、生活が成り立ってないわけですから、それは当然のことだと思っています。

 それ以外のいわゆるエッセンシャルサービスなどの充実等については、まずは所得税、法人税、富裕層の皆さんに一定の分担をお願いすることの中で、他の必要経費をどれぐらい削減できるのかとの見合いで、できるところから着地し、進めてまいります。

Q)税制について、今日の代表質問で所得税の最高税率を50%に引き上げとか、金融所得を令和5年度までに原則25%まで引き上げなどの数字が出てきた。一連の税制改革で見込まれる税収増というのはどれぐらいか

 段階的に実体経済その他に与える影響を見ながらできるところから進めていきます。

Q)今日の代表質問で、予算員会の開催について岸田総理が答えなかったこと、森友問題について赤木さんの奥様の手紙を辻元議員が読み上げて総理に会うように促したけれども答えなかったこと、甘利幹事長の金銭授受問題についても本人が言う話ということで言わなかったことについて見解は

 まさに逃げる、説明しないという安倍・菅政権の一番悪い所をさらに肥大化させて引き継いだことが明確になったのではないか。特に赤木雅子さんの手紙に対して、いわゆる官僚答弁丸読みだったのはなはだ残念に思っています。

Q)金融所得課税について総理から答弁があったが受け止めは

 かなり総裁選挙では華々しく仰っていたと私は思いますが、何に怯えられたのか知りませんが、なかなか自分の意思を貫けない方だなということは大変残念に思います。

Q)今後どのように、内閣に問いただしていくか

 まさに明確に、結局この間、アベノミクスの恩恵を受けていた人たち、つまり既得権には負担を求めないという姿勢がはっきりしたと選挙戦を通じてしっかりと訴えていきたいと思います。

Q)明日の代表質問では、どういう点を問いただしていくか

 幹事長、それから森副代表には、今日私が特に所信的部分で、やはり35分では全部を入れられなかったので、分担をお願いをしますということを申し上げていますので、それについて、それぞれで、またお2人の中で分担をして所信的部分は網羅的にできるのではないかと思っています。後はそれぞれ経験も充分な仲間でありますので、われわれの今日の2人の原稿をご覧頂いて作っていますので、うまく役割分担していただけると思っています。

Q)生方さんは具体的な発言内容は。愛媛4区では立憲民主党から代わりの候補者を擁立しないということか

 前者については、引用としても口に出すのは許されない、申し上げられないような話だと思っております。繰り返し申し上げたいと思いますが、われわれは、立憲民主党として被害者の皆さんが生存していると信じ、北朝鮮による拉致問題は主権と人権の内なる侵害であり、早期に全ての拉致被害者が帰国出来るよう全力で取り組んでまいります。こういう姿勢でわれわれはありますが、そうした姿勢と齟齬を来たすような間違った発言があった、許しがたい発言があったということであります。

 後者については、現実時点、この段階でありますので、わが党としては残念ながら候補者を擁立できないということになります。

Q)生方議員の発言内容を言えないということだが、発言は事実ということでよいか

 どの報道のどの発言なのかはよく分かりませんが、逆に申し上げると、政府としての、あるいはわれわれとしての公式な見解である拉致被害者の皆さんが生存していると信じ、その全ての皆さんの帰国に向けて、主権と人権の重大な侵害であることの見地に立って全力を尽くすと。こういう基本認識と齟齬を来たすような発言があったということについて撤回させ、党としてお詫びを申し上げ、われわれとしての基本姿勢をもう一度改めて明確にお伝えをさせていただいたということであります。

Q)東京8区について、枝野代表は東京都連から事情を聞いているか

 この間の経緯、状況については、福山幹事長とは一定の話をしております。

Q)野党統一候補の交渉がおこなわれているが、吉田(晴美)総支部長はそのまま続けるのか

 昨日やおととい申し上げたことと全く認識が変わっておりません。

Q)矢野財務次官が月刊誌に寄稿した論文で、与野党の経済対策についてバラマキ合戦だと評したこと、また矢野氏の更迭を求める声があることについての受け止めは

 本来であれば、官僚のしかも重たい責任の立場にある方が、外に向かって個人の見解が述べられることは望ましいことではないと一般論としては思いますが、この9年近くの間、官僚の皆さんに忖度を強いて。その内部の政治も含めた政府としての意思決定前の段階から、きちんと意見を聞かない、言わせない。こういうことが長年続いてきたことこそが一番の問題であって、政府の内部においてきちんと多様な意見を伺って、それを踏まえつつ、決定をしたら、それに従って頂くというプロセスが安倍・菅政権の下で出来ていない。そのことがこうした事態を生んでいる。したがって何よりもこれは矢野次官の問題ではなくて、自民党政権の問題だと思っています。